かげろふの日記
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『かげろふの日記』(かげろうのにっき)は、堀辰雄の中編小説。全8章から成る。平安時代の女流日記『蜻蛉日記』を原典にした作品である[1][注釈 1]。愛されることはできても、愛することを知らない男に執拗に愛を求めつづけ、その不可能を知るに及び、せめてその苦しみを男に解らせようとするが、遂にはそれにも絶望し、自らの苦しみの中に一種の慰藉を求めるにいたる不幸な女の物語[2]。堀が日本古来の王朝女流文学に深い傾倒を示した作品群の一作目にあたり、リルケ体験を通して日本の古典文学を現代に蘇らせて、「恋する女の永遠の姿」を描いている[3][4][5]。また、『聖家族』などに見られる「苦しめ合う愛」のモチーフも見受けられる作品でもある[6]。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h 「解題」(全集2 1996)
- ^ a b c d e f g h i j 堀辰雄「山村雑記」(のち「七つの手紙」)(新潮 1938年8月号)。全集3 1996, pp. 59–76
- ^ 丸岡明「解説」(かげろふ 1955)
- ^ a b c d 縄田一男「作品解題」(縄田 1992, p. 396)
- ^ a b c d e 「鎮魂の祈り」(アルバム 1984, pp. 65–77)
- ^ a b c d e 山本 2004
- ^ a b c 谷田昌平編「年譜」(別巻2 1997, pp. 407–422)
- ^ a b c d e 神品芳夫「堀辰雄とリルケ」(國文學 1977年7月号)。別巻2 1997
- ^ a b 三島由紀夫「現代小説は古典たり得るか 「菜穂子」修正意見」(新潮 1957年6月号)。三島29巻 2003, pp. 541–551
- ^ a b c 縄田一男「藤原道綱の母」(縄田 1992, p. 206)
- ^ 塚本康彦「平安朝文学――堀辰雄の日本的なもの」(解釈と鑑賞 1961年3月号)。山本 2004
- ^ 大森郁之助「『かげろふの日記』の強さと弱さ」(『論考 堀辰雄』有朋堂、1976年)。山本 2004
- ^ 福永武彦「堀辰雄の作品」(『堀辰雄全集』月報、新潮社、1958年)山本 2004
- ^ 竹内清巳『堀辰雄と昭和文学』(六弥書店、1929年)。山本 2004
- ^ 三島由紀夫「あとがき」(『三島由紀夫作品集4』新潮社、1953年)。三島28巻 2003, pp. 108–115
- ^ 三島由紀夫「自己改造の試み――重い文体と鴎外への傾倒」(文學界 1956年8月号)。三島29巻 2003, pp. 241–247
- ^ a b 柳川 2002
- 1 かげろふの日記とは
- 2 かげろふの日記の概要
- 3 あらすじ
- 4 登場人物
- 5 脚注
- 6 外部リンク
- かげろふの日記のページへのリンク