ラウンド《多角的貿易交渉》(らうんど《たかくてきぼうえきこうしょう》)
貿易の自由化によって発生する各国の利害関係を調整し、自由貿易の推進について協議する。輸入品から国内産業を守ろうとする貿易の保護主義により、交渉は長期にわたるのが通例だ。
関税と貿易に関する一般協定 (GATT) では、過去に8回のラウンドを重ね、貿易の自由化に向けた話し合いが行われてきた。1947年に開始した関税交渉をはじめ、ケネディー・ラウンド、東京・ラウンド、ウルグアイ・ラウンドと続き、1994年までに関税の引き下げや貿易障壁の撤廃などで成果を上げている。
1986年にウルグアイで始まった GATT の最終ラウンドでは、産業を保護する目的で発動されるセーフガードや反ダンピング措置の手続きを明確化するとともに、特許などの知的所有権や情報通信などのサービス貿易についても協議の対象になった。日本は、農産物の輸入を原則自由化し、コメ市場を部分的に開放することで合意した。
GATT を発展的に解消し、正式な国際機関として設立された世界貿易機関 (WTO) では、ウルグアイ・ラウンドに続く新たなラウンドの開始を目指している。しかし、農業の自由化、環境保全、反ダンピング、特許・医薬品など一部の分野で加盟国間の対立がまだ解消されていない。
カタールの首都ドーハで開幕した WTO 閣僚会議では、事前折衝で対立のあった分野を何とか打開し、新ラウンドの立ち上げを目指している。話し合いがまとまれば、閣僚宣言に新ラウンドの開始が盛り込まれる。
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(2001.11.12更新)
多角的貿易交渉(ラウンド)
多角的貿易交渉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 01:47 UTC 版)
「関税及び貿易に関する一般協定」の記事における「多角的貿易交渉」の解説
GATTは、国内の産業保護の手段として関税のみを認めていたが、GATT締約国はその関税引き下げのためには二国間で交渉するよりも多数国間で交渉するほうが効率的であるとして、多角的貿易交渉を行い関税水準を引き下げてきた。 これは1947年のGATTを一部改正した、1994年のGATTを含むWTO協定が発効した後も継続されている。第1回からディロン・ラウンドまでの計五回にわたる交渉では、関税の引き下げについて交渉が行われたが、ケネディ・ラウンドでは関税引き下げのみではなく、非関税障壁であるアンチダンピング問題についても検討された。東京ラウンドでは、ダンピング防止や政府調達のような非関税障壁の問題に加えて、発展途上国が関心を持っていた熱帯産品に関する交渉が開始された。 1986年から1994年に行われた、ウルグアイ・ラウンドでは世界貿易機関の発足が決定され、本来国際貿易機関発足までの暫定的な体制であった筈のGATTが、実質的に国際組織として活動している異常な状況を解消した。GATT体制下で行われた8回の多角的貿易交渉を通じて、先進諸国の平均関税率はGATT以前の10分の1以下の4パーセントにまで低下した。
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