大島本を底本にした校本にとは? わかりやすく解説

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大島本を底本にした校本に

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 05:15 UTC 版)

源氏物語大成」の記事における「大島本を底本にした校本に」の解説

しかし、当時源氏物語本文についての研究急速に進展しており、河内本系写本本文よりも青表紙系の写本本文の方がより良質な本文であることが次第明らかになってきたことに加えてその12年前に青表紙本系統の極めて良質な写本であると考えられ大島本存在明らかになった。そこで池田は、完成していた稿本破棄し大島本底本にして校本作成作業一からやり直すことにし、さらに約10年をかけて1942年昭和17年10月、ようやく『校異源氏物語』全5巻中央公論社から刊行された。 この校本完成まで作業は、それまで日本では中でも国文学世界では全く知られていなかった西洋正文批判に関する研究成果取り入れるため、文献取り寄せて学びながらの作業であったとされている。本来の源氏物語本文校訂作業並行して方法論に関する研究論文発表したり、学んだ研究方法小規模な作品本文適用して実践するということ行われたまた、現在のように調査・研究対象となる価値のある写本公的な施設大学等研究機関よりも大名公家流れを汲む名家個人資産家多く所蔵されていた時代であり、写本調査拒否されたり、許されてもさまざまな制約付けられる場合少なくなかった一度閲覧許され調査開始したものの、作業半ばでそれ以後調査拒否され写本もあったとされている。少なくない写本様々な理由により研究制約された。数多く重要な写本写本写真に撮ることなども許され、そのフィルム枚数は約50万枚にも及んだものの、写真を撮るために持ち出したり、あるいは撮影機材写本所蔵場所持ち込んだりすることが許されず、「所蔵者ノ都合ニヨツテメテ短時間ノ内ニ調査シ、再調機会ヲ許サレナカツタ」として調査中断せざるを得なくなり完了した部分についても校異採用することが出来なかった大沢本や、当時出版されていた源氏物語小型印刷本写本所蔵している場所に持ち込んで本文異同その場で目で確認しながらその本書き込むという方法によって本文異同採録たような写本存在する。また池田直接写本調査をすることが許されず、過去別の研究者が行った調査結果間接的に利用することしか出来なかった写本もあるとされている。例え池田当時日本居住していたある外国人資産家渡った阿仏尼本」と呼ばれる貴重な写本について調査申し入れたものの、「極めて屈辱的な扱い受けた写本調査許されなかった。」と記している。 長期間大規模な作業結果できあがった校本当初の計画より遙かに大規模な出版物となっていった。そのため最初に予定されていた出版社からは出版断られてしまう事態になり、一時出版諦めて完成原稿資料として東京大学図書館所蔵する止めるといったことも考えられていたが、池田関係者さまざまな伝手たどった結果中央公論社谷崎潤一郎による『谷崎潤一郎訳源氏物語』の出版に続く源氏物語出版事業として同社から1942年昭和17年10月に『校異源氏物語』全5冊として一千限定出版されることになった。なお、「芳賀矢一記念会」は『校異源氏物語』の出版後目的果たしたとして解散しているが、「源氏物語大成 校異編」には藤村作が同記念会を代表する形で序文寄せている。(なお、完成した研究成果芳賀矢一献呈するという記念会の当初の目的そのもの1927年昭和2年)に同人死去してしまったため叶わなかったものの、1953年昭和28年6月20日には、「芳賀矢一記念会」代表であった藤村作発案により芳賀矢一墓前刊行されたばかりの『源氏物語大成 巻1』を献じ奉告祭」を行っている。)ただ形になった成果が出るまでにこれほどまでに時間かかってしまったことに対して芳賀矢一死去して5年ほどたった頃には「池田はいったい何をしているのだ」という批判起こったという。またさらに本書校異編において「簡明旨とする」ことが校本基本的な校合方針として採用されたのは、いつまで完成しないことに対す批判池田亀鑑が気にして完成を急ぐためにとった方針であるという。池田生涯亘って数多く書物著しているが、本校本の完成前にして『伊勢物語に就きての研究』(1934年昭和9年)、大岡山書店)から『古典の批判的処置に関する研究』(1941年昭和16年)、岩波書店)までの数年間は専ら本校本の作成専念するために大規模な著作著してはいない。

※この「大島本を底本にした校本に」の解説は、「源氏物語大成」の解説の一部です。
「大島本を底本にした校本に」を含む「源氏物語大成」の記事については、「源氏物語大成」の概要を参照ください。

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