勝利校の校歌演奏(斉唱)と校旗掲揚
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「日本の高校野球」の記事における「勝利校の校歌演奏(斉唱)と校旗掲揚」の解説
試合で勝負を決した後、勝利校の校歌演奏と校旗掲揚が行われている。 これを発案した人物は、大阪毎日新聞の記者だった人見絹枝である。人見は1928年のアムステルダムオリンピックの女子800mで日本女子陸上初となる銀メダルを獲得しており、このときの表彰式での国歌演奏・国旗掲揚に感激してこれを発案、1929年の春の第6回大会から始められた。最初に校歌演奏と校旗掲揚を行った学校は、八尾中(大阪)だった。阪神甲子園球場での全国大会では、阪神園芸の職員が校歌のテンポ・長さに合わせてスコアボードの裏で手動で掲揚している。 夏の大会での勝利校の校歌演奏と校旗掲揚は、春の大会より28年遅れて、1957年の第39回大会から始められた。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}最初に校歌演奏と校旗掲揚を行った学校は、坂出商(香川)だった。夏の大会では「校歌演奏」とアナウンスされるが、春の大会では「校歌斉唱」とアナウンスされる(初戦の2回攻撃前は「校歌演奏」とアナウンスされる)。なお、地方大会では、校歌演奏(斉唱)のある地区とない地区に分かれる[要出典]。 雨天コールドで勝利した場合、雨に濡れた選手や応援団の体調を考慮し、校歌演奏を省略することがある。また引き分け再試合が決まった場合は両校の校歌は当然のことながら演奏されない。 こうした校歌演奏等は勝利校のみを対象に始められたが、1999年の第71回選抜大会から春・夏の各甲子園大会の初戦の試合中(2回表裏前)に両校の校歌が場内に流されている。千葉県など一部の地区ではこれに倣い、初戦のみならず全試合において2回に両校の校歌を流しているほか、試合前のシートノック中に校歌を流す地区もある。7回裏の後、校旗が一旦降納され、試合終了後に勝利校の校旗が掲揚される。 夏の甲子園では主催者側が男声合唱による音源を用意するが、センバツや夏の地方大会では学校側のものが使われる。 センバツのみスコアボードに歌詞が表示される。 済美(愛媛)のように、校歌が制定されているが別の応援歌や学園歌が演奏されることもある(済美は女子校から共学化したのを機に「学園歌」が制定された)。 なお、大学の系列・係属・提携校で高校独自の校歌が未制定である場合、母体の大学の校歌が演奏されることがある(近大付や駒大高、駒大岩見沢、駒大苫小牧、早稲田佐賀、東北学院等)。また同じく独自の校歌を持たない天理(奈良)の場合は「天理教青年会歌」が演奏される(ただし、2009年から同歌が正式に同校の校歌に制定された)。校歌未制定かつ大学系列校でもない場合、夏の選手権大会では大会歌の「栄冠は君に輝く」が演奏される。こうした学校や校歌に相当する楽曲の呼称が「校歌」ではない学校(済美の「学園歌」、天理の「青年会会歌」、慶應義塾系列校の「塾歌」、国士舘の「舘歌」など)においてもアナウンス上は「校歌」で統一される。 校歌が一定の長さ以上の場合、省略したものを用いる場合がある。最近では済美、千葉経大付などが該当する。池田(徳島)は1番と4番(実質大サビ)をつなげたものを使用。また沖縄水産や鹿屋中央(鹿児島)は校歌3番を斉唱している(鹿屋中央は、校名が3番にしか入っていないことが理由)。花咲徳栄(埼玉)の校歌は1〜4番でそれぞれ春夏秋冬を題材にしており、春の大会では1番、夏の大会では2番、秋の地区大会では3番を斉唱する。連合チームの場合は試合ごとに1校の校歌のみを演奏する。 また甲子園大会において大会本部の不手際により、本来のものとは異なる校歌が流れたり、校歌が途中で止まってしまった場合がある。 第63回選手権大会(1981年)では1回戦に勝利した秋田経大付の校歌斉唱において、誤って秋田経済大学の校歌が流された。2回戦では本来の校歌が演奏された(1973年10月までは同校でも大学と同じ校歌を使用していた)。 第69回選手権大会(1987年)では1回戦に勝利した東海大山形の校歌が本来の曲調と異なるアップテンポのものにアレンジされていた。学校側からの抗議を受け、2回戦では同じくこの大会に出場していた東海大甲府の音源を利用して(東海大学の付属高校の校歌はメロディーが共通のものであるため)新たに収録したものを放送した。 第75回選抜大会(2003年)の初戦の2回攻撃前と試合終了後、さらに第84回選抜大会(2012年)の2回攻撃前において、本来2番まで流れるはずの横浜の校歌が1番のみで終了してしまった。第75回大会の2戦目以降、および第84回大会の試合終了後は本来の校歌が演奏されている。 第97回選手権大会(2015年)の初戦で勝利した敦賀気比の校歌が、機械トラブルの影響で途中で止まってしまい一時騒然となるが、応援団や観客の手拍子やアカペラによって校歌を歌いきった。 第91回選抜大会(2019年)で1回戦に勝利した明豊の校歌斉唱後、アウトロが終わる前に選手が走り出してしまい、急遽作曲者の南こうせつがアウトロの短縮版の音源を作成、2回戦から差し替えられた。翌年の大会からは差し替えた音源を使用している。
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