オレンジワインとは? わかりやすく解説

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スキンコンタクトワイン

(オレンジワイン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/11 07:56 UTC 版)

試飲されるスキンコンタクトワイン

スキンコンタクトワイン: skin-contact wine)とは、ブドウ果実の破砕後に果汁(搾汁)と果皮を発酵までの一定期間低温で接触させ果皮に含まれている揮発性フェノール類などの香り成分を果汁に溶け込ませる技法を用いて醸造されたワイン[1][2]。浸漬時間と温度は醸造家により異なる[2]。ブドウ品種特有の香りを強く持たせられ[1]。長時間のスキンコンタクトを行うと成分の酸化に伴う特有の色調を有することから、アンバーワインあるいはオレンジワインとも呼ばれる。

解説

果実を破砕した後、搾汁と果皮を速やかに分離する通常の白ワインの製法とは対照的である。果皮には、白ワインには通常好ましくないと考えられる色素フェノールタンニンが含まれており、赤ワインにおいては果皮との接触、浸漬が赤ワイン特有の色調フレーバーテクスチャーのワイン製造工程において肝要な部分となっている。このワイン製法についても、白ワインをベースにブドウ果皮が持つ色素との接触度合いによって受けるオレンジ色あるいは琥珀色の色調が特徴としてよく知られている[3][4]

このワイン製法は、赤ワイン用ブドウからワインにわずかにピンクがかった色合いが着いた時点で速やかに果皮を取り除くことが必要なロゼワインの製法と、基本的に正反対である。しかしながら、赤でも白でもないスキンコンタクト調整を施す有名なブドウ種の中でも、ピノ・グリ (Pinot gris)種においては、スキンコンタクトワインとロゼワインの両方で、ピンク、アンバー、オレンジ、サーモンピンク等で表現される類似した色調を示す可能性があり、用語の拡散性が指摘されている[5]

この風習は、スロベニアフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州では何世紀にも及ぶ歴史があり[6]、東欧のワイン生産国であるジョージアでは何千年もの歴史があった[3]。この製法はイタリアとスロベニアのワイン生産者によって人気が再燃し、イタリア・スロベニア国境地帯のフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州とゴリシュカ・ブルダ地方で広がり[7]、現在では、スロベニア、クロアチアオーストリアドイツニュージーランドカリフォルニア州でも製品が存在する[8]

1950年代から1960年代にかけて、イタリアではスキンコンタクトワインは珍しくなかったが、時代遅れに陥り、技術的に「正統派の」澄んだ白ワインが市場を支配するようになった[9]

汎用的な用語としての「オレンジワイン」は2004年にイギリスのワイン輸入業者であるDavid A. Harveyによって造られた[10]

脚注

  1. ^ a b 小林弘憲、富永敬俊、勝野泰朗 ほか、甲州ワイン中の揮発性フェノール化合物濃度に影響を与える因子 ASEV日本ブドウ・ワイン学会誌 17(2), 75-80, 2006, NAID 40015180639
  2. ^ a b 横塚弘毅、ワイン製造 (その1) 日本醸造協会誌 94巻 (1999) 11号 p.868-878, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.94.868
  3. ^ a b Bonné, Jon, San Francisco Chronicle (October 11, 2009). Soaking white grapes in skins is orange crush
  4. ^ Asimov, Eric, The New York Times: The Pour (October 8, 2009). Orange Wine Edges Toward the Mainstream, Slightly
  5. ^ Bonné, Jon, San Francisco Chronicle: The Cellarist (October 13, 2009). When is a wine orange?
  6. ^ Woolf, Simon, Decanter, “Orange wines: it’s time to get in touch” (英語). Decanter. (2015年5月12日). http://www.decanter.com/features/orange-wines-it-s-time-to-get-in-touch-245524/ 2017年7月4日閲覧。 
  7. ^ Bonné, Jon, San Francisco Chronicle: Inside Scoop SF (June 15, 2010). Shedding light on orange wine
  8. ^ Asimov, Eric, The New York Times: The Pour (August 3, 2009). Orange Wines
  9. ^ Dalheim, Ulf, Adresseavisen (September 4, 2009). Ikke på ville veier (ノルウェー語)
  10. ^ Legeron MW, Isabelle. Natural wine : an introduction to organic and biodynamic wines made naturally. ISBN 1782491007. OCLC 884370524. https://www.worldcat.org/oclc/884370524 

オレンジワイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 02:03 UTC 版)

フルーツワイン」の記事における「オレンジワイン」の解説

スキンコンタクトワインアンバーワインのことをその色合いからオレンジワインとも称するが、本項述べ柑橘果実使ったフルーツワインとは別である。 オレンジワインは一般に入手しすいものではないが、世界最古ワイン産地ジョージア、また南アフリカWhite River、その他家庭内の手作業生産されている。味はライトボディーのワインのようで、淡色または黄金色で、辛口ボディ薄くアルコール飲料である。出来ばえ使用され酵母依存しており、レシピ数少ない通常家庭手作業作っている場合は、自分近隣オレンジの樹木の収穫物利用している。果実は非常に酸度高くpH調整しなければならないため、ワイン作るのが難しいといわれている。さらに厄介なのは、アオカビ属のカビによって発酵止まりワイン腐敗することであり、果実衛生的に保ち綺麗にしておくことに十分な注意を払う必要があるその他の工程は非常に簡単である。アメリカのアルコール・タバコ税・貿易局 (Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau) にはオレンジワインの規格定められている。

※この「オレンジワイン」の解説は、「フルーツワイン」の解説の一部です。
「オレンジワイン」を含む「フルーツワイン」の記事については、「フルーツワイン」の概要を参照ください。

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