その名はバイルシュタイン What's in a Name?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/24 14:10 UTC 版)
「アシモフのミステリ世界」の記事における「その名はバイルシュタイン What's in a Name?」の解説
※初出 The Saint Detective Magazine 1956年6月号。非SF。 大学の化学図書館に勤める二人の女性司書、スーザンとマリーはとてもよく似ていた。血のつながりはないが、体型も容姿も双生児と呼ばれるほどだった。ある日の午後、マリーが殺された。警察から警視が来て捜査を始めた。死因は、砂糖つぼに入れられた青酸化合物による毒殺だった。大学の研究室には青酸カリがあり、昼間は鍵をかけずに保管しているらしい。盗む気になればだれでも可能である。その時間帯に図書館に出入りした人物にあたってみても、犯人はわからなかった。それでもヒントがあった。一人の男子学生をめぐって、スーザンとマリーが争っていたらしい。さらに、ドイツ訛りで話す毛皮商人が、殺虫剤のことを調べるためこの図書館に入り、受付で名乗ったときに、そこに出ていた女の子がにっこり笑ったというのだ。でも今日はスーザンもマリーも、同じような服を着ているので、毛皮商人もどちらかの女の子だったかはわからないという。 スーザンに、そのとき笑った理由を聞くと、たんに愛想笑いをしただけと答えた。毛皮商人に関係することで笑ったのかと聞いても、それは違うという。毛皮商人の名前を尋ねれば、ありふれた名前だったので覚えていないという。しかし化学図書館の職員ならば、化学に関係する仕事をしている人間ならば、絶対に忘れられない名前を毛皮商人は持っていた。「バイルシュタイン」という名前を。60巻もの化学事典を記したバイルシュタインの名は、歴史上の有名人物の名に匹敵するほどだ。毛皮商人が名乗った名前を覚えていないと話すスーザンが、受付に出ていたはずがない。そのとき受付にいたのはマリーであることは確実だった。そのことを指摘されてスーザンは白状した。マリーが受付に出ているあいだにスーザンは、砂糖つぼに青酸カリをつめていたのだ。
※この「その名はバイルシュタイン What's in a Name?」の解説は、「アシモフのミステリ世界」の解説の一部です。
「その名はバイルシュタイン What's in a Name?」を含む「アシモフのミステリ世界」の記事については、「アシモフのミステリ世界」の概要を参照ください。
- その名はバイルシュタイン What's in a Name?のページへのリンク