確定拠出年金 確定拠出年金の概要

確定拠出年金

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/24 14:20 UTC 版)

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現役時代に加入者が掛金の金額を指定して納め(拠出という)、その資金を加入者の指示で運用した結果の総金額が老後の受給額として支払われる。給付には、老齢給付、障害給付金、死亡一時金があり、その性質上、将来の受給額は未定かつ変動する。

対になるものとして確定給付年金がある。老後の受給額の目標金額を現役時代に加入者が確定しておき、将来の受給額から逆算した掛金を現役時代に支払う年金のことである。すなわち、老後の受給額を前もって確定した年金である。

日本の年金制度
(2017年/平成29年 3月末現在)[2]
国民年金(第1階)
第1号被保険者 1,575万人
第2号被保険者 4,266万人
第3号被保険者 889万人
被用者年金(第2階)
厚生年金保険 4,267万人
公務員等[3] (426万人)
その他の任意年金
国民年金基金 / 確定拠出年金(401k)
/ 確定給付年金 / 厚生年金基金

本記事において、確定拠出年金法については条数のみ記す。

特徴

確定拠出年金法の目的は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする(第1条)。特徴は、年金資産を加入者が行った運用の指図の結果の損益に応じて年金額が決定されることにある。年金資産が個人別に区分され、残高の把握や転職時の資産の移行が容易に行える。事業主側からみた利点は、掛金を確定させれば、給付額は加入者の運用次第なので複雑な年金数理計算が不要となる。また掛金拠出の時点で費用計算をすれば後発債務が発生する心配もない。

企業と労働組合との合意の上で規約を定めれば、規約にて定められた日付から実施することが可能である。その際の企業規模は一切問わない。対象者が各個人で掛金を支払う「個人型年金」と、企業が掛金を支払う「企業型年金」の2通りがある(第2条)。掛金は自由に決められるが、上限が定められている。掛金は損金または所得控除の対象となる。

確定給付企業年金と最終的な目的を同じくするものの、目的の達成に至る段取りや方法に違いがあり、例えば確定拠出年金では給付を受ける者が厚生年金被保険者に限られないため、「個人」と言う表現を用いている点等が異なっている。

特定非営利活動法人確定拠出年金教育協会は2001年(平成13年)10月1日に確定拠出年金法が制定されたことから毎年10月1日を「確定拠出年金の日」として一般社団法人日本記念日協会に記念日の登録をした[4]。協会では日頃から確定拠出年金についての調査やセミナーを行っている。

種類

個人型 (individual type)

愛称iDeCo(イデコ)[5]。ここでいう個人型の特徴は、「個人が掛金を支払う」というものである。2020年3月末時点で加入者数は156万人であり増加傾向にある[6]

  • 加入資格は、国民年金の第1号被保険者(低所得や生活保護を受けているために国民年金保険料が免除されている者を除く)、第3号被保険者、60歳未満の厚生年金保険の被保険者(後述の企業型DCを実施している事業所に勤務する者の場合は、規約に定めた場合に限る)である(第62条1項)。
    • 国民年金第1号被保険者たる、障害基礎年金等の受給権者や施設入所者等は保険料の免除を受けていても加入することができる。
  • 個人型の掛金は、いずれの場合も加入者自身が全額拠出する(第68条)。平成30年より、掛金は年1回以上定期的に拠出することとされ、必ずしも毎月でなく一定期間(個人型掛金拠出単位期間)を区分してその区分ごとに拠出すればよいこととされた。なお、いわゆる「前納」や「追納」はできない。
    • 国民年金の第1号被保険者では、掛金の上限は月当たり68,000円。ただし国民年金基金への加入・付加保険料の納付があればそれと合算された金額が上限となる(第69条)。国民年金第1号被保険者の場合は、国民年金の保険料を納付していない月については掛金を拠出できない
    • 60歳未満の厚生年金保険の被保険者たる加入者は、勤務先に厚生年金基金確定給付年金、企業型DC、年金払い退職給付のいずれの制度も無い場合、掛金の上限は月当たり23,000円(年27.6万円)。企業型DCのみを実施する場合、掛金の上限は月当たり20,000円(年24万円)(企業型DCへの事業主掛金の上限を年額42万円(月額35,000円)とすることを規約で定めた場合に限る)。確定給付型年金、年金払い退職給付のいずれかを実施する事業所の場合、掛金の上限は月当たり12,000円(年14.4万円)(企業型DCと確定拠出年金を併用する場合、企業型DCへの事業主掛金の上限を年額18.6万円(月額15,500円)とすることを規約で定めた場合に限る)。公務員の場合、掛金の上限は月当たり12,000円(年14.4万円)。
      • 掛金の納付は事業主経由ですることができ、この場合事業主は正当な理由なく従業員の申出を拒否できない(第70条2項、3項)。
    • 国民年金の第3号被保険者では、掛金の上限は月当たり23,000円(年27.6万円)。
    • ちなみに農業者年金基金には、月額最大1万円の保険料の国庫補助制度があるが、確定拠出年金には掛金の国庫補助制度がない。
  • 掛け金の最低金額は、第1号、第2号、第3号被保険者全てが月5,000円(年6万円)である。

なお連合会は、個人型年金に係る規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。また、国民年金基金連合会が資産管理機関を兼ねる(実際には連合会から金融機関等に資産管理業務が委託されている)。運営管理業務は運営管理機関に委託しなければならない(第60条)。

企業型 (corporate type)

ここで言う企業型の特徴は、「企業が掛金を支払う」(全額事業主負担)というものである。後述するマッチング拠出を利用することで従業員が上乗せで拠出出来る。2020年2月末現在の加入者数は724万人であり増加傾向にある[7]

  • 実施企業は、厚生年金の適用事業所に限る。事業主が60歳未満(60歳前から引き続き使用されていれば企業が定めた規約により65歳まで延長可)の従業員(厚生年金第1号被保険者、厚生年金第4号被保険者に限る)を加入者として実施する。要件を満たす限り、確定拠出年金と確定給付年金とを併せて導入することもできる。
  • 規約により加入者の要件として一定の資格を定めた場合は、その資格を有さない者は加入者としないことができる(第3条3項6号)。ここで「一定の資格」として定めることができるのは「一定の職種」「一定の勤続期間」「一定の年齢」「希望する者」に限られる(平成13年8月21日年発第213号)。
  • 事業主は、労使合意のもと、企業型年金に係る規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。事業主は資産管理機関(一般的には信託銀行生命保険会社など)と資産管理契約を締結しなければならない。運営管理業務を運営管理機関に委託するかは任意であり、当該企業が自ら運営管理業務を行ってもよい。
  • 平成30年より、掛金は年1回以上定期的に拠出することとされ、必ずしも毎月でなく一定期間(企業型掛金拠出単位期間)を区分してその区分ごとに拠出すればよいこととされた。掛金の上限は、厚生年金基金、確定給付年金のいずれかが有る企業、私学共済の加入者の場合は月当たり27,500円(個人型年金同時加入可能者は15,500円)、いずれも無い企業の場合、月当たり55,000円(個人型年金同時加入可能者は35,000円)となる。なお、いわゆる「前納」や「追納」はできない。
  • 規約に定める事で、企業が拠出する掛金に上乗せして従業員が掛金を拠出するマッチング拠出が可能。マッチング拠出の掛金額は「企業が拠出する掛金額以内」かつ「企業拠出分と従業員拠出分の合計が法定の拠出限度額以内」となる範囲で定める。
  • 平成30年5月より、企業年金を実施していない中小企業は、その従業員の掛金との合計が拠出限度額の範囲内で iDeCo に加入する従業員の掛金に追加して、事業主が掛金を拠出することができるようになった(中小事業主掛金納付制度、愛称「iDeCo+」(イデコプラス))。従業員の掛金は、中小事業主掛金とあわせて、事業主を介して国民年金基金連合会に納付する。
    • 「中小企業」とは、従業員(厚生年金第1号被保険者)100人以下の事業主とする。中小事業主掛金額は定額とし、その拠出にはあらかじめ労働組合等の同意が必要である。
  • 実施事業主に使用される期間が3年未満である場合、その者の個人別管理資産のうち事業主掛金に相当する部分の全部または一部を事業主に返還させることができる(事業主返還)。逆に言えば、3年以上の勤続で、従業員負担分や運用益が無くても労働者の受給権は発生する。

簡易企業型

平成30年5月より、設立条件を一定程度パッケージ化された制度とすることで、設立時に必要な書類等を削減して設立手続きを緩和するとともに、制度運営についても負担の少ないものにするなど、中小企業向けにシンプルな制度設計とした企業型年金が新設された。一般の企業型との相違点は、

  • 規約で一定の範囲の者のみを加入者とすることはできない(当該事業主に使用される厚生年金第1号被保険者は全員加入者とする必要がある)。
  • 事業主掛金の算出方法は、定額に限る。
  • 加入者掛金の額の選択肢は1つでも可。

  1. ^ DC(=Defined Contribution Plan)とは、「確定拠出型」を意味するが、日本においては確定拠出年金(企業型年金、個人型年金)のことを指す略称として用いられることが多い”. 企業年金連合会. 2009年4月25日閲覧。
  2. ^ 『厚生労働白書 平成30年度』 厚生労働省、2018年、資料編https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/18-2/dl/11.pdf 
  3. ^  被用者年金制度の一元化に伴い、2015年10月1日から公務員及び私学教職員も厚生年金に加入。また、共済年金の職域加算部分は廃止され、新たに退職等年金給付が創設。ただし、2015年9月30日までの共済年金に加入していた期間分については、2015年10月以後においても、加入期間に応じた職域加算部分を支給。
  4. ^ 「確定拠出年金の日(10月1日)」と 「NISA(ニーサ)の日(2月13日)」を制定しました。確定拠出年金教育協会
  5. ^ 当該愛称は公募により決定された。individual-type Defined Contribution pention planに由来する個人型確定拠出年金制度 愛称募集キャンペーン”. 2016年9月16日閲覧。
  6. ^ a b iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数等について
  7. ^ a b 確定拠出年金の統計|統計資料|企業年金連合会
  8. ^ 運営管理機関登録業者一覧”. 厚生労働省. 2011年11月19日閲覧。
  9. ^ 令和2年度税制改正要望事項(抄)
  10. ^ 確定拠出年金の施行状況(毎月更新)”. 厚生労働省 (2016年8月31日). 2016年10月26日閲覧。


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