国際経済法とは? わかりやすく解説

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国際経済法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 06:16 UTC 版)

国際法」の記事における「国際経済法」の解説

「国際経済法」(International Economic Law)とは、国家間経済活動規律する国際法一分野であり、第二次大戦後に急速に発展した分野一つである。1947年の「関税と貿易に関する一般協定」(GATT; General Agreement on Tariffs and Trades)により、経済的価値国際法導入された。GATT目的は、自由貿易促進にある。そのために、「自由」(貿易制限措置関税化及び関税率削減; 関税譲許2条))、「無差別」(最恵国待遇1条)および内国民待遇3条))、「多角」(=ラウンド交渉)の三原則存在する。 そして、多角的貿易交渉ウルグアイ・ラウンド成果として、1994年に「マラケッシュ協定」が成立し翌年、「世界貿易機関」(WTO; World Trade Organization)が設立至り単なる条約にすぎなかったGATT制度は、国際組織となった。そして、ウルグアイ・ラウンド結ばれた数々協定により、その対象領域急速に拡大した例えば、「サービスに関する一般協定」(GATS; General Agreement on Trade in Services)、「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定; Agreement on the Application of Sanitary and Phytosanitary Measures)、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPs協定; Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights)、「紛争解決係わる規則及び手続きに関する了解」(Understanding on Rules and Procedures Governing the Settlement of Disputes)などである。 WTOによって設立され紛争解決機関(DSB; Dispute Settlement Body)は、その後のGATT/WTO法の実効性大きく寄与することとなった。特に、米国によりたびたび適用されてきた「スーパー301条」による一方的措置がこれによって禁じられ全ての紛争は、「小委員会」(Panel)及びその上機関の「上級委員会」(AB; Appellate Body)の「報告」(Report)に服することになった。GATT/WTO法は、自己完結制度(self-contained regime; un régime se suffisant à lui-même)といえるだけの性格保有する至ったといわれることもある。 また近年、GATT/WTO法による環境保護急速に発展している。GATT20条(b)は、「人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置」を、同条(g)は、「有限天然資源保存に関する措置」を、締約国認めている。ただし、20条前文は、「ただし、それらの措置を、…濫用的に(arbitrary)もしくは正当と認められない差別的待遇の手段となる方法で…適用しないことを条件とする」としている。WTO出来る前の1991年の「第一マグロ・イルカ事件」(メキシコ対米国; Tuna/Dolphine Case I)において、パネルは、20条(b)または(g)によって域外管轄権行使認めると、GATT保障されている他の締約国権利害することになってしまう、として、米国海洋哺乳動物保護法(MMPA; Marine Mammal Protection Act)による措置正当化できないとした(Report of the Panel, paras.5.27, 5.32, 30 I.L.M. 1594(1991))1994年の「第二マグロ・イルカ事件」(Tuna/Dolphine Case II)においても、本質的に同様の理由により、米国のMMPAに基づく措置正当化できないとした(33 I.L.M. 839(1994))。しかし、1998年の「小エビ事件」において、上級委員会は、GATT20条(g)にある「有限天然資源」の文言について、他の環境条約考慮した発展的解釈」により、「生物天然資源及び非生物天然資源」も含むと解釈した(WT/DS58/AB/R, paras.129-130)。これにより、各国天然資源保護目的とした一方的措置可能性開けたといえるTRIPs協定については、2001年の「ドーハ宣言」によって、抗HIV薬特許に関するモラトリアム最貧国(LDCs)に対して2012年まで延期する旨、決定されたことが注目されるその後インド南アフリカにおいて、ヨーロッパ製薬会社が、抗HIV薬違法コピー訴え事件起こったが、南アフリカでは製薬会社訴訟取り下げLe Monde interactif, 19 avril 2001)、インドでは製薬会社訴え退け判決下されている(「Novatis vs.Union of India他事件」マドラス高等裁判所判決2007年8月6日、W.P.Nos.24759 and 24760 of 2006)。 農業分野では、日本EU米国対立解けず、シアトル・ラウンドは不成功終わった。現在も、農業分野協議続行されているが、日本農業生産物の輸入関税大幅な引き下げ余儀なくされることが危惧されている。 また、最近では、各国間で「自由貿易協定」(FTA; Free Trade Agreement)や「経済連携協定」(EPA; Economic Partnership Agreement)が活発に結ばれている。これは、GATT24条の、貿易の自由の拡大のための関税同盟例えば、EC)または自由貿易協定締結することを認める、という規定に基づく。日本は、2002年シンガポールと初のFTA日本・シンガポール新時代経済連携協定)を締結したその後も、メキシコFTA締結ASEAN諸国中心にその他の国ともEPA活発に結び、また結ぼうとしている。 日本は、環太平洋パートナーシップ協定を結び、これは2018年12月30日発効したTPP11)。

※この「国際経済法」の解説は、「国際法」の解説の一部です。
「国際経済法」を含む「国際法」の記事については、「国際法」の概要を参照ください。

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