玩具
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性差
ある種の玩具、例えばバービーの人形は女の子向け(または大人の女性向け)で、一方GIジョーは、男の子向け(または大人の男性向け)という風に分けられる。研究によると、18ヶ月未満の乳児でも性別によって玩具の選択が分かれるという結果がある[36]。
日本でも、業界分類等で「男児玩具」と「女児玩具」はそれぞれ別に分類されており、前者には模型玩具や乗り物など、後者には人形とその周辺道具類などがある。キャラクター人形やごっこ遊びの玩具類も男児向けと女児向けがそれぞれ区分される[37][38]。
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兵士の人形や戦闘機の玩具。男児向け玩具。
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料理の玩具。女児向け玩具。
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大人の女性もバービー人形が好きで、「大人買い」をして、収集することも。
種類
乳児用玩具
生後、赤ちゃんに最初に与えられる玩具が、未発達の聴覚や視覚に働きかける「ながめ玩具」と呼ばれる種類である。これらは手に取って遊ばせるものではなく、乳児をあやすことを目的とする。赤など暖色が多く用いられながら刺激は弱められ、澄んだ音を連続的または間歇的に発すものが好まれる。生後一ヶ月を過ぎた頃になると緩やかな動きがあるものが好ましい[39]。ガラガラは普遍的な乳児用玩具であり、メキシコ民族が用いたさとうきびの茎製、エスキモーのアザラシの皮製など多様な素材から作られたものがあり、これらは乳児期に音が大切な発達要素であったことを各民族が認識していた傍証になる[40]。
天井に吊るしたり棚などに置いたりしてモビールが回転する玩具(メリー、ベビーメリー、オルゴールメリーなど[41])も多く、また風車やガラガラなどを親が手に持って見せる限りはこれらもながめ玩具の範疇に入り[39]、日本のでんでん太鼓は乳児には扱えるものではないため、この用途専用のものだった[40]。これらを持って遊ぶ様子は生後三ヶ月頃から見られ始め、手に持つための適度な大きさや、口に含むことを念頭に置いた安全性などを考慮した製品が設計される[29][42]。乳児が這って動ける頃には、全身運動の興味に答えるおきあがりこぼし(en)などが与えられる[43]。
人形やぬいぐるみなど
長い歴史を持つ人形には多様な種類がある。幼児向けには人間や動物を象った単純な人形やぬいぐるみが与えられ、これが概念の初期形成に寄与する[44]。当初こそ幼児はただ触って遊ぶに過ぎないが、やがて仮の人格を与え、食事や排泄など生命があるようにみなし、遊び相手や友人として扱うようになる。これは動物のぬいぐるみなどにも当てはまる[44]。
人間の成長を通して、人形が玩具である期間は長い。幼児から成長すると、ままごとなど遊びが高度化するに伴い、人形にもさまざまな機能を求めるようになる[44]。これに対応し、手足が可動なものからぜんまいなど動力を備えて動く人形[45]、泣いたり眼をつむったりするものが作られている[44]。さらに、人形用の衣類や家具などのお道具類等も整備された[46]。
人形の起源は民間信仰の道具だったと考えられる。被災や罹病などの身代わり、豊作などの祈りの対象、そして権力者の墓に埋葬される品であったりした。日本で人形が子供用玩具となるのは、8世紀頃に始まり、江戸時代に広まった。そして芸術的・工芸的な要素が加えられ、地域の特色を帯びる郷土玩具の一体系となった[47]。衣服をつけた人形も8世紀のヨーロッパで作られ始め、14世紀に華やかさを増した[47]。
模型
古くから子供は様々な乗り物の模型を玩具にして遊んでおり、古代ギリシアの陶芸品から二輪のカートで遊ぶ子供の図柄が発見されている[48]。自動車や電車または飛行機など乗り物の模型は、所有欲を満たす玩具である。子供の場合は、実体験で見聞した乗り物を再現する性質が強く、結果的に荒く扱って壊されやすい[49]。10代以上になると科学的な興味を満たす傾向が強まり、玩具へ精巧さを求めるようになって材質や実際に駆動することなどにも目を向ける。さらに電車ならばゲージなど様々な周辺部品を加え、飛行機ならば実際に飛ばせるものなどへと、高度かつ高価なものとなってゆく[49]。
音響玩具
子供の聴覚に訴えかける玩具の種類がある[29]。乳児期のガラガラなども該当するが、手を使う遊びの延長として太鼓やタンバリン、口に含む行動から笛などの玩具がこれらに相当する。さらに、成長に伴い使われる子供向けの楽器類なども玩具に相当する[50]。
練習玩具
玩具を用いて行う遊びのうち、目標を上手く達成することに楽しさを感じ、その技能を上達させる目的で遊ぶものを練習玩具、スキルトイという。これを複数の人間で比較競争すればゲームとなるが、ヨーヨーやけん玉または独楽、縄跳びや紙風船などを一人単位で遊ぶことが該当する。紐を玩具に使う様々な遊びも多くこれに当たり、リリアンのようなものから複数で遊ぶあやとり、縄飛び、ゴムとびなどが例示される[51]。
木の実に軸を挿した原始的な独楽は世界中で見られ、それぞれの文化圏の様式に沿って自然発生した。独楽は子供に限らない玩具の典型であり、古代エジプトの頃から美しい装飾が施されたり、回し方にも様々な工夫が発展した。『和名類聚抄』では、日本の独楽は宮廷の儀式道具として独楽廻しの専門職がいたことが記されている。江戸時代には賭場の道具になり、また曲芸としても大成した[52]。ヨーロッパでは16世紀イギリスで多様な種類と形状が発達し、18-19世紀には特に鉄製の独楽が流行した。この中には、氷上でも遊べる工夫が施されたものもあった[52]。
パズル
考える玩具の代表がパズルであり、智慧と工夫をこらして目的を達する。到達点はさまざまであり、単純な知恵の輪からジグソーパズル・メカニカルパズルなど、また何かしら目的のものを作り上げるという意味でブロックもまた立体的なパズルの範疇に入る[53]。
競争するゲーム
競争・勝負がつけられる玩具もある。これには運動を伴うものもあれば、基本的に知的作業のみで行われるものもある。貝殻や土器に発し紙が使われるようになっためんこ、独楽を戦わせるベーゴマ、他にもビー玉やおはじきなどもルールに即したゲームとして使われる[54]。
ゲームには、より高度かつ複雑なものも無数に存在する。知的作業のみで行われるものとしては、囲碁、リバーシ、チェッカー、チェス、将棋、シャンチー、マンカラ、バックギャモンなどのボードゲーム類、トランプ、ドミノ、麻雀などのカードゲーム・タイルゲーム類がある。運動を伴うものとしてはかるた、野球盤、ビリヤードなどから、これらが拡張されたスポーツ全般で使われる用具類も、広義の玩具に入れることができる[54]。
最古のボードゲームは紀元前3000年以前の古代エジプト墳墓から発見されているセネトである[55][56]。これは暦や占いまたは死霊信仰の道具であった。紀元前1400年頃には初期のマンカラが登場してアフリカに伝播した。これは奴隷貿易とともにアメリカ大陸にも伝わり、ハイチではブードゥー教とも関連づいた。一方インドにはギャンブルのひとつとして流行した[57]。
ボール
ボールや鞠の発祥は非常に古く定かでないが、多くの地域や文化圏および各歴史の段階を通じた普遍的な玩具である[58]。その発生は、木の実や石などを本能的に投げる人間の行動にあると思われる[59]。
ボールの発展段階を追うことで、それぞれの地域で調達できた材料や加工などの技術史を追うことができる。さらに、手に入れたボールの硬さや重さ、または弾力性などが遊び方を決定づけ、様々なスポーツを生み出す母体ともなった[58]。ボール遊びはゴムの利用によって大きく広がり、運動や競技において征服欲の充足を目的にした様々なゲームやスポーツの発案を助長した[59]。
乗り物
子供が乗る、または乗る模倣をする玩具は、ソクラテスの家に棒馬があった事や古代中国にも存在した事、さらに中世ヨーロッパの版画や彫刻に頻繁に現れる点からも広く普及したと考えられる。人が乗って遊ぶ木馬も、中世ロシアには満1歳の男児に贈る習慣があり、17世紀中ごろにイギリスでロッキングホースが発明されたように、広い歴史を持つ[60]。
ごっこ遊びの玩具
子供が何らかの人物や職業になりきるごっこ遊び用の玩具も存在する。これには訓練的な意味を持つ場合もあり、プラトンは「将来の建築家は子供の頃から家を建てる遊びをするべし」と記した[48]。それらは仕事に使う道具の模造品であったり、衣装やお面なども含まれる[61]。戦争玩具に分類されるものでも、戦車や戦闘機および砲台等は模型に相当するが、軍刀や勲章など身につける類のものはこの一種になる[62]。
ブリキの玩具
日本国内ではブリキの板をロボットや自動車、鉄道車両(電車など)、船舶、航空機など乗り物のような形に成形・塗装した玩具を「ブリキのおもちゃ」と呼び、懐古趣味的に愛好する人々がいる。昭和初期~中期の生活史を懐かしむ文脈に、ブリキのおもちゃは現れる。19世紀から20世紀初頭にかけてドイツのメーカーが主戦場を築き上げたが、日本におけるブリキの玩具の登場は明治5-6年頃とされる。この頃、石油ランプの普及により大量の石油缶の空缶が廃棄されており、これに玩具業者が再利用して玩具を製造したという。明治7-8年頃ブリキ板が輸入されるようになったが、高価なため古ブリキによる玩具の製造は日清戦争の頃までつづけられた[63]。
第一次世界大戦後、日本のメーカーが台頭して重要な輸出品になった。全盛期は戦後1950年代~1960年代(昭和20~30年代)で、その郷愁を意欲的に追求するために金銭と労力を投入してでもブリキのおもちゃを蒐集する愛好家も存在し、彼らの中で稀少価値の高い品が高値で売買されている。
戦後の復興期においてブリキ製玩具の輸出は外貨獲得に貢献した。当時の玩具に錆びやすいブリキが使用されていた理由はコスト面だけでなく、主力産業へ優先して供給すべき伸銅製品の使用が玩具には制限されていた事も一因と思われる。なお、玩具ではなく教材として販売する場合は伸銅の使用は認められていた。
アサヒ玩具(後にママレンジシリーズを発売後ブリキ玩具から撤退)、バンダイ(後発だが赤箱シリーズの発売により台頭し、後に米国3大メーカーの一社TONKAと提携JAPAN TONKAを発売の後、キャラクター玩具中心となる)、イチコー(最後までブリキにこだわり、子供服のMIKIHOUSEとのコラボでも活躍)・増田屋コーポレーション(ラジコン=ラジオコントロールを1955年に世界に先駆けて玩具に応用し、商標を保有)等が有名。
ブリキの玩具は資本投下も少なく、金型の製造以外は高度な技術や熟練した工程も少ない。そのため発展途上国が工業化・近代化を促す第一歩として最適な産業と言えよう。戦後日本の輸出を支えたのは燕の洋食器とブリキ玩具とも言われている。その後高度成長期において人件費の高騰によりプラスチックなど主に石油を原料とした作業工程も少なく、人件費のかからないものがブリキにかわり玩具の主流となっていった。昨今一部の蒐集家によりブリキの玩具は過去のものというイメージが強いが現在でも日本を始めとしてマニア向けの復刻版だけでなく、少数ではあるが幼児用の商品が生産されている。ただ、人件費の安い海外製のものも多くなっており、それらはST(玩具安全基準)を満たしていないものもあるので幼児に与えるには注意が必要と思われる。
ブリキ製品は大別して塗装と印刷の2種類に分けられる。ブリキの板をプレス加工した後、さびないように下地に塗装を掛け、もう一度塗装をかける。玩具などでは大体0.25mm~0.4mmが中心で欧米では鋭利で触ると危険なプレスの切断面をジャブ付けと言われる厚地の皮膜で覆うことが多く、そのため比較的厚めである。日本製のものは切断面をもう一度プレスで工程をかけ、折り曲げて安全にする手法をとっており、そのため薄目のものが多い。また塗装も下地をかけてからもう一度塗装するなどの気配りをしている。あらかじめ印刷されたブリキ板をプレス加工して組み立てるものは、加工後を想定して印刷のデザインをする必要があるため、高度な技術が必要となる。このため何回ものテストを繰り返して初めて想定した製品となりうる。印刷はオフセット印刷の特色印刷を用いて、プレス加工に耐えうるインクと保護膜を作るために最後にニスを引いてからプレス加工する。
昔の製品には白色顔料に鉛化合物が含まれていた為に経年変化により黄色味を帯びている。占領下の日本で生産された事を示す"occupied japan"の表示のある物は高値で取引されている。
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