その四
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 06:15 UTC 版)
この頃あの方は、ずっと「近江」という女のもとへ通い詰めだという噂だった。そんなある日、あの方はまた思い出したように手紙を寄こすこともあり、私が素っ気ない返事をやっても平気な様子で、何事もなかったかのように、縫物などを持って来させて、「これを仕立ててくれ」などと言ってよこした。だが、私はそれを縫うことなく、そっくりそのままそれを返した。京に戻って来ている父の許へ行った私は、道綱も側に呼んで、いよいよ長い精進を初めた。私は、「どうぞ思い切って死なせて、菩提をかなえさせて下さいませ」などと、少し涙ぐみながらお勤を続けた。
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