卓越した演技
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 14:19 UTC 版)
「實川延若 (2代目)」の記事における「卓越した演技」の解説
研究熱心で、義太夫の台本を咀嚼して、人物の心理や演技に工夫を凝らした。一例をあげると「伽羅先代萩」の「対決」の仁木を演じたとき、忠臣渡辺外記左衛門を陥れようとしたが細川勝元にその魂胆を論破され、「罪を弾劾されて『恐れ入り奉る』の大きさと口惜しさの表現は、その後これほどの仁木を見ていない。さらに肩衣を撥ねられた後の引っ込みも、対決相手の外記には一目もくれずに上手へ二、三歩行きかけて、急に後ろ向きに勝元をキッと睨んだイキの凄さ。とくに、その解釈の正しさには脱帽した。多くの仁木は引っ込む時に外記に思い入れをするが、あれでは仁木の人物が小さくなる。すでに審判が下ったのだから、今さら外記を殺しても何の利もない。したがって、狙うのは勝元・・・外記を殺すのは勝元を誘い出すための手段、というのが延若の解釈である。」次の「刃傷」の場で外記を殺害する時も「外記を組み敷いた後で、勝元がまだ来ないかという思い入れが十分で」と、スケールの大きな悪人を演じるために実にきめ細かな演出を行った。(山田庄一『上方芸能今昔がたり』岩波書店 2013年)
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