冥界での暮らし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 17:15 UTC 版)
エレシュキガルが支配する冥界とは、シュメール語の言語「KUR NU GI A(クル ヌ ギ ア)」(アッカド語で読むと「irusitu la tari」)を直訳した、「戻ることのない土地」または「不帰の国」である。冥界はエアが司る潤った領域アプスーの下(もしくは西方の彼方)に「クル(冥界)」があると信じられ、そこへ辿り着くには7つの門とシュメール版「三途の川」に当たる「人を食う河(フブル川)」を、「渡し船の人」の導きによって向かう所だと考えられていた。そんな冥界での暮らしはと言えば、『ギルガメシュ叙事詩』や後述の『イシュタル / イナンナの冥界下り』における描写からして、食物は粘土で埃が御馳走、住む者たちは翼のようなものが付いた着物を着て、暗く乾燥した世界で光を見ることもないという酷い世界だったようである。 シュメール神話においても冥界は水の下(淡水であるアプスー神の水の下、または「大地の甘い水の下」)にあり、乾燥した塵ばかりの場所だと説明されている。エレシュキガルはそこを支配する「死の女主人」とされているが、アヌの娘であるにもかかわらず自国である冥界に神々を迎えなかったことから、他の神々から疎外されてしまっている。 他、エレシュキガルは地上から冥界にやって来た死人を食べるために死者を呼び込むべくナムタルを度々地上に送っては、人間たちの間に60種類の病気を広めさせたという。また、この神話世界におけるエレシュキガルは、底無しの性欲を持つと言われている。
※この「冥界での暮らし」の解説は、「エレシュキガル」の解説の一部です。
「冥界での暮らし」を含む「エレシュキガル」の記事については、「エレシュキガル」の概要を参照ください。
- 冥界での暮らしのページへのリンク