再建復活:2016-現在
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「ニューヨーク・シティ・オペラ」の記事における「再建復活:2016-現在」の解説
2015年に、NYCOルネッサンスLtd.と名付けられた非営利団体がニューヨーク・シティ・オペラ再建のための11章計画を提出し、既存する会社の再建が2016年に実施された。チケットを購入して返金を受けなかった人には、追加の特典が与えられた。 2016年1月に同団体は、定番のオペラとニッチな作品との混合で、ニューヨーク・シティ・オペラを再始動させる計画を発表した。蘇ったNYCOのために提供された新たな本拠地は、ジャズ・アット・リンカーン・センターにある現代的な1100席のローズシアターである。 シティ・オペラ役員会と債権者委員会の両方が、全会一致で、NYCOルネッサンスの提案が好ましいとした。同団体はヘッジファンドマネージャーにして以前シティ・オペラ役員を務めたアマチュアの音楽家ロイ・ニエダーホファー(英語版)による財政の後ろ盾(彼が会長を務める)があり、彼はその取り組みに100万ドル以上の自身のお金を保証し、そして少なくとも250万ドルを集めた。 2016年1月、破産裁判所はNYCOルネッサンスの再建計画を承認し、公演を再始動することを許可した。破産裁判官のショーン・レーンは「人々に愛された、かつ重要な文化施設」の計画を承認できて自分は喜んでいると語り、「オペラを大いに気にかけている人々の参加が、私が非常に素晴らしいと考える結果を今日ここに導いたのです」と述べた。再建計画の下、このオペラ劇団は年次シーズンを設定し、そしてその最高責任者はマイケル・カパッソ(英語版)と予定された。シティオペラ・オーケストラ委員会の女性議長ゲイル・クルバンは「私たちは興奮しています...そしてニューヨーク・シティ・オペラとの長い未来を楽しみにしています」と語った。 2016年1月、NYCOルネッサンスは、1900年ローマにおけるオペラ初演からアドルフ・ホーエンシュタイン(英語版)の舞台および衣装デザインを用いた、プッチーニの『トスカ』を1100席のローズシアターで上演した。テナーのジェームス・ヴァレンティ(英語版)とソプラノのラトニア・ムーア(英語版)を含む2つの別々のキャストがあり、最も安いバルコニー席は25ドルだった『トスカ』は、1944年にNYCOによって演じられた最初のオペラである。 NYCOは2015-16年のシーズンに、同社にとって全て新作となる3つの現代作品を上演すると発表した。2016年3月16日、ジャズ・アット・リンカーン・センターのアペル・ルームでの新たなコンサートシリーズが、デヴィッド・ハーツバーグ(David Hertzberg)の『日曜日の朝』の初演とともに開催された。ソプラノと小さなアンサンブルのための作品、それはソプラノのサラ・シャファー(Sarah Shafer)とメゾソプラノとカースティン・チャベス(Kirstin Chávez)を特集したものだった。これに続いたのが作曲家スチュワート・ウォレス(英語版)で台本マイケル・コリー(Michael Korie)の『ホッパーの妻』(画家エドワード・ホッパーとゴシップ・コラムニストのヘッダ・ホッパー間の想像上の結婚についての、超現実的でエロチックも詰まった1997年の90分のファンタジー室内オペラ)の東海岸初公演である。それは2016年4月28日から5月1日まで、ハーレムステージでアンドレアス・ミティセック(英語版)により監督されたもので、彼のニューヨーク・シティ監督デビューだった。 3つ目に、NYCOは2016年6月22-26日にかけて、ダニエル・カタン(英語版)の『Florencia en el Amazonas』をジャズ・アット・リンカーン・センターのローズシアターで上演した。 ガブリエル・ガルシア=マルケスの小説に基づき「Ópera en Español」と名付けられた新しいスペイン語オペラシリーズの一部だった。公演のレビューで『ニューヨーク・オブザーバー』のジェームス・ジョーダンはこう書いている「再構成されたニューヨーク・シティ・オペラはプレゼンテーションの全ての面にわたってハイレベルの品質で、誇りに満ち溢れんばかりとなり...20年以上にわたって私がNYCOで聴いた強力なボーカリスト出演者の中でも、突出して相応しかったのはFlorenciaとしてのエリザベス・カバイェロ(英語版)でした...この製作は、その演劇の一番上に劇団がいることを明確にしてくれる」。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「カバイェロは発見だ」と見解を述べた。『ニューヨーク・クラシカル・レビュー』は、幾つかの演出的欠陥を指摘する一方で、「今後これが同社の活動の標準になるのであれば、将来は確かにとても明るいだろう」と書いた。 2016年9月8日、2016-17年シーズンのNYCO開幕の夜は両方とも1892年5月に初演されたオペラ『アレコ』(ニューヨーク初公演、セルゲイ・ラフマニノフ作曲、アレクサンドル・プーシキンの詩『ジプシー(英語版)』の改作)と『道化師』(ルッジェーロ・レオンカヴァッロによる)の2本立てだった。これらはLev Puglieseにより監督されたもので、ジェームス・ミーナ(英語版)がNYCOのオーケストラを指揮して、本拠地ローズシアターのローズホールで上演された。バスの、ステファン・スカファロウスキー(英語版)はアレコの配役でNYCOデビューを果たし、『道化師』はカニオとしてNYCOデビューを果たしたテナーのフランチェスコ・アニーレ(英語版)を特色とするものだった。ニューヨーク・タイムズ紙のアントニー・トマシーニは「ニューヨーク・シティ・オペラのオーケストラによる演奏は、時おりぎこちなかったが、生き生きとしたパフォーマンスを提供し、...劇団のコーラスからは活気のある歌を提供していた。...熱狂的な聴衆がこのオープニングイベントに現れ、それが再始動したシティ・オペラのシーズンを明らかに、いや定義さえできよう」と書いた。『ニューヨーク・クラシカル・レビュー』は、「このたびの『道化師』はデイビット・マクヴィカー(英語版)による最近のメトロポリタン作品よりもだいぶ感動的なものだった、...数年後、この音楽的かつ感情的に満足のいく2本立ては、この名高い劇団がついに自らの足で再起したであろうことの、これまでで最も素晴らしい証拠である。」と書いている。ハフィントン・ポストは、「NYCOはオペラ界における勢力としての地位を再確立するための正しい道を歩んでいる」との見解を述べた。 ニューヨーク・シティ・オペラは2018-19年シーズンも2作品の世界初公演を行うなど、オペラ劇団として活動を行っている。
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