キ46-III
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:37 UTC 版)
「一〇〇式司令部偵察機」の記事における「キ46-III」の解説
当初の計画通り600km/hに達した一〇〇式司偵だったが、連合軍戦闘機の速度・高空性能の向上およびレーダーの発達により二型(キ46-II)は性能不足となってきた。これにより1942年5月、陸軍はキ46第二次性能向上型であるキ46-IIIの開発を三菱に指示。要求性能は最大速度650/km/h以上・航続時間の1時間延長・キ46-I/IIより離着陸の容易化であった。エンジンは燃料直接噴射式かつ水メタノール噴射装置付きの高出力ハ112-II(出力1500HP)を指定。 ハ112-II(1500HP)は二型(キ46-II)のハ102(1080HP)より出力で420HP大きいがサイズも1.4倍で直径も100mm大きくなるため、久保技師らはナセルを新設計すると共に、(キ46-IIIの特徴となる)操縦席風防・天蓋を機首先端にまで伸長した「段無し式」とし機体全体の抵抗減少を図った。この機首部には200lの燃料タンクが増設され機内燃料搭載量を1,895lとし、さらに胴体下面に400 - 600lの落下タンクを装備可能とすることで航続時間(航続距離)の問題をクリアしている。さらに、防弾装備として燃料タンクは被弾時の耐弾・防火性に優れた外装積層ゴム式(セルフシーリング)である防漏タンク(防火タンク・防弾タンク)となった。 プロペラには住友金属がライセンス生産していたハミルトン・スタンダード製の油圧式可変プロペラを独自に改良し、ピッチの変更範囲を拡大したペ26が採用された。 装備も無線機は長距離用の九九式飛一号無線機に、写真装置も一〇〇式小航空写真機1台・一号自動航空写真機1台となり、偵察機としても更なる性能向上がなされている。また、武装として従来一/二型(キ46-I/II)が装備していたテ4 試製単銃身旋回機関銃二型(7.7mm旋回機関銃)1挺は自衛用として効果が薄いため廃止され、名実共に一〇〇式司偵は「速度だけが唯一の武器」となった。 キ46-III試作第1号機は1943年(昭和18年)3月に完成、翌1944年(昭和19年)3月に基本審査を終え実用審査を経た同年8月に一〇〇式司令部偵察機三型として制式採用された。最大速度は630km/h/6,000mを記録、これは四式戦闘機「疾風」(キ84)の624km/hを押さえ、「戦時中に実用化された日本陸海軍機中最速機」である。同時に高高度である8,000m - 10,000mにおける高空性能は大幅に向上し、上昇力も優秀であった。欠点は風防伸長・曲面ガラスのため視界の歪みや夜間飛行時の内面乱反射の発生、自動操縦装置と酸素装置の不良程度であった。ほか、一〇〇式司偵唯一の欠点としては二型(キ46-II)から続く主脚の強度不足が挙げられる。 審査中の1944年3月には、エンジンの集合式排気管を推力式単排気管に改めることによってさらに12km/h程度の速度向上が確認された(約642km/h)。またこの単排気管は夜間飛行時の消炎(消焔)効果にも役立った。
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