チェリモヤ 人間との関わり

チェリモヤ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 02:30 UTC 版)

人間との関わり

果実類/チェリモヤ/生[12]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 348 kJ (83 kcal)
19.8 g
糖類 13.7 g
食物繊維 2.2 g
0.3 g
飽和脂肪酸 0.1 g
一価不飽和 0.02 g
多価不飽和 0.08 g
0.07 g
0.01 g
1.3 g
トリプトファン 26 mg
トレオニン 43 mg
イソロイシン 35 mg
ロイシン 52 mg
リシン 35 mg
メチオニン 17 mg
シスチン 8.3 mg
フェニルアラニン 35 mg
チロシン 26 mg
バリン 52 mg
アルギニン 26 mg
ヒスチジン 17 mg
アラニン 52 mg
アスパラギン酸 87 mg
グルタミン酸 160 mg
グリシン 43 mg
プロリン 130 mg
セリン 52 mg
ヒドロキシプロリン 0
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
0 µg
(0%)
4 µg
チアミン (B1)
(8%)
0.09 mg
リボフラビン (B2)
(8%)
0.09 mg
ナイアシン (B3)
(5%)
0.7 mg
パントテン酸 (B5)
(7%)
0.36 mg
ビタミンB6
(18%)
0.23 mg
葉酸 (B9)
(23%)
90 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
ビタミンC
(41%)
34 mg
ビタミンD
(0%)
0 µg
ビタミンE
(1%)
0.2 mg
ミネラル
ナトリウム
(1%)
8 mg
カリウム
(5%)
230 mg
カルシウム
(1%)
9 mg
マグネシウム
(3%)
12 mg
リン
(3%)
20 mg
鉄分
(2%)
0.2 mg
亜鉛
(1%)
0.1 mg
(4%)
0.08 mg
マンガン
(3%)
0.07 mg
他の成分
水分 78.1 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

原産地であるペルーでは有史以前から栽培され、果実が食用に利用されていた[10][3]。また原産地以外でも中南米で栽培されるようになり、さらに18世紀前半にはヨーロッパに伝えられた[10][3]。チェリモヤの果実は一般的にバンレイシ属の中で最も好まれており、世界中の熱帯高地から亜熱帯域で広く栽培されている[9]。ただし果実の貯蔵性は低く、地域的な消費に留まっている[9]

原産地は熱帯であるが高地であり、やや冷涼な環境を好み、熱帯低地での栽培は難しい[6][7]。近縁のトゲバンレイシ(サワーソップ)などにくらべて低温耐性が高いが、気温が0°C以下では枯死することが多い[7][10]。生産量が多いスペインでは、1年の平均気温が13–25°Cであり、開花期の温度は16−20°Cである[9]。年間降水量が600ミリメートル (mm) 以上の場所に生育するが、1,700 mm 以上では病害が発生しやすく、また落花や柱頭の乾燥を防ぐためには湿度70%以上を必要とする[9]アメリカ合衆国カリフォルニア州など南北アメリカ各地のほか、地中海地方イタリアスペインエジプトイスラエルレバノン、太平洋の台湾オーストラリアニュージーランドなどで栽培されている[1][10][8][要出典](下図4a, b)。日本にも1980年代に導入され、1987年和歌山県が国内で最初の商品化に成功した[要出典]。1994年には日本での収穫量は32トンほどあったが、2006年には約2トンとなってる[13]。1998年の世界での生産量は約10万トンであり、生産量が多い国はスペイン(35,000トン)、ペルー(15,000トン)、チリ(12,000トン)、ボリビアニュージーランドであった[10]。‘McPherson’、‘Bays’、‘McPherson’、‘Burton's Wondae’、‘Bronceada’、‘Concha Lisa’ などさまざまな品種がある[6][10][14]。またチェリモヤとバンレイシを掛け合わせることによって、交雑品種であるアテモヤが作出され利用されている[15]。病虫害としては炭疽病(Colletrotrichia)、青枯病(Pseudomonas)、黒斑病(Phytophthora)、潰瘍病(Botryodiplodia)、果実腐敗(Gliocladium)、さび病(Phakopsora)、コバチBephrata, Bephratelloides)、ミバエ(Anastrepha)、カイガラムシハダニなどが知られている[10]

4a. 栽培されているチェリモヤ(ブラジル
4b. チェリモヤの農園(アンダルシア州スペイン

完熟前に収穫し、常温で追熟させてから生食する[3](下図4c, d)。シャーベットアイスクリームゼリー清涼飲料としても利用される[7][9]。強い芳香があり、甘く柔らかくわずかに酸味があるやや洋梨のような味がする[3][6]食物繊維に富み、ビタミンB1B2Cナイアシン葉酸カリウムマグネシウムカルシウムなどを含む[15](右表)。

未熟果は野菜として利用されることもある[7]種子樹皮などはアルカロイドを含み有毒であるが[10][9]、種子は駆虫剤下剤とされ、また樹皮や葉、解熱剤など民間薬とされることがある[3][7][9]

4c. 露店で売られるチェリモヤ(コロンビア
4d. chirimoya alegre(オレンジジュースとチェリモヤ)

注釈

  1. ^ a b c custard apple は、狭義にはバンレイシ属ギュウシンリAnnona reticulata)またはその果実のことであるが、広義にはチェリモヤなどバンレイシ属の他種や、ポポーなどその他の類似した果実をつける木やその果実のことを意味する[4][5]
  2. ^ 3つの組み合わせは出典によって異なる。

出典

  1. ^ a b Annona cherimola”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2022年8月16日閲覧。
  2. ^ "トロピカルフルーツのニューフェイス". 食の医学館. コトバンクより2022年8月16日閲覧
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o チェリモヤ. コトバンクより2022年8月17日閲覧
  4. ^ custard apple”. Collins English Dictionary. HarperCollins Publishers. 2022年8月19日閲覧。
  5. ^ custard apple”. Dictionary, Merriam-Webster. Merriam-Webster.com. 2022年8月19日閲覧。
  6. ^ a b c d 植田邦彦 (1997). “バンレイシ科”. 週刊朝日百科 植物の世界 9. pp. 100–107. ISBN 9784023800106 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m 岸本修 (1989). “Annona”. In 堀田満ほか. 世界有用植物事典. 平凡社. pp. 92–93. ISBN 9784582115055 
  8. ^ a b “Cherimoya”. The Visual Food Encyclopedia. QA International. (1996). p. 237. ISBN 9782764408988 
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Annona cherimola”. Invasive Species Compendium. CABI. 2022年8月18日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Janick, J. & Paull, R. E., ed (2008). “Annona cherimola”. The Encyclopedia of Fruit & Nuts. CABI. pp. 37–41. ISBN 9780851996387 
  11. ^ a b 中村三八夫 (1978). “チェリモヤ”. 世界果樹図説. 農業図書. pp. 63–64. ASIN B000J8K81E 
  12. ^ チェリモヤ”. 食品成分データベース. 文部科学省. 2022年8月16日閲覧。
  13. ^ チェリモヤのランキング”. 果物ナビ. 2022年8月16日閲覧。
  14. ^ Cherimoya”. ScienceDirect. Elsevier B.V.. 2022年8月16日閲覧。
  15. ^ a b 五明紀春 (2005). “チェリモヤ”. 食材健康大事典. 時事通信出版局. p. 184. ISBN 9784788705616 


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