協会けんぽの運営
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 07:40 UTC 版)
「全国健康保険協会」の記事における「協会けんぽの運営」の解説
日本の国民医療費(制度区別、2016年度)公費負担医療給付 3兆1433億円 (007.5%) 後期高齢者医療給付 14兆1731億円 (033.6%) 医療保険等給付19兆5663億円(45.7%) 被用者保険9兆7210億円(22.2%) 協会けんぽ 5兆1171億円 (012.1%) 健康保険組合 3兆5254億円 (008.4%) 船員保険 195億円 (000.0%) 共済組合 1兆0583億円 (002.6%) 国民健康保険 9兆5404億円 (022.6%) その他労災など 3049億円 (000.7%) 患者等負担 5兆1435億円 (012.2%) 軽減特例措置 1119億円 (000.3%) 総額 42兆1381億円 (100.0%) 保険料率 毎事業年度ごとに財政の均衡を保つことができるよう、支部被保険者を単位とした保険料率(都道府県単位保険料率)を協会が設定する(各支部が任意に設定するのではない)。各都道府県の個々の保険料率については外部リンク参照。 都道府県単位保険料率では、一般に年齢構成の高い県ほど医療費が高く保険料率が高くなり、また所得水準の低い県ほど同じ医療費でも保険料率が高くなることから、都道府県支部間で年齢調整・所得調整を行う。これにより、結果的には地域の医療格差のみが保険料率に反映されることとなる。 保険料率の上下限は、健保組合と同様とし、3.0~13.0%とする(第160条1項)。2008年の発足当時は上下限を6.6~9.1%として、全国一律の保険料率として8.2%とされた。保険料率の上限は、2010年の法改正までは10.0%、2016年4月の法改正までは12.0%であった。 令和2年度より都道府県単位保険料率の算定において、健康づくりを促すためのインセンティブ制度が導入されることとなった(施行令第45条の2、施行規則第135条の5の2)。まずインセンティブ制度の財源となる保険料率として新たに全支部の都道府県単位保険料率に0.01%が上乗せされ、その上で特定健診・保健指導の実施率やジェネリック医薬品の使用割合などの評価指数に応じて全支部をランキングし、上位過半数に該当した支部については得点に応じた報奨金によって保険料率を引き下げる。 保険料率の変更については、協会が行おうとする場合はあらかじめ当該都道府県支部長の意見を聴いたうえで運営委員会の議を経なければならない。支部長は、意見を求められたときのほか、必要と認めるときは評議会の意見を聴いたうえで理事長に対し、意見の申出を行うものとする。厚生労働大臣は、事業の健全な運営に支障があると認めるときは、相当の期間を定めて協会に対し保険料率の変更の認可を申請すべきことを命ずることができ、申請がないときは社会保障審議会の議を経て当該都道府県単位の保険料率を変更することができる(第160条6~12項)。 介護保険第2号被保険者たる協会けんぽ被保険者については、一般保険料率に加え、介護保険料率(令和2年度は全国一律1.79%)が加算され、あわせて徴収される。 協会けんぽにおいて、保険料の徴収は厚生労働大臣が行うこととされているが、厚生労働大臣は、協会と協議を行い、効果的な保険料の徴収を行うために必要があると認めるときは、協会に保険料の滞納者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該滞納者に係る保険料の徴収を行わせることができるとされる(第181条の3)。これにより協会が徴収したときは、その徴収した額に相当する額については、政府から協会に対し、交付されたものとみなされる。 財政運営 協会は毎事業年度、予算及び事業計画を作成し、当該年度開始前に厚生労働大臣の認可を受けなければならない。また、毎事業年度、財務諸表を作成し、これに事業報告書、決算報告書を添え、監事及び会計監査人の意見を付けて、決算完結後2ヶ月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。 2年ごとに(平成24年度までは毎事業年度ごとに)、翌事業年度以降5年間の協会が管掌する健康保険事業の収支の見通しを作成し、公表するものとする。 当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額の1事業年度あたりの平均額の12分の1に相当する額を、剰余金のうちから準備金として積立てなければならない(施行令第46条)。平成25、26年度については、準備金の積み立ては要しないこととされた(附則第8条の5)。 協会の業務上の余裕金の運用は、政令で定めるところにより、事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的にしなければならない、とされ(第7条の33)、実際には信託業務を行う金融機関に運用を委託している。 借入金は大臣認可にする等の規制を行うとともに、借入金には政府保証を付すことができるものとする。 国庫は、毎年度、予算の範囲内において、健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担するとされ(第151条)、協会の事務費は全額が国庫負担である。また、国庫は、予算の範囲内において、後期高齢者医療制度で定める特例健康審査及び特定保健指導の実施に要する費用の一部を補助することができる(第154条の2)。 国庫は、協会に対して、主な保険給付費の13%~20%を補助するとされ(第153条1項)、当面の間補助率は16.4%とされる(附則第5条)。また協会が拠出すべき介護納付金についても同様に16.4%を補助する。なお法改正により、後期高齢者支援金の納付に要する費用の額の国庫補助は平成29年4月からは行われなくなった。平成27年度以降の協会の国庫補助額について、協会の準備金が法定準備金を超えて積み立てられる場合においては、一の事業年度において当該積み立てられた準備金の額の16.4%を、当該一の事業年度の翌事業年度の国庫補助額から控除される(附則第5条の4~第5条の6)。 政府は、協会の一般保険料率を引き上げる必要があると見込まれる場合において、協会の国庫補助に係る規定について検討を加え、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずることとされる(附則第5条の7)。
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