メンバー・概要
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「ルナー・ソサエティ」の記事における「メンバー・概要」の解説
ルナー・ソサエティは50年の間に様々な組織形態をとりながら発展していったが、非公式という性格はずっと変わらなかった。会則、議事録、出版物、会員リスト等はどの時期のものも残っておらず、その存在や活動は関係者らの手紙や手記からのみ裏付けられている。研究者の間でも会員の条件、そもそも誰が会員か、組織自体がいつ存在したと言えるのか、等については意見が一致していない。例えばジョサイア・ウェッジウッドは組織の「主要メンバー」5人のうちの一人と言われる 一方、「確かな会員だったとは認められない」とする見解もある。組織設立の日付も「1760年以前のいつか」とする場合 から1775年とする場合 まである。活動停止時期についても1791年以前とすること も、1813年頃とすること もある。 このように活動実態には不確かさはあるものの、以下の人々が確実にこの組織の最も活発な活動時期に会合に参加していたとされる。最初の5人は主要メンバーと考えられている。 エラズマス・ダーウィン - 医師、詩人、チャールズ・ダーウィンの祖父 マシュー・ボールトン - 金属製品業者、ワットとの共同経営者 ジェームス・ワット - 蒸気機関の発明家、企業経営者 ジョサイア・ウェッジウッド - 陶芸デザイナー、食器製品実業家、パイロメーターの発明家 ジョセフ・プリーストリー - 神学、化学、酸素の発見 ウィリアム・スモール(William Smalll) - 自然哲学者 ジョン・ホワイトハースト - 時計職人、地質学研究者 ウィリアム・ウィザリング - 実験薬理学の祖。ジギタリスの薬効効果の発見者 リチャード・ラヴェル・エッジワース(Richard Lovell Edgeworth) - 馬車の緩衝装置の考案者、政治家 ジェイムズ・キア - 化学工業の創業者 サミュエル・ガルトン Jr.(Samuel Galton Jr.) - クエーカー教徒、銃製造業者 トマス・デイ(Thoams Day) - ルソー教育論の崇拝者、奴隷廃止論者、作家 ジョナサン・ストークス - 医師、博物学者。ウィザリングの共同研究者 ただし、この組織において会合の開催以上に、それ以外での活動や情報交換が活発に行われていたことが重要である。バーミンガム在住のメンバーは日常的に連絡を取り合っており、遠方の人間同士でも毎週手紙のやり取りをしていた。この組織の実態をより緩やかに捉えるなら、バーミンガム以外の広範な地域とより長期的なスパンで、上記メンバー以外の様々な人間がそこに関わっていたことになる。研究文献では以下の人物が関係者として挙げられている。 リチャード・カーワン、ジョン・スミートン(John Smeaton)、Henry Moyes、ペトルス・カンパー(Pieter Camper)、R.E.ラスペ、ジョン・ミッチェル、John Baskervilleジョン・バスカヴィル、トーマス・ベドーズ、ウィリアム・トムソン、シリル・ジャクソン、John Wyatt、ジョン・ウィルキンソン、Jean-André Deluc、John Ash 、Samuel More、James Brindley、Ralph Griffiths、John Roebuck、Thomas Percival、ジョセフ・ブラック、ジェームズ・ハットン 、ベンジャミン・フランクリン、ジョセフ・バンクス、ウィリアム・ハーシェル、ダニエル・ソランダー、John Warltire、George Fordyce、Alexander Blair、Samuel Parr、Johann Gottling、Louis Joseph d'Albert d'Ailly、William Emes、バルテルミー・フォジャ・ド・サン=フォン、Grossart de Virly、Robert Bage、ジョセフ・ライト。 産業革命期にその中心地の一つであったバーミンガムにおいて、こうした人々がお互いの研究・実験・調査結果や知識、見聞を活発に交換しながら、科学技術、製造、企業経営、公共事業、教育等様々な領域で大きな成果を生み出してきた。ただし、明確な会員規則がないために、その組織の活動を、18世紀のミッドランド地域での知的・経済的活動の成長そのものと同一視してしまう「ルナー・ソサエティ神話」を批判する学者もいる。逆に、この団体が地域の発展に貢献したことを事実と認め、そこに組織としての意義を見出す見解もある。Robinson(1962-3) では「あらゆる地方の哲学的組織のうちでこれ(ルナー・ソサエティ) が最も重要なのは、おそらくその組織が単なる地方に留まるものではなかったからである。ヨーロッパやアメリカ中の科学の中心人物達とつながりのあったボールトン、ワット、スモールのいたソーホーに、あらゆるものがやってきたのである。この組織が本質的に社交的であると言えるのは、いかなる人間でもその会合に招かれうるという点にあった。」と論じられている。
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