フジサンケイグループとプロ野球
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「フジサンケイグループ」の記事における「フジサンケイグループとプロ野球」の解説
1963年、産経新聞社およびフジテレビは国鉄スワローズに出資し、国鉄本社に代わって事実上経営の肩代わりを行った。両社に文化放送・ニッポン放送を加えた4社は明治神宮及び学生野球関係者に働きかけ、神宮第二球場の整備を行う見返りに、神宮球場の国鉄球団による使用を認めさせることで、1964年に国鉄スワローズの本拠地が読売ジャイアンツとの併用の関係で日本テレビが中継権を独占する後楽園球場から神宮球場に移り、フジテレビによる試合中継が本格的に可能となった。 1965年5月10日に産経新聞社が国鉄球団を正式に買収し、シーズン途中から球団の名称をサンケイスワローズに変更し、フジサンケイグループによるプロ野球球団が誕生した。翌1966年に当時産経新聞で連載し、かつフジテレビでテレビアニメを放送していた漫画「鉄腕アトム」に倣って、サンケイアトムズに改称した。しかし、肝心の成績が低迷し球団経営も悪化。水野成夫の後を受けた鹿内信隆はグループ事業の見直しを推進し、1969年に水野と旧知の関係にあった南喜一が経営するヤクルト本社に球団を事実上譲渡し、球団名も名目上、産経新聞社とヤクルトの共同経営とした1969年に限り暫定的にニックネームの「アトムズ」だけで1年通したが(ユニフォームのホーム用袖ロゴとビジター用胸ロゴは先行して『Yakult』標記に変更)、その後ヤクルトアトムズ(虫プロダクションの倒産の影響で1974年に「ヤクルトスワローズ」に改称し、2006年に「東京ヤクルトスワローズ」に再改称)に変わった。但し、以降もフジテレビ・ニッポン放送・文化放送との優先中継権は残り、関係は継続された。1998年、フジテレビがヤクルト球団の株式の約20%を第三者割当により取得し、業務提携を行った。 国土計画(コクド)の堤義明は、横浜スタジアムの建設および大洋ホエールズの横浜移転に絡んだことで、大洋球団の第三者割当に応じて株式の約45%を取得したが、1978年にコクドが福岡のクラウンライターライオンズを買収し、西武ライオンズを発足させた。野球協約では同一企業、あるいはその関連会社が複数の球団を経営する事を禁じており、コクドは大洋球団株を放出せざるを得なくなり、ニッポン放送が約30%、東京放送(TBS、現・TBSホールディングス)が約15%をそれぞれ引き受ける事になった。 大洋は1960年以来東京放送(TBS)と深い関係にあったが、1975年にテレビの優先中継権は日本教育テレビ(現・テレビ朝日)に移り、東京放送・フジテレビは日本教育テレビ→テレビ朝日から放送権を購入する形となり、元々対巨人戦を中心に散発的だった日本テレビは大洋主催試合の中継から撤退した。さらに1978年ラジオの巨人主催試合の中継権に絡む読売新聞社・ラジオ日本と在京3局との係争関係で、TBSラジオが抜け駆けして読売陣営に鞍替えしたため、報復処置として、ニッポン放送(文化放送及びNRNを含む)が大洋のラジオ独占中継権を獲得した1979年以降、大洋とニッポン放送、翌1980年からはその関連会社であるフジテレビとの関係が深まった。ただし、東京放送も大洋球団株を保有した関係上、TBSテレビは大洋主催試合の放送権保有と水・日曜日の優先的中継を継続した。その一方で1975年からテレビでの優先中継権を持っていたテレビ朝日は、1979年以降段階的に中継を縮小・撤退した(日本野球機構主催で開催されるオールスターゲームを除く)。 こうして、フジテレビがヤクルト球団に20%、ニッポン放送が大洋球団から名称変更した横浜ベイスターズに30.77%、それぞれ出資していた。 2001年シーズンオフ、横浜球団の株式53.85%(70万株)を保有していたオーナー企業のマルハ(現・マルハニチロ、旧・大洋漁業)が、球団の株式をニッポン放送へ譲渡する事となり一度は合意したが、コクド(西武球団)の事例と同様、巨人の渡邉恒雄オーナーが野球協約違反として異議を唱えた。代わって、球団の第3位株主であったTBSが47万株、TBSの持分法適用関連会社のBS-i(現・BS-TBS)が23万株(17.69%)を引き受けることとなった。この結果、TBSが従来から保有していた20万株(15.38%)を合わせて51.54%の筆頭株主(TBSグループとして69.23%)となり、オーナー企業となった。この時、横浜主催試合のラジオでのニッポン放送・文化放送複占が解消され、1999年にTBSラジオに、1995年にRFラジオ日本に条件付きで開放されていた両局の放送権が全面回復した。 2006年4月には、フジテレビがニッポン放送の資産を吸収することで、フジテレビがヤクルト球団と横浜球団の株式を保有し(横浜はニッポン放送名義)、野球協約に完全に抵触することになった。2011年12月2日にTBSホールディングスは球団持株の49.69%を、BS-TBSは球団持株の全株をそれぞれディー・エヌ・エー(DeNA)に譲渡して横浜DeNAベイスターズが誕生したが、ニッポン放送は依然として同球団の第2位株主となっていた。しかし、2013年3月期のDeNAの有価証券報告書によると同社の球団保有株は97.7%となっているため、この時点までにフジHDは保有株式をすべてDeNAに譲渡しており、野球協約に対する抵触問題を解消している。
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