ジュピターC
名称:ジュピターC(ジュノーI)
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ陸軍
開発機関・会社:アメリカ陸軍弾道ミサイル局(ABMA)
運用機関・会社:アメリカ陸軍
打ち上げ場所: ケ−プカナベラル空軍基地
運用開始年: 1958年
運用終了年: 1958年
ジュピターC(ジュノーI)は、アメリカで最初の人工衛星エクスプローラー1号を打ち上げたロケットです。もともとはレッドストーン・ミサイルの弾頭を開発するための試験ロケットでした。フォン・ブラウン博士は早くからこれで人工衛星を打ち上げることを提案していましが、国防省から衛星打ち上げを止められていました。しかしソ連が1957年10月4日にスプートニクを打ち上げると、国防省はあわててフォン・ブラウンに衛星打ち上げを命じました。ジュピターCに第4段を追加したロケットは、ジュノーIと改名されて、1958年1月31日にアメリカ最初の人工衛星エクスプローラー1号を打ち上げるのに成功しました。
1.どんな形をし、どんな性能を持っているの?
ジュピターC(ジュノーI)はレッドストーンの改良型で、それと同じく円筒形の胴体に4枚の尾翼を持っています。しかし1基のロケット・エンジンは、燃料に非対照ジメチルヒドラジンとジエチレン・トリアミンを組み合わせたものを、酸化剤には液体酸素を使って、37.6tの推力を発生させています。第2段は固体推進剤で推力680kgのベイビー・サージャント・ロケットを11本円環状に並べたもので、その中央に第3段のベイビー・サージャント・ロケットが3本入っています。ジュノーIでその上に追加された第4段は、推力816kgのベイビー・サージャント・ロケット1本で、先端に衛星を取り付けています。ジュノーIは、全長21.7m、離床重量29tになります。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
第2段から上の弾体は、離床の直前に回転を与えられ、第1段から分離した際にも安定した姿勢を保つようになっています。第1段が157秒燃焼してから分離した第2/3/4段は、高度247kmに達したところで水平向きになり、地上からの指令で執に点火されます。エクスプローラー1号は高度360kmX2549kmの楕円軌道に乗りました。
3.どんなものを打ち上げたの?
エクスプローラー1、同3、同4号を打ち上げました。
4.どのくらい成功しているの?
1957年12月から1959年9月までの計11回の衛星打ち上げの試みのうちで、3回(ヴァンガード1号、同2号、同3号)だけ衛星を軌道に乗せるのに成功しています。
ジュノーI
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/09 15:08 UTC 版)
![]() ジュノー I ロケット(USAF) |
|
機能 | 衛星打ち上げロケット |
---|---|
製造 | クライスラー。ABMAが発注 |
開発国 | アメリカ合衆国 |
大きさ | |
全高 | 21.2 m (69.5 feet) |
直径 | 1.78 m (5.8 feet) |
質量 | 29,060 kg (64,070 lb) |
段数 | 4段 |
積載量 | |
LEOへのペイロード | 16.86 kg |
打ち上げ実績 | |
状態 | 退役 |
射場 | LC-5と26A, ケープカナベラル・ミサイル射場, フロリダ州 |
総打ち上げ回数 | 6回 |
成功 | 3回 |
失敗 | 3回 |
初打ち上げ | 1958年2月1日 |
最終打ち上げ | 1958年10月23日 |
第1段 - レッドストーン (延長型) | |
1段目名称 | レッドストーン (延長型) |
1段目全長 | |
1段目直径 | |
エンジン | 1x ロケットダイン A-7 |
推力 | 42,439 kgf (93,562 lbf) |
比推力 | 235秒 |
燃焼時間 | 155秒 |
燃料 | Hydyne/LOX |
第2段 - MGM-29を束ねる | |
2段目名称 | MGM-29を束ねる |
2段目全長 | |
2段目直径 | |
エンジン | 11基の固体燃料ロケット |
推力 | 7,480 kgf (16,490 lbf) |
比推力 | 214秒 |
燃焼時間 | 6秒 |
燃料 | 固体燃料ロケット - ポリスルフィド-アルミニウム and 過塩素酸アンモニウム |
第3段 - MGM-29を束ねる | |
3段目名称 | MGM-29を束ねる |
3段目全長 | |
3段目直径 | |
エンジン | 3基の固体燃料ロケット |
推力 | 2,040 kgf (4,500 lbf) |
比推力 | 214秒 |
燃焼時間 | 6秒 |
燃料 | 固体燃料ロケット - ポリスルフィド-アルミニウムと過塩素酸アンモニウム |
第4段 - MGM-29 | |
4段目名称 | MGM-29 |
4段目全長 | |
4段目直径 | |
エンジン | 1基の固体燃料ロケット |
推力 | 680 kgf (1,499 lbf) |
比推力 | 214秒 |
燃焼時間 | 6秒 |
燃料 | 固体燃料ロケット - ポリスルフィド-アルミニウムと過塩素酸アンモニウム |
ジュノー I(Juno I)は、アメリカ合衆国が開発・運用したロケット。4段式であり、1958年1月にアメリカ初の人工衛星であるエクスプローラー1号を打ち上げた。レッドストーンシリーズのロケットであり、ジュピターC観測ロケットの発展型である。混同される場合があるジュノーII(Juno II)はPGM-19 ジュピター中距離弾道ミサイルに由来する。
開発
ジュノーIはジュピターCロケットの発展型として開発された。ジュピターCの3段目の上部に、4段目を追加したものである。3段目が燃焼した後に、4段目が点火して18,000 mph (8 km/s)の地球周回速度に達する。ヴェルナー・フォン・ブラウンが提案したオービター計画に基づき、1956年にこの多段式システムが設計された。上段の誘導装置を取り除いても、機構が単純化された多段式システムは、ペイロードを軌道に投入する有効な方法とされたが、誘導装置が無い事により正確な軌道へは投入する事が出来なかった。4段式のジュノーIの3段式のジュピターCの全高は両方とも同じ(21.2m)であり、ジュノーIの追加された4段目は、3段目からのノーズコーン内に置かれている。
歴史
ジュノーIによるエクスプローラー1号の打ち上げはアメリカに大きな成功をもたらしたが、5回の打上げのうち、2回だけ(エクスプローラー3号と4)が成功した。これは、ヴァンガード・ロケットとバイキング・ロケットシリーズの打ち上げの失敗の後にもたらされたものであった。
ジュノーIの相対的な成功の後、フォン・ブラウンはレッドストーンよりもPGM-19 ジュピターの1段目を使用してジュノーIIを開発した。
ジュノーIは6基打ち上げられている:
- 1958年1月31日: エクスプローラー1号の打上げ成功。衛星の重量は30.66 lb (13.91 kg)でペイロード重量が18.35 lb (8.32 kg)である。軌道は近点が224 mi (360 km),遠点が1,575 mi (2,535 km)だった。エクスプローラー1号からの送信は電池切れで1958年5月23日に停止したがその後12年間以上にわたり周回を続けた。1970年3月31日に太平洋へ落下した。
- 1958年3月5日: エクスプローラー2号の打上げ失敗、軌道投入不成功。衛星の重量は31.36 lb (14.22 kg)でペイロード重量が18.83 lb (8.54 kg)である。4段目に着火できず失敗した。
- 1958年3月26日: エクスプローラー3号の打上げ成功。衛星の重量は31.0 lb (14.0 kg)でペイロード重量が18.53 lb (8.41 kg)である。軌道は近点が119 mi (192 km), 遠点が1,740 mi (2,800 km)だった。1958年6月28日に落下した。
- 1958年7月26日: エクスプローラー4号の打上げ成功。衛星の重量は37.16 lb (16.86 kg)でペイロード重量が25.76 lb (11.68 kg)である。軌道は近点が163 mi,遠点が1,373 mi (2,210 km)だった。1959年10月23日に落下した
- 1958年8月24日: エクスプローラー5号の打上げ失敗、軌道投入不成功。衛星の重量は37.16 lb (16.86 kg)でペイロード重量が25.76 lb (11.68 kg)である。分離後、ブースターが2段目に衝突して上段の燃焼角度がずれて失敗した。
- 1958年10月23日: 12 ft (3.7 m)の膨張型航法衛星を軌道に投入した。衛星の重量31.5 lb (14.3 kg)でペイロード重量が18.3 lb (8.3 kg)である。ブースターから途中で2段目が分離して失敗した。

参考文献
ジュノー I
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 20:35 UTC 版)
ジュノーIは人工衛星を打ち上げる為のロケットであり、ジュピターCの改良型である。ジュピターCの3段目の上に更に4段目が加えられた。ジュノーの名前は、フォン・ブラウンが気象観測ロケットのバイキングから開発されたバンガードロケットの表記のように、兵器ではなく平和目的の人工衛星の打ち上げを願ったことに由来する。ジュノーIはジュピターCと同じ高さ(21.2m)だったが、外装内に追加された4段目が隠されていた。アメリカ合衆国にとって初の人工衛星の打ち上げに成功した機体で、しばしば誤ってジュピターCと混同される。
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