各種システムの比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 06:50 UTC 版)
CIE xyY色空間に投影されたsRGB色域(左)と、D65照明下の可視色域(右)。横軸がxとy、縦軸がYを示す。 代表的なカラーシステムを、色域の大きいものから順に、以下に示す: レーザープロジェクターは、三原色のレーザーを使い、レーザーが完全な単色の原色を発することができるため現在実用化されているディスプレイ装置としては最も広い色域を実現している。映像全体を1ドットずつ走査し、CRTの電子ビームのようにレーザーを高周波で直接変調する方式と、レーザーを光学的に拡散させて変調し、1ラインずつ操作する方式があり、このラインはDLPプロジェクターと同様の方法で変調される。レーザーはDLPプロジェクターの光源としても使用することができる。三原色以上のレーザーを加えれば、さらに色域が広がり、ホログラフィーにも応用されている。 DLP技術(Digital Light Processing)はテキサス・インスツルメンツの登録商標である。DLPチップには最大200万個のヒンジに取り付けられた顕微鏡サイズの鏡の長方形のアレイが搭載されている。それぞれのマイクロミラーの大きさは、人間の髪の毛の5分の1以下である。DLPチップのマイクロミラーは、DLPプロジェクションシステムの光源に向かって傾くか(ON)、離れる方向に傾斜する(OFF)。これによって、投影面に明るいピクセルと暗いピクセルが作られる。現在のDLPプロジェクターは、透過色の「パイ型」の高速回転ホイールを使用して、各カラーフレームを連続して表示する。ホイール一回転で完全な画像が表示される。 写真フィルムはテレビやコンピュータや家庭用ビデオシステムなどよりも再現できる色域が広いという主張がある。 LEDディスプレイや有機ELディスプレイは、三原色それぞれの独立した光源を用いている為、世間一般に広く浸透している表示機器の中ではトップクラスの広色域・高色純度を誇る。 ブラウン管などはほぼ三角形の色域を持ち、可視色空間の主要な部分をカバーしている。ブラウン管での制約は、三原色(赤、緑、青)を生成する蛍光物質の特性である。 液晶ディスプレイ (LCD) はバックライトの発する光にフィルタで色をつけている。したがってその色域はバックライトの放射スペクトルに左右される。典型的なLCDは冷陰極管 (CCFL) をバックライトに使っている。発光ダイオードや広色域のCCFLをバックライトとしているLCDでは、ブラウン管より色域が広いものもある。しかしながら、一部のLCD技術では表示角度によって表示される色が変化する。IPS方式ないしen:Patterned vertical alignmentスクリーンは、TN液晶よりも視野角が広い。 テレビ受像機は通常、CRT、LCD、LEDないしプラズマディスプレイを使用しているが、放送の制限からカラーディスプレイの特性を十分に活用していない一般的な受像器のカラープロファイルはITU規格Rec. 601を基にしている。HDTVは制限が少なく、ITU規格Rec. 709に基づいてわずかに改善されたカラープロファイルを使用する。それでも、例えば同じディスプレイ技術を使用するコンピューターディスプレイよりは多少狭い色域となっている。これは放送ではRGBの限定されたサブセット(16〜233の範囲の値)を使用するが、コンピューターディスプレイでは0〜255の全ての値が使用されるフルRGBを使用するからである。 塗料や絵具は広告などに使われるが、元々三原色以上の様々な色素があるため、色域はそれなりに広い。塗料と電子機器の性格の違いから、電子機器では再現できない色も再現できる。 印刷は一般にCMYK色空間(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を使う。黒を使わずに印刷する場合もあるが、それでもCMYKで表示できる色域は狭い。このため、原色以外の色のインクを追加して色域を広げたりしており、オレンジ色と緑色、ライトシアンとライトマゼンタなどが加えられる場合がある。また、複数の着色材料の併用で色を作ると明度・彩度が低下することもあり、特色と呼ばれる特定のインクを使うこともある。 モノクロディスプレイの色域は、色空間内の1次元の曲線となる。
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