チェルニー(ツェルニー):ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調
シューマン:ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
---|---|---|
シューマン:ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調 | Grande sonate pour le pianoforte Nr. 3 f-Moll Op.14 | 作曲年: 1835-1836年 出版年: 1836年 初版出版地/出版社: Haslinger |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
|
---|---|---|---|
1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro | 8分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Scherzo | 6分30秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Quasi variazioni: Andantino de Clara Wieck | 8分30秒 | No Image |
4 | 第4楽章 Mov.4 Prestissimo possibile | 7分00秒 | No Image |
作品解説
シューマンのピアノソナタの中では最も大きな規模をもっている。この曲が楽譜として刊行されたときに、出版業者ハスリンガーの希望で「管弦楽のない協奏曲」と命名された。
初版刊行のために準備された銅版は、二つのスケルツォ楽章をもつ五つの楽章によって構成されていたが、これが実際に印刷されたかどうかは明確ではない。
「管弦楽のない協奏曲」と命名、刊行された初版は、二つのスケルツォ楽章が割愛され、三楽章で構成されていた。
第二版では、初版で割愛したスケルツォのうち一つを復活させ、「第三番グランド・ソナタ」と銘打って出版された。これが、今日演奏されているものである。
管弦楽的な多様な色彩感をもった華やかな作品。
作品全体において、第三楽章に重点がおかれている。これは恋人クララの作曲したロマンスを主題に用いた変奏曲で、この冒頭の動機によって曲全体が関連づけられている。
第一楽章:アレグロ
7小節の力強い序奏をもつ。ソナタ楽章。第一主題は、クララの動機に基づく。
第二楽章:スケルツォ
クララの動機に基づく下降形の主楽想で始まる。
第三楽章:変奏曲風に
「クララ・ヴィークのアンダンティーノ」と、その四つの変奏曲。
クララの父親に交際を禁じられていたシューマンの、彼女への熱い想いを感じさせる。
第四楽章:プレスティッシモ・ポッシービレ
めまぐるしい気分の変化をもつフィナーレ。
ブラームス:ピアノソナタ 第3番 ヘ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
---|---|---|
ブラームス:ピアノソナタ 第3番 ヘ短調 | Sonate für Klavier Nr.3 f-Moll Op.5 | 作曲年: 1853年 出版年: 1854年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
|
---|---|---|---|
1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro maestoso | 11分00秒 | No Image |
2 | 第2楽章 Mov.2 Andante espressivo | 13分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 Mov.3 Scherzo: Allegro energico | 5分00秒 | No Image |
4 | 第4楽章 Mov.4 Intermezzo (Ruckblick Andante molto) | 4分00秒 | No Image |
5 | 第5楽章 Mov.5 Finale: Allegro moderato, ma rubato | 8分00秒 | No Image |
作品解説
5楽章からなる。その第2楽章と第4楽章は、他楽章よりも前に完成しているが、全体は、1853年秋から冬にかけて、シューマンの住むデュッセルドルフでかきあげられた。しかし、ブラームスは満足せず、その後も改定を加え、なかでも、終楽章には大きな変更を加えた。
作品1と作品2のソナタよりも大きな規模をもっており、ブラームスはこの作品5でピアノ・ソナタの終着駅にたどりついたと考えたようである。全体は、第1楽章を基本的なモットーにして統一されている。
第1楽章:アレグロ・マエストーソ、ヘ短調、四分の三拍子。ソナタ形式。第1主題の最初の進行には、これ以後のブラームス作品でしばしばみられる、ブラームスのモットーのF-A-F(Frei aber froh “自由にしかし喜ばしく”の各語のイニシャルにもとづく)の萌芽がすでにみられる。このモットーはヨアヒムのモットーF-A-E(Frei aber einsam“自由にしかし孤独に”)から思いついたものである。
第2楽章:アンダンテ・エスプレッシーヴォ、三部形式による。変イ長調、四分の二拍子。
ブラームスは、この第2楽章の最初に詩人シュテルナウの「若き恋」という詩の一節を標題として掲げている。大意は次のとおりである。
「黄昏はせまり、月は光り輝く
そこに二つの心が、愛で結ばれて
互いによりそい、抱き合う。」
この楽章は、独立して演奏されることもあった。
アンダンテ・モルトの結尾部のなだらかな旋律は、後にワーグナーが「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のハンス・ザックスの歌に流用したと伝えられている。
第3楽章:アレグロ・エネルジーコ、スケルツォ。ヘ短調。
第2、第4楽章はいろいろな意味で対になっており、また、第1楽章は第5楽章に密接に関連しているので、全曲は、この第3楽章を中心にして、対照形のようになっている。
第4楽章 アンダンテ・モルト、変ロ短調、四分の二拍子。この楽章は、「間奏曲(インテルメッツォ)」と記されている。また、ブラームスは「回顧」という副題をおいている。これはシュテルナウの詩の題名である。この曲にはブラームスがライン地方の旅行のときに会ったある少女に対する想い出がこめられているという説がある。
切れ目なく次の楽章に続く。
第5楽章:アレグロ・モデラート・マ・ルバート、ヘ短調、八分の六拍子。ロンド形式で、A-B-A-C-A-結尾という形をとっている。その主題は、第3楽章のものと密接に関連しており、また、ヘ長調の第1副主題はヨアヒムのモットーにもとづく。最後の結尾は、カノンを用いて壮大な頂点を築きあげる。
「ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調」の例文・使い方・用例・文例
- ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調のページへのリンク