スポンサー支援の有用性の認識
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 00:26 UTC 版)
「実業団」の記事における「スポンサー支援の有用性の認識」の解説
昭和期においては企業自らが実業団を所有し、チームに自社名を冠することが宣伝効果であると認識されていたが、時代の流れに伴いそれが通用しなくなる現状が多くなり、特に1990年代以降サッカーにおいて「地域密着」のスローガンのもとでクラブ名から企業名を排除した日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のビジネスモデルが一定の成功を収めるようになると、サッカー以外においても実業団が地域との協働によるクラブチームに移行する流れを作った。新日鉄の実業団廃部の際も会社がクラブチームへの移行に導き(新日鉄堺バレーボール部→堺ブレイザーズなど)、引き続き一スポンサーとしての支援を継続した。一方で、形態を維持しながらも他企業スポンサーを獲得する実業団も登場しており、トップカテゴリの国内リーグがプロリーグであるサッカーでもマスコミの露出が極端に少ないJFL以下のカテゴリにそういった実業団が複数存在する。ユニフォームスポンサーを付けている地域リーグ・中国リーグ在籍の三菱自動車水島FCや創設からなでしこリーグ在籍までの時代のノジマステラ神奈川相模原はその最もたる例である。その他、JFL在籍のソニー仙台FC・FCマルヤス岡崎・ホンダロックSCのように『法人サポーター』という名目で他企業スポンサーを得ている実業団も存在する。サッカー以外ではラグビーのトップリーグに在籍する宗像サニックスブルースが挙げられ、ユニフォームスポンサーとして吉野家、JVCケンウッド、ミッシェル・エルブランといった著名な企業が名を連ねている。 前出の太田雄貴や川内優輝のように、雇用する会社・組織が必ずしも自らの実業団に所属することを強制せず、他のクラブチーム等で活動することを容認する例もあり、雇用すること自体を安定収入を与えるスポンサー支援の一環と割り切った形も生まれた。表示灯株式会社は創業者がホッケーの経験者であるため男子ホッケー部を有しており、国内強豪で日本代表にも選手を送り込んでいたが、2006年に運営主体を特定非営利活動法人としたクラブチームに転身した。なお所属選手は別々の地元企業が雇用するという形式である。また2019年からは表示灯株式会社がメインスポンサーとなった。 東北フリーブレイズは運営会社から地元企業に選手を正社員や契約社員として派遣し、試合や練習が無い日はそこに勤務しながらチーム活動に取り組むという方式を採用している。また、横浜GRITSでは、選手は運営会社とプロ契約を結びながらも並行して地元企業に勤務する「デュアルキャリア」を標榜している。 日本ではロードレースチームは実業団が中心であったが、宇都宮ブリッツェン、ヴィクトワール広島、キナンサイクリングチームのようにチームの運営会社にスポンサーが出資するという海外で主流の形式も登場している。一方で愛三工業レーシングチームやチーム ブリヂストン サイクリングのような実業団チームも活動している。 アークコミュニケーションズは新興のIT企業ながら、2011年に結成したスキー部の選手は午前中に練習、午後に勤務、引退後は正社員として継続雇用という旧来型の実業団である。 プレステージ・インターナショナルは地域貢献を目的として地方にバスケットボール、バレーボール、ハンドボールの女子実業団を創設した。 メルカリは障害者アスリートを練習しやすい勤務形態で雇用する「アスリート契約」を行っている。 いちごはスポーツ支援としてウエイトリフティング部を、CSRとしてライフル射撃部と陸上部を立ち上げている。 日本のフェンシングは実業団選手や公務員などの兼業選手が多く、クラブチームを結成しスポンサードで資金を調達する専業選手は、三宅諒のようなメダリストであっても経済的に厳しい状況である。近年では2009年4月にNEXUSが実業団を立ち上げている。これは会社代表の星野敏がフェンシング経験者であり、宣伝より振興を目的としたものである。 宣伝効果を狙った例としては、2016年には壽屋が大学駅伝の選手を雇用し陸上部を新たに結成したが、会社側では明確に『宣伝ランナー』とし自社製品の宣伝ユニフォームで大会に参加させるなど、広告塔としての活動を強調しており、2021年にはより高いレベルを求めた選手がコモディイイダの駅伝部へ移籍した。 コモディイイダの陸上部は1973年に陸上競技経験者の有志が結成した愛好会であったが、一時期の活動縮小を歴て2009年に実業団登録している。 一方で、長距離走のように平成以後、実業団と実業団大会への指向が強められたスポーツもある。この競技の場合、国内での大会を活性化することには成功しているが、駅伝競走というガラパゴス化した競技形態への依存を強めた結果、昭和期において日本のお家芸であったマラソンは、国際大会で凋落の一途をたどることとなる。コモディイイダの陸上部は駅伝を主眼とする選手が所属する「駅伝部」と、それ以外の競技及びメンバーによる「アスリートクラブ」に分割している。
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