ディクロニウス
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ルーシー 声 - 小林沙苗 本作の主人公。新人類「ディクロニウス」のオリジナル(ミトコンドリア・イブ)であり、生殖機能を持った唯一の個体。 物語序盤、研究所を脱走した際に頭部に銃撃を受け、その衝撃が元となって人格が分裂し、「にゅう」の人格が生まれる。それ以来、頭部に衝撃を受けるとルーシーの人格とにゅうの人格が入れ替わるようになる。物語序盤では頭部に衝撃を受けたことで記憶喪失になっていたが、後に角沢教授に拉致された事件がきっかけで記憶を取り戻す。ベクターと呼ばれる見えない腕を使いDNAからの声に従うように人類を殺し続ける殺人鬼。ただし何があってもコウタと動物(特に犬)は傷つけず、蔵間に関しては敢えて殺さない。 ベクターの射程は、全ディクロニウスの中で最も短い(約2m)ものの、力に関しては最強を誇る。アニメ版での最大本数は4本。なお「ルーシー」という名前は本名ではなく、研究所で1974年に発見された類人猿の化石に由来して付けられたコードネームのようなものである。髪は長髪(子供時代は短い髪だった)だが、原作終盤でDNAの声に意識を乗っ取られた時とアニメの終盤では一時的に子供時代と同じ短い髪になった。 幼くして父親に捨てられた後、養護施設で幼少期を過ごす。角のせいで他の子供達に虐められ、やがて内緒で飼っていた犬をいじめっ子に目の前で殺されたのをきっかけにベクターが発動し、施設の子供達を惨殺し逃走。その後は人を殺して一夜の宿を得たりしながら彷徨っていた。本編開始の8年前に鎌倉へ家族で遊びにきていたコウタと出会い、初めは彼を拒絶していたが、自分の角に偏見を持たないどころか「かっこいい」と評価し一緒に遊んでくれたコウタに心を開き、彼に好意を抱くまでになった。だが、夏祭でユカに抱きつかれているコウタの姿を見た際コウタに裏切られたと勘違いし、ここで初めてDNAの声に従ってその場にいた無関係な人々を殺害。更にその後、帰りの電車に乗っていたコウタの前に現れ、コウタの目の前で彼の妹と父親を惨殺してしまう。しかしコウタへの想いは長年持ち続けており、それが最終的にはDNAの声に逆い自らを滅することに繋がった。その後は研究所に捕らえられ数年間厳重に拘束されていたが、角沢教授の画策により移送中に逃亡する。 コウタを傷つけない理由は前述の8年前の事件で彼の家族を殺したことを後悔しているため。コウタの居場所である楓荘の住民(ナナも含む)もその対象に広げられている。動物、特に犬を傷つけないのは前述の子犬を殺された事件のため。蔵間を殺さない理由は、研究所に投降した際にある少女の命を助けることを条件にしたにも関わらずその少女が死んだことを恨み、その復讐として蔵間を直接殺すのではなく彼に関わった者をすべて殺しつくして絶望を与えてから殺そうと思っているため。 上記のように、ルーシーのベクターの射程距離はディクロニウスの中でも最低の2mにすぎなかったが、特殊急襲部隊の楓荘襲撃の際に5mに延び、その後研究所地下にあるレーベンスボルン(命の泉)でアンナと戦った際には2km以上に延長、さらに灯台上でのDNAの声の最後の暴走の際には、宇宙空間にまでベクターが到達することになる。しかし、ディクロニウスも生物の範疇にあるためその力は無限ではなく、ルーシーが限界を無視して力を使うに伴い、その体組織の溶解が起こり始める。 物語の後半ではマリコとの戦いで角を折られたために、しばらくの間ルーシーの人格は眠ったままであったが、坂東との二度目の戦いで再び目覚めることになる。またその後、能宗の特殊急襲部隊により楓荘が襲撃された際、コウタが銃で撃たれるのを見たことで、怒りに狂ったルーシーの人格が現れる。彼女がマリコのクローンたちと戦っている最中に、皮肉にもコウタが失っていた記憶を取り戻すきっかけを作ってしまう。そのためそれ以降、父と妹の死の真相を思い出したコウタに憎まれることになる。戦闘の結果、角を折られた事で再びルーシーの人格は眠りにつき、研究所へ連れ戻されてしまう。 研究所に連れ戻された後、レーベンスボルンにて長らく存在すら知らないままだったディクロニウスの異父弟(父親は角沢長官)と角沢長官によって引き合わされ、長官から仲間になるよう説得されるも「自分たちの血を残してはいけない」との思いから弟と長官を殺害した。その後、アンナと戦いこれを倒すが、戦いの余波で研究所は崩壊。ルーシーは研究所から脱出し、再び由比ヶ浜に流れ着いた。その時、病院から抜け出してきたコウタと再会。彼に諭されて二度とベクターの力を使わないと決め、蔵間がその場に現れた際に彼に殺される事を覚悟するも、直後DNAの声に意識を乗っ取られて蔵間を攻撃してしまい、それを目撃したコウタに完全に遠ざけられてしまう。その直後、蔵間の銃撃を受け負傷したコウタを助けるため、ベクターの力(細胞と細胞をつなぐ力)を使ってコウタの負傷した体を治療した。だがコウタを治療した事と自分への一斉攻撃が開始された際にコウタを守るためにベクターの物理的攻撃力を限界を超えて行使したことの反動により、彼女の身体は元の姿をとどめないほど溶けてしまった。その直後に彼女を見限ったDNAの声に体を乗っ取られ、世界中に向けてベクター一斉射出による無差別攻撃を開始する。 最後はにゅうと共に幻影となってコウタの前に現れ、DNAの声に乗っ取られた体からコウタ達を傷つけないようにベクターをそらし続け、銃を持ったベクターをコウタに伸ばして手渡し、これを殺害させた。それにより8年前にコウタに言ったこと(もし自分が他の誰かを沢山殺すようになったら自分を殺して欲しい)を実行してもらい、その生涯を終えた。 壮大な事件が結末を迎えたあとも、コウタは毎年夏祭りの最後の日にはルーシーとの約束のため、すでにこの世を去ったルーシーには会えないとわかりながらも、約束の場所である仔犬の墓石に赴いていた。そして10年の月日が流れ、8年前の夏祭りの最後の日にルーシーが埋めた、ビンに入った手紙と翡翠をコウタはついに発見する。その手紙からルーシーの本名が「楓」であることが判明する。その直後に現れる、ルーシーとにゅうのそれぞれの面影をもった角のない双子の女の子の名前も「楓」であり、ルーシーがコウタたちと共に住んでいた場所も「楓荘」という名前であるが、その関連が明かされることはないまま解釈を読者にゆだねつつ物語は終わる。 アニメ版では、最終回で蔵間とマリコの最期を見届けた後、研究員に殺されそうになっていたナナを助け、一人コウタの下へ向かう。そして8年前の事件の記憶を取り戻したコウタに自分が人類を滅ぼす存在である事と8年前からずっと抱いていた懺悔の想いを告げ、コウタの下から去ろうとしたが、その直後にコウタに赦され、彼と和解する。その後、待ち構えていた警官隊と対峙するが、それ以降消息不明となる。警官隊との対峙の場面で角が折れる描写があるが、ルーシー自身がどうなったのかは不明。また、最終回のラストシーンでルーシーらしき影が楓荘の門に写っている描写があるが、この影がルーシーなのかどうかは明かされていない。にゅう ルーシーの別人格。ルーシー自身が「角がなければこうありたかった」と無意識で願っていた自分自身の姿を投影している。名前は当初「にゅう」としか喋れなかったことからコウタがつけた。髪型はショートヘアとなっている。 最初は赤子同然の知識の上「にゅう」と喋ることしかできなかったが、徐々に言葉と生活習慣を覚えていき、半年後には普通の少女となんら変わらない会話レベルと節度を身につける。女性の胸(特に巨乳)に興味を示し、たびたび楓荘の住人の胸を触る場面がある。また、にゅうの人格が出ている状態ではベクターを使うことができない。 物語の後半で角沢長官に捕獲された際に真の自分(ルーシー)を知ったことでベクターを発動し、にゅうの人格のままでもベクターを使えるようになった。 DNAの声 ルーシーのもう1つの別人格。正確にはルーシーのディクロニウスとしての本能が人格形成された姿。内なる声として絶えずルーシーに囁き続け、人類を絶滅させようとする。ルーシーの精神内では当初顔に包帯を巻いた姿で現れていたが、やがてルーシーと瓜二つの姿を現す。 8年前に夏祭での殺人事件とコウタの家族の死を引き起こした張本人。コウタに裏切られたと勘違いしたルーシーの嫉妬心に付け込み、彼女に殺人を犯させた。その後もことあるごとにルーシーに自分に従うよう囁き続け、彼女に多数の殺人を起こさせていたが、物語終盤でルーシーがコウタの言葉によってディクロニウスの力を捨てて人と共に生きる道を選んだために彼女に見切りをつけ、自らの手で人類を絶滅させるためにルーシーの体を乗っ取った。しかしその直後にルーシーの体が崩壊しかけていて長く持たないことに気づいて焦り、ルーシーが死ぬ前に人類を滅ぼそうと世界中に向けてベクターを放つ。そのベクターはどのディクロニウスのベクターよりも巨大で、本数も射程も力もルーシーのものを大きく越えており、自らへの反動を考えなければ地球規模の大破壊を起こすことが可能だった。 そしてコウタにも複数のベクターを伸ばし攻撃を加えようとしたとき、ルーシーとにゅうの意識のまぼろしが現れ、ベクターをコウタ達からそらされ、最後に一本だけ伸びたベクターから銃を受け取ったコウタの手により殺されて消滅した。 ナナ 声 - 松岡由貴 研究所で実験台にされ、生殖機能がない「ジルペリット」と呼ばれるディクロニウスの1人。髪はショートカットで、赤いネクタイ(アニメでは紫)をリボン代わりに結んでいる。研究所員たちには「7番」と呼ばれ、性格がおとなしく過酷な実験を日々受け続ける。その苛烈な状況下を生きのびるため、蔵間のことを父親だと思い込み心の支えとしている。 ベクターの射程については不明(作中の台詞から初期のルーシー以上でありマリコ以下であることは確定)で、アニメでのベクター本数は4本。 蔵間の指示でルーシーを探すために鎌倉を訪れ、そこでルーシーと邂逅。彼女に目的を告げ、更に発信機で研究所側にこちらの居場所を知らせたと告げるが、その直後にルーシーの攻撃を受ける。その後彼女と戦闘に突入し、当初はルーシーより射程が長いベクターで優位に立ったものの、ルーシーのベクターで四肢を切断され惨敗した(この時偶然相手のベクターを封じる手段を知る)。その後は任務に失敗したため薬物処分される筈だったが、蔵間の手で義肢を付けられて逃がされ、由比ヶ浜に流れ着き、後にコウタたちの住む楓荘に住むことになった。 義手義足となった後はそれらをベクターで操作することにより普通の手足のように動かせるようになった。更に、義手を相手に飛ばす奇襲技(通称「ロケットパンチ」)を編み出す。 幼時から研究所での実験体としての暮らししか知らないため、金銭の価値を知らず、アイスクリームに感動したり綿菓子を本物の綿と思い込むなど、一般常識を欠く。楓荘の生活では、天然で感情の起伏が激しく、時にハイテンション気味で、冷静なマユとはいいコンビ。基本的には人懐っこく、人間を攻撃することもないが、怒りに燃えると目つきが変わり凶暴な一面をのぞかせる(初期の頃はよく「殺して埋めてしまえばいい」などの台詞を口にしていた)。しかし他のディクロニウスのようにその感情を暴走させることはなく、マリコが死んだことで狂気に陥った蔵間が自分より幻影のマリコを追っていた際にも蔵間に一時怒りを表したが、結局攻撃することはなく、彼を守る道を選んだ。 全てが終わった後は蔵間と共に暮らすことになり、その際蔵間の娘ではなく奥さんになろうと決意する。 本作に登場するディクロニウスの中で、唯一最後まで生き残った。 その健気さから本作の人気キャラだが、連載前の原案時は影も形も無く、連載中の勢いでたまたま生まれたキャラクターである。本来なら17話で退場する予定だったが、生き残り、準レギュラーキャラとなった。「ナナ」という名前は本名ではなく、番号から自分でつけたことが原作者の岡本倫によって明らかにされた。 マリコ 声 - 川上とも子 僅か5歳にして最強のディクロニウス。研究員内では「35番」(アニメでは更に第三世代)と呼ばれている少女。蔵間の実の娘。子供の無邪気な残酷さがそのままディクロニウスの殺人衝動に繋がったような性格であり、ナナを喜んでいたぶったりもした。しかし一方で実父の蔵間を強く渇望し愛してもいる。髪は長いおかっぱで、紫色のリボン(アニメでは青紫)を結んでいる。 最大射程は11mで、アニメでは26本のベクターを持ち、力も強い。人間を見ると即座に殺す等、あまりに危険度が高いため身体の5箇所に爆弾を仕込まれている。研究所から出るときは携帯電話に仕組まれたコントローラーで爆弾を制御され、30分ごとに認証コードを入力しないと爆発されるようになっていた。 原作ではルーシーとの戦闘では長いベクターで優勢に立つが、コントローラーを拾った隙に両足をルーシーにもがれ、そのコントローラーをルーシーに壊され残りわずかの命になってもルーシーに抵抗したがあえなく爆死した。しかしその際、最後の力でルーシーの角を折り、彼女を数か月間眠らせることに成功した。その後、研究所の科学者・能宗の手により、彼女をオリジナルとしたマリコクローンが作り出される。 アニメ版では、ルーシーとの戦いの最中に蔵間と和解し、しばしの間彼と二人きりの時間を過ごしたが、その直後に長官に殺害される事を恐れた研究員が携帯から爆弾を起動。最後は蔵間に抱かれながら爆死した。 3番 声 - 高橋美佳子 かつて研究所にいたディクロニウス。本編では既に亡くなっており、過去の場面で登場する。 蔵間と大森をベクターウイルスに感染させた張本人で、研究所から脱走を図った際にたまたまその場に居合わせた2人にウイルスを植え付ける。その直後、当時研究室長だった角沢教授に射殺された。自分への残酷な実験を見て唯一顔をしかめていた蔵間に対しては敵意を感じていなかったようで、彼を殺そうとしなかった。 ベクターの射程は不明。 28番(原作のみ) 研究所内で実験台にされているディクロニウスの一人。大人しい性格で、ベクターも未発達。その性質ゆえ研究所によって生きたままディクロニウスを探すための「探知機」に改造され、黒帽子の男に利用された末に死亡するという悲惨な末路をたどった。 アリシア、バーバラ、シンシア、ダイアナ 能宗が研究しているマリコのクローンの成功例の4人。額にアジナーと呼ばれる特殊な装置を埋め込まれており、これによって能宗の命令に絶対服従している。 元ネタは新田真子『RUSH』の同名キャラクター。 ベクターの射程は10m。 ダイアナはアジナーによって能宗の命令に絶対服従になっていることを証明するために能宗の命令で自分の心臓を貫かせられる。傷が治った後は荒川を能宗と誤認した結果彼女と共に行動していたが、不意を突かれ出来損ないのクローンが放ったベクターに斃れた。 シンシアは楓荘襲撃の際にルーシーに殺害されるがその際に彼女の角を片方折り、結果的に角沢長官がルーシーを捕まえる手助けをした。 アリシアはバーバラと共に落下してきたヘリから能宗を救うも、ヘリを支えていた最中にルーシーに殺される。 バーバラはアリシアと共に落下してきたヘリから能宗を助け、楓荘を襲撃したマリコのクローンたちの中で唯一生き残ったが、彼女が自分の命令に背いたことを疑問に思った能宗がアジナーを外したことで殺人衝動に目覚め能宗を殺害、ナナを殺そうと飛び出していく。彼女にもルーシーのようにDNAの声が聞こえていたと思われる描写がある。最期はナナと戦っている最中に蔵間に射殺された。 出来損ないの1104体 クローン製造の過程によるミスが元で人としての形を保っていない失敗作。DNAはマリコのものだが、ベクターの射程についてはまばらで長いのもいれば短いのもいる。痛みへの耐性は各個体での有無が激しい。 ルーシーの弟(異父弟) ルーシーの母親を発見した角沢長官が自分との間に産ませたディクロニウス(つまり、ルーシーの異父弟)。唯一の男のディクロニウスである。頭部にアジナーを埋め込まれている。角沢長官がルーシーを説得しようとした際に長官と共に現れ、初めて姉(異父姉)と対面するが、その直後に「自分たちの血を残してはいけない」と考えていたルーシーによって長官と共に殺されてしまった。
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ディクロニウス
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正式名称は「二觭人(にきじん)」。ディクロニウスは二本角の恐竜の名に由来する。現生人類を滅亡に追い込ませることができるほどの力をもつ。
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