北朝鮮への上陸とは? わかりやすく解説

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北朝鮮への上陸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 02:36 UTC 版)

在日朝鮮人の帰還事業」の記事における「北朝鮮への上陸」の解説

宮本顕治#自主独立への道」も参照 北朝鮮が高度に閉ざされ体制をとっており、自由な往来不可能であること、領域内において外国人自由な活動許していないこと、北朝鮮文書資料入手難があることから、帰還者たちがどのように処遇されたかは脱北者などの証言からしか詳細に把握できていない北朝鮮における身分制度である出身成分では最下層「敵対階層」分類され、また「動揺階層」として差別された。しかし、日本共産党党籍持っていたために「核心階層」となった者もわずかながら存在する初期帰国船は、ソ連軍艦を改造した貨客船「クリリオン」「トボリスク」が使われた。1960年第9次帰国船で北朝鮮渡り1963年停泊中の日本船で密航し日本戻った金鍾国は、船内では白いご飯おかわり自由で、肉・野菜ふんだんに使われ食事供されたことや、菓子煙草いくらでも取って構わなかったと手記書いている。これに対し同時期に帰国船に乗り1994年脱北して韓国亡命した鄭箕海は、帰国船の食事は、後から思えば北朝鮮ではご馳走だったが、ご飯も肉もすえた匂いがして食べる気がしなかったと記した1960年単身北朝鮮渡った青山健煕ソ連船「クリリオン」がたいへん粗末な船で船内売店もなかったこと、悪臭のする米に閉口して一口しか食べられなかったこと、清津港粗末な設備老朽化した建物、「歳」で出迎えてくれた数百人の女学生身なり粗末さ全員無表情疲弊しきっている様子列車に乗ってから目撃した物資欠乏盗み横行移動中に出され嫌な匂い放つ弁当食べ帰国者がほとんどいなかったこと、その弁当汽車同行した北朝鮮役人がうまそうに平らげていたこと、これらをみて、「楽園」現実知り希望はすぐに幻滅変わったことを記している。 帰還者清津から北朝鮮上陸すると、招待所呼ばれる施設一時的に滞在した歓迎行事の後に経歴書や希望配置北朝鮮当局提出し社会見学数日充てた後に、配置先を決め面接を受け、各地散っていった。帰国事業最盛期には毎週のように1,000規模帰還者北朝鮮帰還していたことから、佐藤久は「本人たちが納得できるような配置がはたしてどれだけ行われえたかは、容易に想像できよう」と否定的に捉えている。住宅事情良くなかった北朝鮮当局宣伝雑誌等通じて近代的な住宅生活様式紹介していたが、ほとんどが宣伝の域を出ないのだった。ただし、住宅事情については、北朝鮮においては朝鮮戦争停戦から帰還事業開始まで6年余し経っておらず、日本でも1968年までは総住宅数が総世帯数下回っていた。 農村配置され帰還者が、自らにあてがわれ住居を「お世辞にも立派な代物とは言えなかった」と評している手記がある。そもそも住宅の不足自体が、当時北朝鮮社会にとって課題だった。また、社会主義国でよく見られる生活物資慢性的な(あるいは決定的な)質と量の不足も、帰還者たちを戸惑わせた。物資の不足日本にいる親族から補った者もいた。彼らにとっては生存の手段に他ならなかったが、異国激し民族差別受けて生活苦に喘いでいたとされた人々が、このような手段北朝鮮にないもの手にすることで、現地住民との間に溝を作ったようである。帰還者妬み差別の意味込めて「帰胞」(帰国同胞)と呼ばれ潜在的な反体制分子もしくはスパイみなされ社会的に苦しい状態に置かれた。帰還者たちは、居住の自由や就職の自由、すべての自由が奪われていた。

※この「北朝鮮への上陸」の解説は、「在日朝鮮人の帰還事業」の解説の一部です。
「北朝鮮への上陸」を含む「在日朝鮮人の帰還事業」の記事については、「在日朝鮮人の帰還事業」の概要を参照ください。

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