やられたらやりかえせとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > やられたらやりかえせの意味・解説 

山谷─やられたらやりかえせ

(やられたらやりかえせ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/21 15:19 UTC 版)

山谷─やられたらやりかえせ』(やま-やられたらやりかえせ)は1985年に発表された日本ドキュメンタリー映画。佐藤満夫、山岡強一共同監督。また山岡の遺稿集の書名。

概要

2009年の山谷

東京・山谷を舞台にした日雇い労働者のドキュメンタリー作品で、彼らの生活の実態や闘争を描いている。また、大阪・釜ヶ崎など他地域のドヤ街の生活も描かれており、労働者(労務者)を描いた作品としては他に類を見ないリアルな作品となっている。

労働者を支援する山谷争議団と労働者たちの生活に介在していた暴力団及び右翼団体日本国粋会(後の六代目山口組國粹会)系金町一家(現在は落合金町連合傘下)との対立が抗争に発展したのは1983年の事であった。「金町戦」、「金町戦争」と呼ばれたこの抗争では、争議団が街宣車を焼いたり、金町一家西戸組が争議団メンバーの殺害を予告したビラを撒くなど壮絶なものとなった[1]

そして1984年全共闘の闘士であり山谷の闘争にも携わっていた佐藤満夫によりシナリオ案が練られ、撮影が開始された。その後、地元のヤクザに狙われるようになり、その結果1984年12月22日、佐藤は西戸組の組員により刺殺された。映画の冒頭では、字幕の後に、刺された直後の佐藤の映像が用いられている。

撮影は中断を余儀なくされるが、佐藤が遺したフィルムを元に有志により制作上映委員会が発足した。委員会により映画制作は、実際に山谷の労働者で全国日雇労働組合協議会(略称は日雇全協)の創設メンバー山岡強一に託され、翌1985年より1年で映画を完成させる方針の下で制作が再開された。佐藤の腹案にあった釜ヶ崎に加えて名古屋・笹島、横浜・寿町筑豊など他地域での撮影も行われ、同年11月ごろには完成し12月には初上映が行われた。

明けて1986年1月13日、今度は山岡が日本国粋会系金町一家金竜組の組員に射殺された。

この作品は未だにビデオソフト化されていない。現在も有志の手によって年に数度、都内を中心に日本各地で自主上映会が行われている。また「YAMA-ATTACK TO ATTACK-」の英題で、国外での上映も行われた。

音楽は大熊ワタル篠田昌已を中心とする蠱的態(こてきたい)が担当し、サウンドトラックが1986年にカセットテープでリリースされた。2020年のCD化にあたっては、1990年1月の上映委員会解散集会での演奏が追加されている。

なお山岡の遺稿集は映画の撮影記録の他、多数の論文を収めている。

2020年、牧村康正により、当時の関係者の証言を基にした『ヤクザと過激派が棲む街』(ISBN 4065216753講談社)が発表された[1]

スタッフ

  • 監督:佐藤満夫 山岡強一
  • ナレーション:城之内元晴
  • 音楽:蠱的態(大熊ワタル篠田昌已など)
  • 制作:「山谷」制作上映委員会

脚注

  1. ^ a b 「ヤクザ 対 過激派」血みどろの抗争が東京で起きたことを知っているか、現代ビジネス、2020年11月25日

関連項目

2010年の山谷

外部リンク


やられたらやりかえせ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:39 UTC 版)

船本洲治」の記事における「やられたらやりかえせ」の解説

やられたらやり返せ暴動力学捉えた言葉であり、現場闘争スローガンであると原口剛はする。釜ヶ崎第一次暴動一人労働者警察差別的な仕打ちを受け、それは単に彼一人のみならずわれわれ下級労働者全体向けられたものである認識した釜ヶ崎労働者たちの怒り爆発したのである労働者一人資本権力闘うことなどできない船本は (一緒に酒を飲んだ愚痴言い合ったりする)単なる仲間から闘う仲間へと飛躍するのは、まず第一に共通の敵に対して闘うこと、第二に、仲間一人でもやられたやり返すこと、何ヶ月何年かかろうとも必ず報復すること、ここからしか実現しない仲間一人でも手配師殴られたり殺されたりしたら、そこに自分運命をみること、他人ごとではなく自分かけられ攻撃であると認識せよ。何故なら、みんな同じ抑圧屈辱情況生きているのだから。(中略)、一人で闘える闘争などどこにもない。報復方法また、大衆的に粉砕できる方法考えなければならない。 —船本洲治持久戦闘いぬく組織確立するために」株式会社共和国発行黙って野たれ死ぬな2018年、pp.152-153 とした。現場闘争での具体的なやり返し方は様々ある、船本サボタージュがもっと革命的な闘い方だとするが、ただしそれぞれ様々な情況があり、闘い方も情況合わせるべきであり、目的仲間結集し闘う仲間作り出すことであると主張した船本階級闘争には必ず3つの傾向、すなわち合法闘争、半合法闘争非合法闘争領域であり、これらが普通、運動体の中混在し緊張ダイナミズム与えているとする。 現場闘争における「やり返し方」についても同様で (1)合法闘争-組合闘争 ブルジョアジー組合与えた諸権利(それは権力による分断支配方策である)、法のタテマエをもって逆に敵を分断させる方法である。組合が行政を突き上げることで法のタテマエにより悪質な元請けから更に下請け圧力加えようとする。ただし法のタテマエをもって闘う以上、「物を勝ち取ってくれる」以上の働き出来ず組合暴力闘争のための組織ではないので、それを理解した上で敵に対す総力戦中に組み込んで行かなければならない。 (2)半合法闘争 組合闘争社会秩序から脱せられないのに対し、釜共闘や現闘委などの明確な組織形態持たない公然体の闘争原理大衆現状打破への暴力性叛乱気分依拠し合法/非合法狭間闘い故に群衆戦、防衛戦には強い。ただし権力への攻撃に関して限定的である。釜共闘や現闘委などが組織性持てば持つほど組合側面強まっていく。 (3)非合法闘争。その「やり返し方」は攻撃戦であり遊撃戦である。それは大衆闘争のために闘いながら、大衆とは区別され目的意識戦闘細胞による闘争で、その細胞たちの団結革命への献身的な戦士団結である。そして (目的意識戦闘細胞による)この闘争は、少数派闘争であるが故に他の二つ領域軍事の側にひっぱっていく、あるいは他の二つ領域納得させ、支援させるほどの普遍的道理なければならず、ただ事実行為のみがこの闘争存在を知る術であり、ただその事実行為に普遍的道理付与されることによってのみ、この闘争普遍化され、三つ運動領域帝国主義対す総力戦として有機的に結合しうる環となるのである船本洲治「現闘委の任務立派に遂行するために」株式会社共和国発行黙って野たれ死ぬな2018年、p.208 と説明している。 船本下層労働者世界はより強いものが弱いものを暴力従わせる日常的内ゲバ情況であるとする。資本制度にとって下層労働者内ゲバ情況はむしろ好ましいものである。なぜなら支配鉄則は「分断して支配せよであるから原口はやらせたやりかえせという考え方内ゲバ情況を外ゲバ解放の力へと転化し、力を爆発させ、支配からくり打ち破るものであり、山谷釜ヶ崎暴動はまさにその最たるものだったとし『暴動とは、労働者たちがひとつの階級としてみずからを組織化する瞬間だったのである』と述べている。 原口は『それを船本は「やられたらやりかえせ」という言葉へと結晶させたのである原口剛船本洲治 解放思想実践株式会社共和国発行黙って野たれ死ぬな2018年、pp.26-27』と述べている。

※この「やられたらやりかえせ」の解説は、「船本洲治」の解説の一部です。
「やられたらやりかえせ」を含む「船本洲治」の記事については、「船本洲治」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「やられたらやりかえせ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「やられたらやりかえせ」の関連用語

やられたらやりかえせのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



やられたらやりかえせのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの山谷─やられたらやりかえせ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの船本洲治 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS