モーグとの対比
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/19 19:34 UTC 版)
「アープ (電子楽器メーカー)」の記事における「モーグとの対比」の解説
1970年代半ばから後半における音楽マスコミは、モーグとアープをライバル関係にある国外メーカーとして対比させる記事作りをする事が多かった。 例=エイプリル出版が1977年に発行した「ロック・キーボード/シンセサイザー」では、アープの解説の中で「ムーグ(モーグ)と並ぶシンセサイザーの代表ブランドだ(知らない人はモグリか?)」と記述されている。また同誌では「ムーグVSアープ」という特集記事を掲載しており、当時の主力販売機種であるミニ・ムーグ対オデッセイ、そしてマイクロ・ムーグVSアープ・アクシーを比較する形でそれぞれの機種を解説している。 なお1970年代 - 1980年代前半、Moog と ARPの周辺にはいくつものメーカやブランドが漂っており、両社はそれぞれ電子オルガン・メーカと提携し、シンセサイザーのポリフォニック化に取り組んだ。また1980年代初頭には楽器業界の二大資本系列(Norlin と CBS)が両社のブランドもしくは開発チームを引き継いでいた。 ARPMoog1969年 Alan R. Pearlman (特許出願は1962年から)ARP 2500, 2600 ARP Sequencer Odyssey, Solus, Axxe Pro Soloist, Pro/DGX, Explorer Avatar (ギターシンセ) 創業 代表的モジュラー シーケンサ 代表的ポータブル プリセットシンセ 独自製品 1953年 Robert Moog (シンセ開発は1964年から)Synthesizer 55, 15 960 Sequential Controller Minimoog, Multimoog, Micromoog Satellite, Minitmoog Liberation (ショルダー) 両社と縁の深いブランド/メーカARPの販売業者 (一時期) → Maestro : Norlin社のブランド エフェクタ設計のために雇用↓Oberheim / Tom Oberheim ↓ 1986年 Gibsonが買収Gibson (1986年 Norlinから独立) ↑ 1991年 OB-MX開発Buchla / Don Buchla Norlin時代: → Norlin/Maestroと協業? → Norlin/Gibsonと協業 (RD Guitar) 1983年 Moog Music売却新生Moog Music:→ 2003年 Moog PianoBarを共同開発 1978年 ARPが買収 ← Musitronics : Wahペダル製品化Gizmo : Gizmotron製品化 ← Robert Moogが特許取得に協力← Robert Moogが技術協力 電子オルガン・メーカとの提携OEM/ライセンス取得 オランダ N.V.Eminent社がSolina String Ensembleを提供 ライセンス提供 Thomas Organ社、Chicago Music Instruments社 へmoogシンセ製造権を提供 ポリフォニック製品開発1975年 CENTAUR VI開発開始1975年 アンサンブル製品 (Omni)1978年 複合キーボード (Quadra)1981年 Siel社からOEM (Quartet)1981年 ARP Chroma完成1982年 Rhodes Chroma発売1984年 Chroma Polaris発売 1975年 ポリフォニック・シンセ登場 Oberheim 4 voice, YAMAHA GX-11978年 音色メモリー機能 SCI Prophet 51979年 - ディジタル楽器の本格化 Fairlight, Synclavia, Linn, PPG, Emu1981年 - 1983年 MIDI規格策定1983年 - ディジタルシンセの低価格化 YAMAHA DX7, Roland D-50, KORG M11985年 - サンプラーの低価格化 Ensoniq, AKAI 1972年 Constellationプロジェクト始動1975年 Polymoog (1937年のHammond Novachordと同様な設計)1978年 Polymoog keyboard1980年 簡易ポリフォニック製品 (Liberation)1980年 アンサンブル製品 (Opus-3)1982年 Memorymoog発売1980年代半ば ディジタル・シンセ(SL-8)プロトタイプ 結末1981年 倒産 Chroma開発チームはCBS/Fenderに移籍1982年 Rhodes Chroma発売1986年頃 CBSがFender,Rhodes売却、 Chroma開発チーム解散 1982年 Kurzweil K250開発に両創業者参加1980年代後半 初期メーカが軒並み消滅1987年 - 1997年 Rolandが Rhodes商標取得1988年 Rolandが SIEL買収1990年代 DSP/VA/ソフト・シンセ登場 1971年以降オーナが何度も変わる1975年 Norlin社が買収 Norlin傘下Gibsonと協業1977年 Robert Moog退社(→1978年Big Briar設立)1986年 委託製造業化し楽器製造停止1993年 旧Moog Music操業停止2002年 Big Briar社名変更→新生Moog Music このように両社のビジネスは繰り返し競合しており、両社の対比を「音楽マスコミの描いた絵空事」とするのは誤った認識と言えるだろう。 この他、1962年頃から活動開始、1969年UK法人を設立したElectronic Music Studio (London) Ltd. (EMS)は、電子音楽スタジオのコンピュータ制御という他に類を見ない技術を持っていたが(EMS MUSYS III)、1970年代にギター・シンセサイザーを開発(EMS Hi-Fli)、1980年代初頭に本格的ポリフォニック・シンセサイザー(EMS Poly Synthi)を残し会社閉鎖するという、ARPとよく似た経緯を辿っている。
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