慣習法解釈の問題点とは? わかりやすく解説

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慣習法解釈の問題点

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 02:16 UTC 版)

法解釈」の記事における「慣習法解釈の問題点」の解説

元々既存成文法中に存在予定されていなかった現象であっても譲渡担保のように独自の発展遂げ裁判実務上もしばしばその俎上にあがるものがある。日本では平成16年には動産譲渡担保正面から認め立法成立したが、そのような法律存在しなかった時代においては民法認められた質による以外の担保方法法律上保護与えられない解する余地理論上ありえた。このように人為的に制定され成文法すなわち実定法のみが法源であって慣習法などの不文法実定法明文持って許容しない限り法源になることはないという考え方を、法実証主義という。 これに対し判例・通説において承認されていたように民法上の質権規定を、動産担保全て規律する規定ではなく動産を質という制度担保にする場合だけの規定だと解釈すると、所有権譲渡する方法担保にすることについては、民法の規定欠けているということになるから、慣習法による補充許容されるということになる。このように慣習法解釈においては慣習そのものが本来明確なものでないから、その存在内容などをある程度はっきり確定させ、#成文法調和させることが重要な任務になる。 慣習法成文法調和仕方巡っては、成文法優位説いて法と道徳峻別重視する法実証主義と、成文法慣習法連続性強調して両者共通点着目する自然法論対立があり、前者慣習法排除して悪法もまた法なりテーゼ肯定するに対して後者悪法は法ではないとの立場結びつくのである説明されることがある。 しかし、歴史法学立場から、自然法論批判する論者慣習法尊重説くこともあり、また逆に自然法論者不文慣習法排除説いて悪法もまた法なり傾斜することもあるから、厳密に言えば両者が必ずしも対応するわけではないとも考えられている。 例えば、18世紀から19世紀にかけてのフランスにおいては自然法現れみなされナポレオン諸法典による慣習法統一背景に、法典化されなかった慣習法の効力否定して紛争ことごとく法文解釈にはめて規律ようとしていた。一方ドイツにおいては1794年成立したプロイセン一般ラント法が同様の見地徹底して詳細かつ網羅的な立法試みたが、その故に法典極度に膨張して挫折強いられ、法の普遍性強調する自然法学派対し法の歴史必然性強調する歴史法学派により、フランスとは逆に早急な人為的立法によることなく社会的な自然の慣習法発達多く委ねるべきとの立場が有力になった当時ヨーロッパ席巻していたロマン主義(右画像参照)や進化論、及び分断化されていたドイツの政治事情背景にある。ナポレオン戦争影響によって、ティボーらにより、国家統一のための統一的な法典整備の必要が叫ばれたのに対しサヴィニーはじめとする歴史法学派反対したのはこのためであった法典論争)。ところが、19世紀末から20世紀にかけてナポレオン法典老朽化ドイツ民法典制定によって、両国解釈態度逆転し始めたのである。 これに対し英米法特にイギリス法は、このようなフランス・ドイツを中心とする大陸法における法典化運動、すなわち慣習法全面的な制定法化には従わなかった。むしろ、かつてドイツの歴史法学派が主張したように、成文法制定慣習法個々の点について生じた誤り是正するためにのみなされるべきだと考えられのである。 これは、成文法立法者の恣意によって変動しうるから、それよりも世紀にもわたる慣習法判例法蓄積によって、裁判官拘束し恣意的判断を防ぐことが合理的であると考えられたためである。 詳細は「コモン・ロー」を参照 一方大陸法法制度を採る国々においては、もし法源として成文法重視する主義立てば法源明確さゆえに法的安定性確保資するが、反面慣習法判例法のような不文法をも重視する主義によれば柔軟な解釈によって、より具体妥当性実現しやすいと考えられている(もっとも、過度成文法偏重はかえって法的安定性損なうと考えられるし、成文法重視する立場立っても、しばしば成文法規の中に書かれざる法」を読み込もうとすることについては後述)。

※この「慣習法解釈の問題点」の解説は、「法解釈」の解説の一部です。
「慣習法解釈の問題点」を含む「法解釈」の記事については、「法解釈」の概要を参照ください。

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