ランサー/ ランサー・セディア
ランサーとは英語で、槍を持った騎馬の兵士、槍騎兵のこと。初代は1973年2月にデビューした。2ドアと4ドアのセダンで、エンジンは1.2L、1.4L、1.6Lの3種。フロントエンジン・リヤドライブ、フロアシフトの4、5速MTと3速ATがあった。
75年3月、セレステ(ラテン語で青い空の意、低公害を先取りしたネーミング)を発売した。3ドアハッチバッククーペで定員は5名、エンジンは1.4Lと1.6Lでリヤドライブ。2340mmのホイールベースはセダンと変わらなかった。76年11月のセレステのマイナーチェンジでは、1.6Lエンジンをバランサー付きの新シリーズに換装。1400SRと1600GTというモデルを追加した。79年4月、約6年ぶりのフルモデルチェンジ、2代目はランサーEX(EXCEEDの略。卓越した、優れたの意)というネーミングになった。1.4L型3車種、1.6L型6車種。6月には、セレステに2000GTを追加。1.4Lと1.6Lモデルも小変更を行った。
80年2月、1.8Lのシリウス80エンジン搭載車を設定した。1.4L搭載車も3モデル追加。4月にも小改良、全車のウインドシールドの合わせガラス化を実施。81年5月、1.2L車を加えた。11月、シリーズのトップモデルとして1.8Lターボエンジン搭載車新発売。その圧倒的な動力性能は驚異的だった。
82年2月、フィオーレ(イタリア語で花の意)というモデルを発売した。このクルマは初代ミラージュの双生児車で、ノッチバックスタイルの4ドアサルーン。1.4Lの休筒エンジンを積んでいた。8月にはフィオーレ1.4L車にターボモデルを追加した。
83年10月、フルモデルチェンジ。FF方式の4ドアセダンで、エンジンは1.3L、1.5L、1.6Lとそのターボ、そして1.8Lディーゼル。このときミラージュもフルモデルチェンジしたが、こちらは3ドアと5ドアのハッチバックスタイルだった。4代目となったが、EXも継続販売。11月にはEXにホットな1.8L・160psモデルを設定した。84年9月、フィオーレの1800ディーゼルCE追加。10月にはフィオーレ1600ターボに限っての変更もあった。
85年2月、初のワゴン車が誕生した。4ドア+テールゲートで、エンジンはガソリンの1.5Lと、ディーゼル1.8Lがあった。
86年2月、フィオーレのマイナーチェンジで、エンジン型式名は同じながらサイクロンシリーズに換装、ATは新開発のELCに進化。5月にも1500モデルの車種追加があった。10月、1300のお買い得モデル設定。
88年6月、フルモデルチェンジ、5世代目となった。ミラージュの3代目と双生児車で、ミラージュの3ドアハッチバック車と4ドアセダンに対して、新型は短いテールをもつ5ドアハッチバック車だけになった。エンジンはガソリンが1.5L、1.6Lで、1.8Lディーゼルも引き継いだ。駆動方式はFFと4WD。もっとも高性能のタイプは1600GSR・4WDで、これはフルタイム4WD機構を採用していた。ワゴン車は旧型の継続生産。なお、この時点でフィオーレとEXはなくなった。88年10月、1.8Lディーゼルエンジン+4WDと、同じユニットの2WDモデルが出た。89年3月にも車種追加があった。9月、マイナーチェンジで1.3Lと1.5Lのガソリン・ユニットが新型に変わった。ATも3速から4速にグレードアップした。
91年10月、フルモデルチェンジ、6代目。ボディタイプは4ドアセダンにもどり、駆動方式はFFと4WDがあった。エンジンはこの時点では4気筒型がSOHCの1.3Lと1.5L、1.8Lディーゼルターボ、DOHCの1.5Lと1.8Lターボ、そしてV型6気筒の1.6Lと豊富なラインアップを誇った。V6・1.6Lエンジンは、世界最小のV6だった。
92年10月、1.6LのMIVECとMIVEC-MDを加えた。ディーゼルターボは2に換装。このとき、競技用ベース車としてエボリューション・モデルを設定した。軽量のRSと、街乗りOKのGSRの2タイプがあった。94年1月にはエボリューションⅡを、95年1月にはエボリューションⅢ発売。
95年10月、ミラージュとともにフルモデルチェンジ、7代目に変わった。相変わらずセダンだけで、エンジンは1.3L、1.5L・MVV、1.5L・DOHC、1.6L・MIVEC/MIVEC-MD、1.8LのV6、1.8L・DOHCターボ、2Lディーゼルターボと多彩。駆動方式にFFと4WDがあるのは旧型と同じ。ミッションは電子でファジー制御を行うINVECS-Ⅱ・4速ATを採用したのがニュースだった。
96年7月、エボリューションモデルはⅣに進化。98年1月にエボリューションⅤ、99年1月にはエボリューションⅥを発表した。
2000年5月、セディアという名前でランサーのフルモデルチェンジ版が新しいスタートを切った。ランサーとしては8代目にあたる。エンジンはGDIの1.5Lと1.8Lの2機種。これを横置きに搭載して前輪を駆動。ミッションはすべてCVTとしたことが注目だった。GDIエンジンとCVTの組み合わせを緻密に統合制御することで、低燃費と、レスポンスのいい、スムーズな走りを実現した。ツーリングというグレードにはスポーツモード6-CVTが付く。1.5L・90ps仕様には5速MTモデルも設定。セディアとはCenturyとDiamondからなる造語で、21世紀に向け三菱が提案する5ナンバー・サイズのスタンダードとなることを目指して命名したもの。
ランサーの姉妹車として、ミラージュ・セダンがあったが、それに代わる新しい5ナンバーセダンの誕生で、ミラージュ4ドアは姿を消すことになった。
5月の発表のあと、7月に4WDモデルを追加。11月にセダンをベースにリヤのオーバーハングを55mm延長したワゴン・モデルを発売した。
2001年2月には、セディア・ベースのエボリューションⅦを送り出した。超高性能のスポーツセダン/競技用ベース車で、Ⅶが示すとおり、この種のクルマとして7世代目となる。エンジンは直4・2LDOHC・16バルブターボで、最高出力206kW(280ps)/6500rpm、最大トルク39.0kg-m/3500rpmを発生する。ミッションは5速MT。フルタイム4WDシステムは、アクティブセンターデフを新採用した(GSRに標準)。ブレーキは従来型と同じ、ブレンボ社製。GSRは公道も走ることができ、RSは競技用のベース車。2002年1月には、エボリューションモデル初のAT車(ステアリングシフト付き5速)を発売した。なお、エボモデルは限定車ではなくギャラン店、カープラザ店で扱っている。
2001年5月、ワゴンに1.8L・GDIターボエンジン搭載車を追加。同時にセダン系1.5Lに6速スポーツモード付きCVTを採用したモデルができた。
2003年1月、エボリューションモデルがセディアベースのⅧに進化した。動力関係では2L・4G63型エンジンのトルクを1kg-mアップ、3000~5000rpm領域のトルクバンドが太くなった。さらに6速ミッションを新採用。4WDシステムも従来のACDに新開発のスーパーAYCを組み合わせることで、トラクション性能が大幅に向上した。エクステリアでは大型のフロントバンパー、アンダーカバー。そしてグリル中央の台座に配したスリーダイヤのマークなど、コルトから始まった三菱の新アイデンティティフェースに変わった。リヤには新開発のカーボン繊維強化樹脂製スポイラーを採用。総体的に空力性能。冷却性能、ダウンフォース発生量などの増大を図った。ラインアップは従来同様、ストリート仕様のGSR、モータースポーツのベース車両RSの2ダイス後者には5速MTと6速MT仕様がある。AT車はない。価格は274万円~329万8000円。なお、このモデルからアメリカでの販売が始まった。
2月、セダンとワゴンがコルト顔にリメークして新しいスタートを切った。リヤ部分もセダンのトランクリッドがライセンスプレートの付く形に変わり、MX-Touringが新しいスポイラーやサイドエアダムを採用、ランプ関係にも手を加えてイメージを一新した。ワゴンもバンパーフェイスを滑らかな曲面とし、コンビランプの視認性を高めるなど、大きく変化した。グレードはセダンが1.5Lエンジン搭載のベーシックなMX-Eビジネスパッケージ、カジュアルなMX-E、スポーティなMX-Touring、そして1.8LのエレガントなSE-Gの4タイプ。ワゴンは1.8L・GDIのTouringとターボのT-Touringの2タイプになった。基本は2WDだが、4WDの設定もある。車名からセディアのサブネームがとれた。
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