企業型 (corporate type)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:54 UTC 版)
「確定拠出年金」の記事における「企業型 (corporate type)」の解説
ここで言う企業型(Corporate-type defined contribution pension system)の特徴は、「企業が掛金を支払う」(全額事業主負担)というものである。後述するマッチング拠出を利用することで従業員が上乗せで拠出出来る。2020年2月末現在の加入者数は724万人であり増加傾向にある。 実施企業は、厚生年金の適用事業所に限る。事業主が60歳未満(60歳前から引き続き使用されていれば企業が定めた規約により65歳まで延長可)の従業員(厚生年金第1号被保険者、厚生年金第4号被保険者に限る)を加入者として実施する。要件を満たす限り、確定拠出年金と確定給付年金とを併せて導入することもできる。 規約により加入者の要件として一定の資格を定めた場合は、その資格を有さない者は加入者としないことができる(第3条3項6号)。ここで「一定の資格」として定めることができるのは「一定の職種」「一定の勤続期間」「一定の年齢」「希望する者」に限られる(平成13年8月21日年発第213号)。 事業主は、労使合意のもと、企業型年金に係る規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。事業主は資産管理機関(一般的には信託銀行や生命保険会社など)と資産管理契約を締結しなければならない。運営管理業務を運営管理機関に委託するかは任意であり、当該企業が自ら運営管理業務を行ってもよい。 平成30年より、掛金は年1回以上定期的に拠出することとされ、必ずしも毎月でなく一定期間(企業型掛金拠出単位期間)を区分してその区分ごとに拠出すればよいこととされた。掛金の上限は、厚生年金基金、確定給付年金のいずれかが有る企業、私学共済の加入者の場合は月当たり27,500円(個人型年金同時加入可能者は15,500円)、いずれも無い企業の場合、月当たり55,000円(個人型年金同時加入可能者は35,000円)となる。なお、いわゆる「前納」や「追納」はできない。 規約に定める事で、企業が拠出する掛金に上乗せして従業員が掛金を拠出するマッチング拠出が可能。マッチング拠出の掛金額は「企業が拠出する掛金額以内」かつ「企業拠出分と従業員拠出分の合計が法定の拠出限度額以内」となる範囲で定める。 平成30年5月より、企業年金を実施していない中小企業は、その従業員の掛金との合計が拠出限度額の範囲内で iDeCo に加入する従業員の掛金に追加して、事業主が掛金を拠出することができるようになった(中小事業主掛金納付制度、愛称「iDeCo+」(イデコプラス))。従業員の掛金は、中小事業主掛金とあわせて、事業主を介して国民年金基金連合会に納付する。「中小企業」とは、従業員(厚生年金第1号被保険者)100人以下の事業主とする。中小事業主掛金額は定額とし、その拠出にはあらかじめ労働組合等の同意が必要である。 実施事業主に使用される期間が3年未満である場合、その者の個人別管理資産のうち事業主掛金に相当する部分の全部または一部を事業主に返還させることができる(事業主返還)。逆に言えば、3年以上の勤続で、従業員負担分や運用益が無くても労働者の受給権は発生する。
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