確信犯
確信犯とは、法律を犯すことを明確に認識し、その上で故意に犯罪行為を行う者を指す言葉である。この言葉は、犯罪心理学や法学の分野で頻繁に用いられる。確信犯の特徴は、法律違反の意識が明確であることと、その行為が社会的なルールや規範に反することを理解しているにも関わらず、それを犯す意志があることである。 確信犯は、その行為の結果に対して全責任を負う覚悟があるとされる。そのため、法律による罰則を受け入れる覚悟があるとも言える。このような犯罪行為は、個人の価値観や信念、あるいは特定の目的を達成するために行われることが多い。
確信犯
「確信犯」とは、自らが正しいという信念に基づいて行われる犯罪・悪事だと理解している上で行動をする人のことを意味する表現である。
「確信犯」とは・「確信犯」の意味
「確信犯」は、自らが正しいという信念に基づいて行われる、犯罪行為を指す言葉である。正しいと確信して行う犯罪ということで、確信犯と呼ばれる。確信犯は、政治的な背景があるものや宗教的な考えに基づくもの、偏った思想によるものなど、数多くの種類がある。そして、犯罪行為そのものではなく、自らが正しいと信じて犯罪を行う人を指す言葉として、確信犯が用いられることもある。主に、国家や社会の秩序を揺るがそうとする、思想犯や国事犯を指す言葉だ。確信犯には、正しいのは自らの考えであり、自らの行動を犯罪とする法律が間違っているという考えを持っている人や、犯罪と認識していながら、自らの行為が良い結果をもたらすと信じている人などがいる。
確信犯は原則として、使命感や義務感に基づいて行われる犯罪や、その犯罪を行う人を指す言葉だ。中には、善意に基づいた確信犯もある。自らの利益のために行う犯罪や、使命感を持たずに犯罪行為をした人などは、確信犯とは呼ばない。ただ、一般的に使用される確信犯という言葉は、使命感や義務感の有無に関係なく、悪いことだとわかっていながら、何らかの悪事を働く人を指す場合も多い。
その場合、悪いことだと確信している犯罪者という意味で、確信犯と呼ばれる。しかし、正しい言葉の使い方ではなく、誤用表現である。犯罪と認識していながら、自らの行為が正しいと信じている犯罪者という本来の意味が、ただ単に悪いことだと認識している犯罪者という、間違った解釈をされた形だ。確信犯はあくまでも、自らが正しいと確信している犯罪者、あるいはその犯罪者が行う犯罪行為のいずれかのみを指す言葉だ。よって、厳密には、悪いことだと確信している犯罪者という意味で、確信犯という言葉を使用するのは間違いである。
しかし、確信犯の間違った意味は、一般的に広く浸透している。元はネット用語であったが、日常生活でも使用される例は数多くある。そのため、厳密には間違っているが、慣用的な表現として認められている。そして、間違った表現の方が、正しいと誤解している人も少なくない。確信犯の誤用表現は、コンピュータゲームであるペルソナ内のクイズテーマとしても取り上げられている。そのクイズで初めて、確信犯の正しい意味を知ったというプレイヤーもいる。
また、誤用表現である確信犯の対象となる悪事は、犯罪行為に限定されない。コンピュータゲームで、自分だけが勝つために味方を攻撃する、恋愛の駆け引きとしてわざと相手のメールを無視するといったことなども、確信犯とされる。
「確信犯」の熟語・言い回し
一般的な確信犯とは
「一般的な確信犯」は、誤用表現として使用されている確信犯を指す言葉だ。正しい意味の確信犯と区別するために、一般的な確信犯という言葉が用いられる。
「確信犯」の使い方・例文
「確信犯」を、正しい意味で使用する場合「先日起こった犯罪は、確信犯だったと噂されている」
「彼は、国家転覆を図った確信犯として有名である」
「彼女は、人のためを思って犯罪行為に手を染める確信犯だ」
「確信犯と言われようが、私がしたことは間違いではない」
「彼は自分のために金品を盗んでいるため、確信犯とは呼べない」
慣用的な誤用表現として使用する場合
「あの被告は、未成年が重罪に問われにくいことを理解して、犯行に及んだ確信犯だと思う」
「彼女はうっかりデータを紛失してしまったと言っているが、おそらくプロジェクトの進行を遅らせるための確信犯だろう」
「彼は、泣けば許してもらえると思って、様々な悪事を働く確信犯だ」
「彼女は純粋な人を演じているが、実は自身の美貌で人を操れることを知っている確信犯である」
「彼は、店員が強く出られないのを知った上で、横柄な振る舞いをする確信犯だ」
確信犯
「確信犯」とは、通俗的には「悪い事だと理解しながら敢えて行われる悪事、および、そのように敢えて悪事をはたらく者」の意味で用いられる表現である。ただし本来は「それが正しい行いであると確信して遂行される犯罪」を指す意味で用いられた法学用語である。
「確信犯」の本来の意味
「確信犯」は、そもそもは西欧の法哲学上の概念である。現行法では処罰の対象となるという意味においては「悪」であるとしても、政治的・宗教的・道徳的な普遍的価値観に照らせば「善」であると確信できる、そのような確信に基づいて行われる犯罪行為が、本来の意味における「確信犯」である。「確信犯」の現代的な用法・使い方
通俗的な用法における「確信犯」は、「悪行であると認識しつつ行われる行為」を指す意味で用いられている。多くの場合、違法行為というわけではないが他人が迷惑を被るような、倫理的・道義的に非難されるべき=慎むべき事柄について、それを私利私欲のために行う、といった状況を指す。この「確信犯」の通俗的な用法が、本来は俗用であり誤用である、と理解している者は決して少なくない。とはいえ、(1)すでに若者を中心に半ば定着した意味用法であり、(2)「いわゆる確信犯」の表現に使える手頃な代替表現も今ひとつ見出しがたく、さらに(3)本来の「確信犯」用法は「テロ」等の表現で代替されている、等々の事情・背景は覆しがたい。「確信犯」の誤用・俗用が今後もいっそう定着する見込みと、旧来の用法に訂正される見込みの、どちらが有力かと問われれば、前者であろうと推測される。
参考リンク
平成14年度「国語に関する世論調査」の結果について - 文化庁
確信犯の語源・由来
「確信犯」という言葉は、ドイツの刑法学者グスタフ・ラートブルフ(1878年~1949年)が提唱した法律用語「Überzeugungsverbrechen」に由来する。確信犯の類語・言い換え表現
「自分の行為が正しいという信念に基づき遂行される犯罪行為」という意味での確信犯の類語表現としては、義賊・思想犯・政治犯・国事犯・宗教的テロリズムなどが挙げられる。また「悪いことであると分かっていながら行う行為・またはそれを行う人」という意味での確信犯の類語表現としては、故意犯・故意犯罪・常習犯・わざと~した人、などが挙げられる。
確信犯の英語表現
本来の意味での確信犯の英語表現としては「crime of conscience」が挙げられる。また「わざと」「意図的に」「故意に」といった意味合いの副詞としては「deliberately」「intentionally」「purposely」「advisedly」「knowingly」「purposefully」などが挙げられる。
かくしん‐はん【確信犯】
読み方:かくしんはん
1 道徳的、宗教的または政治的信念に基づき、本人が悪いことでないと確信してなされる犯罪。思想犯・政治犯・国事犯など。
2 《1から転じて》悪いことだとわかっていながら行われた犯罪や行為。また、その行為を行った人。「違法コピーを行っている大多数の利用者が—だといえる」
[補説] 「時間を聞きちがえて遅れたと言っているが、あれは確信犯だよね」などのように、犯罪ほど重大な行為でない場合にも用いる。2の意はもともと誤用とされていたが、文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「政治的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人」と、「悪いことであると分かっていながらなされる行為・犯罪又はその行為を行う人」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。
平成14年度調査 | 平成27年度調査 | |
政治的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人 | 16.4パーセント | 17.0パーセント |
悪いことであると分かっていながらなされる行為・犯罪又はその行為を行う人 | 57.6パーセント | 69.4パーセント |
かくしんはんと同じ種類の言葉
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