世界のおやつ、その時刻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 01:38 UTC 版)
「イレブンジズ」および「軽食」も参照 世界各地に同様の習慣、つまり昼食と夕食の間に間食をとる習慣がある。 フランス語圏 フランスには「グテ goûter」という習慣がある。午後の終わりころの間食を指して「グテ」と呼ぶことはルネサンス期ごろには始まっていたようである。そして世界で初めて出版された百科事典となったフランスの『百科全書』(18世紀末出版)にはgoûterという用語が掲載されている。当時はおもにパン(いわゆる「フランスパン」)をスライスしたものにバターやジャムを塗ったものや、果物などが食べられていたようである。19世紀頃には次第に裕福な人いわゆるブルジョアが増え、そのご婦人たちや子供が午後テーブル上にパティスリー類を並べカフェを飲みつつ楽しんだり、外出して屋外で楽しむ、などということも行われるようになっていた。フランスでは子供たちが学校を終えて帰宅しておやつをとることは一般的だった。フランスのブルジョアたちはもともと紅茶を飲まず、飲むのはもっぱらカフェであったが、19世紀にイギリスの富裕層で流行しはじめた紅茶を飲みつつ軽食を食べること(下で詳説)をフランスのブルジョアの一部が真似しはじめ、彼らは午後の間食のことを英語の「tea ティー」をフランス語に訳した語の「thé テ」と呼ぶことを好んだ。そして従来の表現「グテ」はどちらかと言うと子供の間食を指すと見なすようになったいう。 なお「グテ」の別名は「quatre heures キャトルール」で、これは「4時」という意味である。1941年に、フランスの学校では4時のおやつをとることが普及したという。 現在のフランスでも午後の間食はとられており、子供たちは学校から帰宅すれば互いに交流して家で甘いものを食べるし、働く大人たちも(休憩をとる余裕がある職種ならば)4時ころに「グテ」をとる。現代のフランス人は何を食べているかというと、フランスではブーランジュリー(パン屋)とパティスリー(ケーキ屋)が兼業になっているところも多いのだが、その店頭には、午後の「グテ」や「テ」にぴったりのパティスリーやケーキ類が並ぶ。フランス人が好むのは、たとえばオーソドックスなスライスしたフランスパンにバターやジャムを塗ったものであったり、ブリオッシュ、砂糖がけのクレープ、パン・オ・ショコラ、パン・オ・レザン、タルト・オ・ポム(英語ならアップル・タルト)、ショソン・オ・ポムなどである。英米流にクッキーやドーナツやマフィンを食べる人もいる。子供たちはガトー(ケーキ)が大好きである。カフェや紅茶とともに食べる。 フランスの「グテ」という用語は、もともと「味見(あじみ)」といった意味の表現であり、「グテ」には時刻の意味がもともと含まれていないので、午後に限らず、朝食と昼食の間の間食までひっくるめて指すために使うフランス人もいる。 フランスの隣国ベルギーもフランス語が話されていて両国は文化的に密接につながっているが、ベルギーやフランス北部では16時半~17時にとることが一般的だという。一方カナダのフランス語圏では午後の真ん中あたり、つまり14時~16時ころにとることが一般的だと言う。 フロマージュ、クラッカー、クラッカーに塗るヌテラらしきもの、スナック菓子、紅茶(フランス) ナッツチョコとクッキー、飲み物はカフェ派も紅茶派も(フランス、グラディニャン) イギリス、旧大英帝国圏内 イギリスでは、19世紀半ば過ぎごろに、富裕層の人々の間で午後に紅茶を飲むことが一般化し、紅茶を飲みながらパンにバターを塗ったもの(bread and butter)や、薄くスライスしたパンで作った繊細なキュウリサンドイッチや、卵とコショウソウを挟んだサンドイッチや、ケーキやペーストリー類などを食べるということが次第にひろまり、それがやがて中間層まで広がってゆくことになった。イギリスでは午後に紅茶を飲みつつ軽食をとることを「ハイティー」「アフタヌーン・ティー」あるいは単に「tea ティー」などと言うようになった。 現代のイギリスの典型的な「ティー・タイム」は午後3:30~5:00といったところである。イギリスの夕食の時刻は時代とともに傾向が変化してきたので、「ティータイム」も少しづつずれてきた歴史がある。 1942年イギリス イギリス流の「ティー」の本格的なパターン。数段仕立てにしたプレートにサンドイッチやペーストリー類やもっと甘い品々などを盛り、紅茶を飲みつつ、好みの品を選んでとり、ゆったりと楽しむ。飲み物は紅茶と決まっている。この写真はイギリス統治下となった歴史の長い香港のもの。 スペイン語圏 スペインでは、夕食をとる時刻が非常に遅いので、午後5時から6時に「メリンダ merienda」という午後の軽食をとる。スペイン本国に加えて南米や中米各地の午後の間食も「メリンダ」と呼ばれている。 国ごとに習慣も異なるので「メリンダ」で食べられるものも時刻もかなり異なる。 世界のおやつ モロッコのおやつ インドのグジャラート州でポピュラーなおやつ、ファフダ(fafda) インドのコルカタで開催されたウィキ・ワークショップでのおやつ ココナツケーキとお茶(ポーランド) コーヒーとスコーン(オーストラリアのコーヒーショップでのおやつ) チョコとココナツで覆ったスポンジケーキ、紅茶(オーストラリア) 米国ロサンゼルス シンガポール軍と米軍の合同活動時のおやつ
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