イナンナの冥界下り
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「エレシュキガル」の記事における「イナンナの冥界下り」の解説
イナンナは自身の領土拡大のため、冥界を支配しようと思い立ち野望のまま冥界へ下る。エレシュキガルは怒り、冥界の掟に従ってイナンナが7つの門をくぐるたびに身ぐるみ剥がし、全裸となったイナンナを捕えたエレシュキガルは、イナンナに死の眼差しを向け殺害、その死骸を鉤に吊るした。エンキ(エア)の助力が功を奏しイナンナは息を吹き返したが、身代わりを用意しなければ冥界から帰れないというので、夫ドゥムジとその姉妹を交代で冥界に拘留することで、イナンナは地上へ帰ることができた。
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イナンナの冥界下り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 16:30 UTC 版)
イナンナ(アッカドではイシュタル)が、姉妹エレシュキガルの支配する地下世界であるクル(Kur)に向かった時、そこを自分のものであると考えたという。 イナンナ/イシュタルは七つの門を通ったが、一つの門を通る毎に装身具を一つずつ置いて行く必要があった。その結果、七番目の門を通過した後は全裸になっていた。その後、僭越なことをし過ぎるなという忠告にもかかわらず、イナンナ/イシュタルはエレシュキガルの王座に腰を下ろしたため、冥界のアヌンナキの裁きが下り、死をもたらす両眼で見つめられて、イナンナ/イシュタルは鈎にぶらさがる死体と化した。 イナンナの忠実な召し使いは他の神々に助けを求めたが、応えたのは賢神エンキ/エアのみであった。エンキとエアでは生き残らせる二つの神に違いがあるが、イナンナ/イシュタルの復活という目標は共通していた。エンキ/エアは自身の体から作り出した従者をクルに送り込み、イナンナ/イシュタルに生命の食物と生命の水を与えて蘇らせた。ところが「魂の保存則」によって、イナンナ/イシュタルの身代わりとしてクルに残す誰かを探さなければならなかった。彼女は神々ひとりひとりに当たったが、助命を嘆願する神々を強引に身代わりにする程に冷酷にはなれなかった。 そこで彼女の王座に居座るドゥムジ/タンムズを見ると、恋女房であったはずなのに、彼は明らかに彼女に消えて欲しくてたまらなさそうだったため、俄然イナンナ/イシュタルは彼に死に神(demons)を押しつけた。 ここでアッカドの文書は、タンムズの姉妹ベリリ(Belili)を導入しようとして失敗している。彼女はタンムズの死を嘆いて身に付けた宝石を外し、タンムズ他、死者の復活を求める者として、初めて紹介されるが、ここには混乱が見られる。シュメールの文書の一つにベリリの名前が現われるが、そこではドゥムジの姉妹はゲシュティンアンナ(Geshtinana)という名前になっており、ベリリは他の老女の名前として用いられている。この老女は他の文書ではビルル(Bilulu)と呼ばれている。 ともかく、シュメールの文書は、ドゥムジがゲシュティンアンナの下に逃れた事、彼女はドゥムジを匿おうとしたが、結局は死神に対抗し切れなかったことを記述している。死神は次々にドゥムジの所に現れ、老女ビルルまたはベリリの協力を得たと思しく、ついには彼を捕まえ、冥界に連行する。ところがイナンナはそれを後悔するようになっていた。 イナンナはビルルと殺しにたずさわったその息子ギアギラ(G̃irg̃ire)及びギアギラの伴侶シッル(Shirru)(「呪われた沙漠の者、誰の子でもなく、誰の友でもない」)に対する復讐の機会を伺った。イナンナはビルルを皮製の水入れに、ギアギラを沙漠の守り神にし、シッルは沙漠の脅威が及ばないように、然るべき儀式が常に執り行われているか見張ることとなった。 結局、イナンナは不憫に思い、決意を曲げて夫ドゥムジを生き返らせることにした。一年の内6ヶ月は、ゲシュティンアンナがドゥムジの代わりにクルにいることになった。 ドゥムジ/タンムズがこうして地上から消えることと、季節の変化が関連づけられ、植物の周期の神、即ち死と再生の神の一柱となった。
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イナンナの冥界下り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 11:16 UTC 版)
天界の女王イナンナは、理由は明らかではないものの(一説にはイナンナは冥界を支配しようと企んでいた)、地上の七つの都市の神殿を手放し、姉のエレシュキガルの治める冥界に下りる決心をした。冥界へむかう前にイナンナは七つのメーをまとい、それを象徴する飾りなどで身を着飾って、忠実な従者であるニンシュブルに自分に万が一のことがあったときのために、力のある神エンリル、ナンナ、エンキに助力を頼むように申しつけた。 冥界の門を到着すると、イナンナは門番であるネティに冥界の門を開くように命じ、ネティはエレシュキガルの元に承諾を得に行った。エレシュキガルはイナンナの来訪に怒ったが、イナンナが冥界の七つの門の一つを通過するたびに身につけた飾りの一つをはぎ取ることを条件に通過を許した。イナンナは門を通るごとに身につけたものを取り上げられ、最後の門をくぐるときに全裸になった。彼女はエレシュキガルの宮殿に連れて行かれて、七柱のアヌンナの神々に冥界へ下りた罪を裁かれた。イナンナは死刑判決を受け、エレシュキガルが「死の眼差し」を向けると倒れて死んでしまった。彼女の死体は宮殿の壁に鉤で吊るされた。 三日三晩が過ぎ、ニンシュブルは最初にエンリル、次にナンナに経緯を伝えて助けを求めたが、彼らは助力を拒んだ。しかしエンキは自分の爪の垢からクルガルラ(泣き女)とガラトゥル(哀歌を歌う神官)という者を造り、それぞれに「命の食べ物」と「命の水」を持って、先ずエレシュキガルの下へ赴き、病んでいる彼女を癒すよう、そしてその礼として彼女が与えようとする川の水と大麦は受け取らずにイナンナの死体を貰い受け、死体に「命の食べ物」と「命の水」を振りかけるように命じた。クルガルラとガラトゥルがエンキに命じられた通りにするとイナンナは起き上がった。しかし冥界の神々はイナンナが地上に戻るには身代わりに誰かを冥界に送らなければならないという条件をつけ、ガルラという精霊たちが彼女に付いて行った。 まず、イナンナはニンシュブルに会った。ガルラたちは彼女を連れて行こうとしたが、イナンナは彼女が自分のために手を尽くしたことと喪に服してくれたことを理由に押しとどめた。次にシャラ神、さらにラタラク神に会うが、彼らも喪に服し、イナンナが生還したことを地に伏して喜んだため、彼らが自身に仕える者であることを理由に連れて行くことを許さなかった。しかし夫の神ドゥムジが喪にも服さず着飾っていたため、イナンナは怒り、彼を自分の身代わりに連れて行くように命じた。ドゥムジはイナンナの兄ウトゥに救いを求め、憐れんだウトゥは彼の姿を蛇に変えた。ドゥムジは姉のゲシュティンアンナの下へ逃げ込んだが、最後には羊小屋にいるところを見つかり、地下の世界へと連れ去られた。その後、彼と姉が半年ずつ交代で冥界に下ることになった。
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