ブラッター会長に関する疑惑
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「2015年FIFA汚職事件」の記事における「ブラッター会長に関する疑惑」の解説
ウィキニュースに関連記事があります。FIFA汚職事件 スイスの司法当局が現職のブラッター会長への捜査を始める 2015年9月24日、スイスの司法当局はブラッター会長に対する捜査を始め、2015年9月25日にはFIFA本部を家宅捜索し、その中で会長室も捜索され、書類などが押収された。また、ブラッター会長に対しても事情聴取を受けた。 スイスの検察当局の発表では、2005年9月12日にブラッター会長が当時のカリブ海サッカー連合の会長だったジャック・ワーナーと結んだ契約が、FIFAの利益に反する行為だったとしている。また、ブラッター会長が2011年2月、FIFAの資金から欧州サッカー連盟会長のミシェル・プラティニに対して200万スイスフラン(日本円でおよそ2億4千万円)を不正に支払ったとの疑いもあるというが、2011年2月はFIFA会長選に関連して、各国のサッカー協会に対する支持を集めるのを各候補者が繰り広げられていたためだったという。なお、これについてはプラティニも関係者として事情聴取された。 ウィキニュースに関連記事があります。FIFAのブラッター会長とUEFAのプラティニ会長に関する疑惑についてFIFA倫理委員会が調査を開始 これを受けて、FIFAの倫理委員会がゼップ・ブラッター会長と、理事を務めるミシェル・プラティニを調査の対象にしていると、9月26日付けのヨーロッパのメディアが伝えた。 ウィキニュースに関連記事があります。FIFAのブラッター会長 辞任を否定 しかし、ブラッター会長は2015年9月28日にFIFAのスタッフに対して、今回明らかになった疑惑について改めて否定したうえで、2016年2月のFIFA会長選まで続投すると明らかにした。また、カリブ海サッカー連合によるFIFAワールドカップのテレビ放映の権利の販売でFIFAに損失を加えた疑惑については「捜査中なので、ブラッター氏はこれ以上の質問には答えない」という。 ウィキニュースに関連記事があります。UEFAのプラティニ会長が疑惑について釈明 ウィキニュースに関連記事があります。プラティニ氏 スイスの司法当局は容疑者の可能性も含めた「参考人」と位置付け 一方のプラティニ副会長も2015年9月28日に、UEFA(欧州サッカー連盟)に所属している協会に対し、書簡で「情報提供のための聴取であり、間違ったことはしていない」と釈明したうえで「一連のできごとで自分やUEFAの名声が傷ついた。誤解を晴らせるように全力を尽くしたい」としている。しかし、9月29日にスイスのミハエル・ラウバー検事総長はプラティニ副会長について、「参考人と容疑者の中間」と位置付けていることを明らかにし、その上で、スイスの西部にあるニヨンに拠点を置くUEFA(欧州サッカー連盟)の本部について、家宅捜索を行う可能性を示した。 2015年10月7日、FIFA倫理委員会内部の調査部門はブラッター会長に対して90日間の停職処分を勧告した。そして、2015年10月8日に、FIFAの倫理委員会はブラッター会長と欧州サッカー連盟のプラティニ会長に90日間の暫定的な活動禁止処分を下した。FIFA倫理委員会ではFIFAのブラッター会長からUEFAのプラティニ会長への金銭授受について、「賄賂」ではなかったかについて調査をしていた。しかし、ブラッター会長が、FIFAの上訴委員会に対して、2日以内に不服の申し立てを行った。 2015年10月21日にFIFAの倫理委員会は、FIFAのブラッター会長とプラティニ副会長の調査内容について、2011年2月にプラティニ副会長に対して支払われた200万スイスフラン(約2億5千万円)の経緯について詳細に調べていると発表した。 2015年12月6日、イギリスのBBCはブラッター会長に関して、かつてのFIFAの幹部らに対しておよそ1億ドル(日本円で120億円)の賄賂が支払われていた事を認識していたという証拠について、アメリカの捜査当局が調査していると伝えた。スポーツに関するマーケティング会社であるインターナショナル・スポーツ・アンド・レジャー(ISL)は、FIFAのジョアン・アベランジェ元会長やリカルド・テイシェイラ元FIFA理事らに合計1億ドル(日本円で120億円)を支払い、その見返りに1990年代にテレビ放映権やマーケティング権を得た。今回明らかにされた書簡はISLの贈賄に言及したもので、アベランジェによって書かれたとみられていて、その中でアベランジェ元会長はブラッター会長が「すべての活動を完全に承知」した上で「常に報告を受けている」と話していると語った。12月7日、スイス司法警察省は2001年に経営破たんしたFIFAのマーケティング代理店であったISL社関連の不法行為疑惑について、アメリカ司法省がこの疑惑の捜査情報提供を求めてきたことを明らかにしている。ブラッター会長は贈賄について、知らなかったと一貫して主張している。また、ブラッター会長はドイツの公共放送でのニュース番組の取材に対しても、「正しくない」として今回の件について否定した。 2015年12月11日、スポーツ仲裁裁判所は、FIFAの倫理委員会から90日間の暫定活動停止処分を受けていたプラティニ副会長がこの処分を不服として行った提訴について、却下する裁定を下したが、その一方で、プラティニ副会長の申し立ての一部を認めた上でFIFAに対し、90日間の処分期間についてさらに延長してはならないという命令をした。 2015年12月21日、FIFA倫理委員会はFIFAのブラッター会長とFIFAのプラティニ副会長に対し、8年間の活動停止処分を科す事を発表した。これについては2016年1月12日、FIFA倫理委員会の調査部門がFIFAのブラッター会長とプラティニ副会長に対する処分を不服としてより重い処分を求め、FIFA上訴委員会に提訴することを明らかにした。また、プラティニ副会長は2016年1月12日、この8年間の活動停止処分を不服としてFIFA上訴委員会に提訴したと関係者が明らかにした。 2016年1月28日、イギリスのBBCの電子版はスイス司法当局がFIFAのブラッター会長の起訴につながる有力な証拠の提供を受けたと伝えた。スイスの司法当局の広報担当によると「非常に助けとなる価値ある情報を受け取った」と話している。 2016年2月24日、FIFAの上訴委員会はブラッター会長とプラティニ副会長の処分について、2人の長年のサッカー界への貢献についてを考慮するべきという理由で、FIFA倫理委員会の裁定部門が下した、活動停止処分について、8年から6年に短縮させることを明らかにした。その後、プラティニは処分取り消しを求め、スポーツ仲裁裁判所に提訴したことを、2016年3月2日にスポーツ仲裁裁判所が発表。 2016年2月27日にスイス連邦検察庁の報道官はNHKの単独インタビューに対して、日本円でおよそ1億7000万円の不正な支出をしたとして、背任の疑いがあるFIFAのブラッター前会長に関して「捜査を優先的に進めている」と述べたうえで、関連して支払いが実施された可能性のある取引記録、合わせて152件をスイスの金融機関から手に入れて、現在も分析を進めていると前置きしたうえで、「ことし(2016年)の終わりか来年(2017年)の始めには、全容を解明できると確信している」と話し、この2017年1月ごろまでに、この事件の全容解明がされるとの見通しを示した。また、ドイツのメディアによれば、スイスの検察当局者も、ブラッター前会長に関し、「捜査が着々と進展している」と話した上で、「2016年末から2017年半ばには起訴できるか否かの判断ができる」という見通しを明らかにしている。さらに、アメリカ連邦捜査局(FBI)もブラッター前会長が、別の収賄に関与していたのではないかという事で捜査を始めたという。 2016年3月9日、スイスの検察当局は声明の中で、2016年3月8日にフランス検察当局の協力によって、FIFAのブラッター前会長の捜査に関連してフランス・パリにあるフランスサッカー連盟の事務所に対して家宅捜索を行い、文書を押収した事を発表し、この中で、今回行った捜索について、スイスの検察当局は、2011年にブラッター前会長が欧州サッカー連盟のプラティニ会長に支払った200万スイスフラン(およそ2億2500万円)が横領ではないかという容疑との関連があるということを認めた。 2016年3月13日付のドイツの新聞、フランクフルター・アルゲマイネはFIFAのブラッター前会長とUEFAのプラティニ会長の両氏について、ブラッターが会長時代の1998年から2002年にかけて、パリにあるプラティニのオフィスの費用として、数百万スイスフラン(日本円で数億円)がFIFAの予算から支払われたことについて、新たな不正支払いの疑いで調べを進めていることを報じた。また、フランクフルター・アルゲマイネでは3月上旬のフランス・サッカー連盟事務所の捜索について、この容疑に関連する可能性が高いとしている。 ウィキニュースに関連記事があります。FIFAのブラッター前会長 スポーツ仲裁裁判所に訴え起こす 活動停止の処分の撤回求め 2016年8月25日にブラッター前会長の裁判がスポーツ仲裁裁判所において14時間以上にわたって行われ、2016年12月5日にはブラッター前会長に対して処分取り消しの申し立てを棄却する裁定が下された。また、同時にブラッター前会長はCASに対して5万スイスフラン(日本円でおよそ560万円)を支払った。
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