戦線の膠着とは? わかりやすく解説

戦線の膠着

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 07:14 UTC 版)

インパール作戦」の記事における「戦線の膠着」の解説

第15師団4月7日インパールの北15kmカングラトンビまで到達し第33師団5月20日インパールの南15kmのレッドヒルまで到達したが、連合軍激し反撃を受けこれ以上進撃はできなかった。雨季始まり補給線伸びきる中で、空陸からイギリス軍強力な反攻が始まると、前線では補給断たれ飢える兵が続出極度飢えから駄馬牽牛にまで手をつけるに至るも、死者餓死者が大量に発生する事態陥ったまた、飢え戦傷衰弱した日本兵は、マラリア感染する者が続出し作戦続行が困難となった機械化立ち遅れ機動力脆弱ぜいじゃく)な日本軍には、年間降水量が9,000mmにも達すアラカン山系雨季戦闘行動は、著し損耗を強いるものであった。しかし、牟田口は4月29日天長節までにインパール陥落させることにこだわり天長節マデニインパールヲ攻略セントス。 宮崎繁三郎少将指揮スル山砲大隊歩兵3個大隊ヲインパール正面転進セシム。 兵力移動捕獲シタ自動車ニヨルベシ。 と、作戦続行前線部隊命令した。しかし、この頃では、各師団多数戦病者を後送出来ないまま本部抱えており、増加する戦病者と、欠乏した補給次第身動き取れなくなっていた。中には武器弾薬尽きて石礫投げて交戦する部隊まで出始めた。 さらにこのような戦況をよそに、司令部400キロ遠方メイミョウに留まっていることに対す風当たり次第強くなったため、牟田口は4月20日にインダンジーまで15軍司令部進出させた。 第31師団は「山を越えてやってくるのは一個連隊限度」と見ていたイギリス軍一個師団丸ごと急襲することに成功し(ただし、31師団戦力抽出していたため二個連隊戦力)、4月5日インパールの北の要衝コヒマ占領していた。コヒマディマプルインパールを結ぶ街道屈曲点に当たる要衝で、コヒマ占領通常ならばインパール孤立成功意味するはずだが、連合軍コヒマ南西高地後退し、大激戦となったテニスコート戦い英語版)」(日本呼称コヒマ三叉路高地戦い)において連合軍駆逐失敗したため、インパールへの補給路は遮断しきれず、豊富な航空輸送能力による補給可能だったため、効果薄かった。 実はこの時点で、最重要援蔣ルート1つレド公路への要衝ディマプルまで、遮る連合軍部隊存在しない状態であったために、日本軍前進継続していたらディマプル陥落していた可能性が高いと、戦後イギリス軍調査結論付けたものも存在するディマプルはベンガル・アッサム鉄道とコヒマ・インパールを結ぶ道路結節点であり、そうしたところは通常補給物資集積所になる。もしここを陥落させた場合英軍敗走余儀なくされ、対して日本軍しばらくの間補給の問題解決でき、この作戦勝利することができたと英第14軍司令官スリム中将らは指摘する戦後、この調査報告知った牟田口中将は、反省一転し作戦失敗佐藤独断撤退によるという主張をするようになった他方日本軍の補給線は伸びきっていて、前線部隊には一粒の米、一発弾薬届かないような状況であった。つまり、明らかに攻撃の限界点超えており、日本軍ディマプル攻略どころかコヒマ維持不可能な状態であり、たとえ強引にディマプル攻略したとしても、そこで得られる物資万一少なかったり、英軍撤退がなく、戦い長引いた場合には、敗走運命は変わらなかったろうとする者もいる。また、記録によれば牟田口中将もディマプル攻略強く要請したわけではなく作戦開始前に佐藤中将一度示唆し作戦中に上官河辺中将に一度要請しただけであった河辺中将に作戦範囲でないとして断られると、なおも要請はしていないので、命令にはディマプル攻略含まれていなかった。よって、第31師団ディマプル攻略をしなかったとしても、その責任佐藤中将抗命にあったとは言えず、その命令明示的に下さなかった牟田口にもあると言える

※この「戦線の膠着」の解説は、「インパール作戦」の解説の一部です。
「戦線の膠着」を含む「インパール作戦」の記事については、「インパール作戦」の概要を参照ください。

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