痛車 痛車の概要

痛車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/20 01:16 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
痛車の例として「ウィキペたん」をあしらったもの(Photoshop による合成画像

概要

京阪けいおん!」電車は車体広告であるが、その題材と装飾様式から痛車の電車版即ち通称「痛電」もしくは「痛電車」と呼ばれた。(2011年)
このような図柄の塗装を個人が趣味で行うと「痛車」と呼ばれやすい(「バス」を自称する富士急山梨バスのラッピングバスの例、2012年)

痛車とは「見ていて痛々しい車」という意味からきた俗語であり[2][9]恥ずべき行いを「痛い」と表現する俗語に由来するものである[10]イタリア車を意味する「イタ車」の語感に掛けた洒落であるとも言われる[7][2]。こうした車両が「痛車」と呼ばれ始めた経緯については、揶揄の意味で用いられ始めたとも、オーナーのジョークのうえでの自虐として用いられたとも言われるが、諸説があり定かではない[5]

2000年代前半以前は愛好家同士のみで通じる隠語のようなものだったが、雑誌やインターネット上のWebサイトやテレビ番組などでの映像公開により広く認知されるようになった。模型などの商品化や専門誌の出版、痛車をテーマにしたイベントも行われている[2]。実際の痛車は、アニメの舞台のモデルとなった場所(ロケ地巡り、「聖地」などと俗称される)や[11][12]コミックマーケット開催日3日目の東京・有明国際展示場駅有明駅前)や駐車場[7][13]、週末の東京・秋葉原[14][15]などに停まっているのを実際に見ることができる。

こうした車両はアニメやゲームの宣伝車のように装飾されている場合もある[6]が、多くは個人による趣味の一環として行われているものである[3][6]。中には公式な広告活動のための車両に痛車風のデザインを取り入れたり、自ら痛車を銘打った宣伝活動が行われたりする例もある[16][17]が、単なる宣伝カーデコトララッピングバスは痛車とは異なる定義である。

同様の改造を施した原付バイク痛単車(いたんしゃ)と呼ばれ、自転車の場合は痛チャリ(いたチャリ)と呼ばれる[1][7][2][18](ただし自転車の場合はフレームでは目立たず、ディスクホイール化した車輪程度しか描く場所はない)。

また、似たような装飾を施したラッピング電車を俗に痛電車(いたでんしゃ)などと呼ぶこともある[19][20]が、その大半は広告活動や地域振興目的のものであり、(前述の)趣味の装飾という意味合いも含む「痛車」本来の定義には該当しないケースがほとんどである。

痛車はおたく文化の一種として受け取られており[5]、その層における興味の対象としては認知されていないような一般企業のマスコットキャラクターやドラえもんポケットモンスターなどの一般子ども向けの作品や、ロボットアニメのロボットなどは痛車の題材になることは稀である[21]。これらのおたく要素とは、一般的には萌え絵・美少女系などの男性向けおたく作品の要素を指しているが、中には女性向け作品である『うたの☆プリンスさまっ♪』のキャラを貼った車のような例外もある。またアイドルや人気声優など実在の人物の画像を用いた痛車もあるが[22][23]、これらは肖像権の侵害にあたるため本人や本人の所属事務所から自粛を求められている[要出典]

評価

痛車に対する認知度が上がると、痛車を扱うビジネスも出現するなど盛り上がりも見せている[2]。一方で痛車に対する世間からの評価は、

  • 一種のアートとしての評価する場合
  • ステッカーチューンとしての車両カスタムの一つとして評価する場合
  • 不可思議なものと冷やかしの対象として見られたり、悪趣味と嫌悪する場合
  • 一般車にまぎれると目立つ、自分はやらないが楽しい

などがあり一様ではない。

ときおり、ボディに無数の傷を付けられたり、ステッカーを剥がされるなどといった「痛車狩り」と称したいたずら被害の報告がある[24]。なお、屋外広告物条例等[25]に基づいて公務員や当局から委託を受けた者がステッカーの除却作業を行う場合を除き、実際にこのようなことを行うと器物損壊罪となる(「おたく狩り」も参照)。


  1. ^ a b c 痛車&萌車総合展示会 あうとさろーねレポート”. J.D.M.OPTION (2007年9月). 2011年5月28日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h “フェラーリも萌える「痛車」ビジネス”. MSN産経ニュース (産業経済新聞社). (2008年11月17日). オリジナルの2009年5月23日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20090523174414/http://sankei.jp.msn.com/economy/business/081117/biz0811170842000-n1.htm 2010年12月23日閲覧。 
  3. ^ a b c 痛車グラフィックス公式サイト web トップページ”. 芸文社. 2009年6月24日閲覧。
  4. ^ “羽後あきたおばこに“萌え〜” 米袋にイラスト…全国の若者から予約殺到”. iza (産業経済新聞社). (2008年9月26日). オリジナルの2009年2月2日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20090202065914/http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/181659/ 2008年12月20日閲覧。 
  5. ^ a b c d e “痛車写真蔵…痛Gふぇすた in お台場 詳報”. Response.jp (株式会社イード). (2008年11月28日). http://response.jp/article/2008/11/28/117091.html 2010年12月23日閲覧。 
  6. ^ a b c 藤山哲人 (2007年1月3日). “【年始特別企画】国民よ! 辞書を修正せよ! “イタ車”ならぬ“痛車”大集合!(2006大晦日 PART1)”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2010年12月23日閲覧。
  7. ^ a b c d “美少女キャラ車体に描く 「痛車」が20代前半に大うけ”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2008年4月6日). http://www.j-cast.com/2008/04/06018429.html?p=all 2010年12月24日閲覧。 
  8. ^ 中村信博 (2010年7月16日). “痛車総数1000台! 痛車イベント「萌ミ2010」レポ【前編】”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2010年12月23日閲覧。
  9. ^ “即完売!「けいおん!」痛車のオリジナルプラモデル&限定品が再販決定!”. シネマトゥデイ (ウエルバ). (2010年12月22日). http://www.cinematoday.jp/page/N0029206 2010年12月23日閲覧。 
  10. ^ 『オタクのことが面白いほどわかる本』榎本秋(編)、中経出版、2009年6月5日、第1刷、180,183頁。ISBN 978-4-8061-3358-2
  11. ^ 末岡大祐 (2009年7月23日). “痛車で街興し! 萌フェスで鷲宮が萌えた!”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2010年12月28日閲覧。
  12. ^ 中村信博 (2010年8月30日). “これぞオタクツーリズム! 聖地巡礼木崎湖の旅”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2010年12月28日閲覧。
  13. ^ 藤山哲人 (2008年1月1日). “愛があれば乗れる! 愛があれば貼れる! 究極の痛車 in コミケ73【1痛目】”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2010年12月28日閲覧。
  14. ^ 藤山哲人 (2008年5月9日). “富士スピードウェイに痛車がっ! 世界一痛いカーイベント!【第1痛】”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2011年5月28日閲覧。
  15. ^ a b “らき☆すたの痛車プラモが出るぞ”. ITmedia NEWS (ITmedia). (2008年6月11日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0806/11/news084.html 2011年5月27日閲覧。 
  16. ^ a b “初音ミク痛車、もっと“痛く”なって「SUPER GT」へ”. ITmedia NEWS (ITmedia). (2008年8月20日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0808/20/news107.html 2010年12月23日閲覧。 
  17. ^ 佐藤和也 (2010年12月28日). “「ドリームクラブ ZERO」1月の東京・大阪体験会&グッズ配布イベント日程を発表--東京オートサロンにも痛車を展示”. GameSpot Japan. 朝日インタラクティブ. 2010年12月28日閲覧。
  18. ^ a b 藤山哲人 (2009年8月3日). “特集 痛車も痛単車も痛チャリも! 1000台集結の「萌ミ2009!」”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2010年12月23日閲覧。
  19. ^ 太田 (2009年3月26日). “CLANNAD仕様のNゲージ電車が発売! 御坂姉妹は2体セットでお得感たっぷり!”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2012年1月8日閲覧。
  20. ^ 小野坂怜 (2011年8月22日). “京阪電車大津線で「けいおん!」の痛電車が出発進行!”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2012年1月8日閲覧。
  21. ^ 河村成浩 (2009年1月2日). “痛車:ガンダムがないのは「萌えないから」 オーナーに聞く人気の秘密”. まんたんウェブ (毎日新聞社). オリジナルの2009年1月8日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20090108051206/http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20090102mog00m200010000c.html 2011年9月3日閲覧。 
  22. ^ akiba (2009年10月4日). “「痛リムジン」降臨、「いやらシーマ」戴冠! 痛車イベント「第2回 痛Gふぇすた」開催”. アキバ総研. カカクコム. 2011年1月4日閲覧。
  23. ^ darkhorse_logc (2010年3月23日). “「萌え博2010」で見かけたステキな痛車たち【ゲーム・その他編】”. GIGAZINE. 2011年1月4日閲覧。
  24. ^ 藤山哲人 (2010年1月4日). “華麗なる痛車!妄想と夢と嫁の重量過積載!【2痛目】”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2010年12月28日閲覧。
  25. ^ 奈良市 (2015年4月8日). “屋外広告物 Q&A”. 奈良市役所. 2015年4月8日閲覧。
  26. ^ OPTION2 2009年1月号 106-107ページ 本ページでは「馬力自慢の怪物痛車TOP3」の1台として紹介されていた(残りの2台は700ps仕様のBNR32 GT-R、RB30換装で800ps仕様のR33スカイライン)。シーマの愛称に関しては痛車グラフィックス Vol.10に記述あり。
  27. ^ a b 川口盛之助、2010年、「「What」も「How」も顧客にオープン」、『クラウドものづくり』(2010年冬号(『日経ものづくり』2010年12月号付録))、日経BP pp. pp.34-38
  28. ^ 具体的にはカローラ/スプリンターサニーコロナ/カリーナブルーバードなどのCセグメント車で趣味性の低い実用モデル。もっとも、この手の車両もある程度旧くなってくると旧車趣味の対象となっている現状はある。
  29. ^ 痛車グラフィックス」Ver.12の付録「第5回 痛Gふぇすたinお台場 COLLECTION BOOK」に掲載されている。
  30. ^ 奈良市 (2015年4月8日). “屋外広告物 Q&A”. 奈良市役所. 2015年4月8日閲覧。
  31. ^ OPTION2誌、パーキングオートサロンに掲載されている。
  32. ^ a b “鹿坊くん、Ferrari F430 spiderを痛車にして都内暴走?”. BARKS (ITmedia). (2008年11月8日). http://www.barks.jp/news/?id=1000044682 2011年5月28日閲覧。 
  33. ^ a b “せんとくんの兄「鹿坊くん」痛フェラーリに乗り込み、痛Gふぇすたに出現予定!”. リッスンジャパン. (2008年11月8日). http://listen.jp/store/musicnews_25333_all.htm 2010年12月23日閲覧。 
  34. ^ a b “お台場に痛車、痛単車、痛チャリが500台が集結!”. Car@nifty (ニフティ). (2008年11月11日). http://car.nifty.com/cs/catalog/car_2/catalog_081111180116_1.htm 2011年5月28日閲覧。 
  35. ^ 伊藤真広 (2008年2月20日). “痛車 in 台北! 世界は痛車に毒されはじめた……”. ascii.jp. アスキー・メディアワークス. 2011年5月28日閲覧。
  36. ^ アニメ関連の塗装車としてはこれ以前に『マッハGO!GO!GO!』の「マッハ号」が2002年の全日本GT選手権からGT300で参戦しているほか、2007年にはSUPER GTでKRAFTが第5戦以降『機動戦士ガンダム00』とのタイアップでガンダムエクシアをモチーフとしたカラーリングのレクサス・SC430をGT500で走らせている。
  37. ^ レース以外の走行を含む場合、「トヨタモータースポーツフェスティバル2010」でエヴァンゲリオンレーシング(FN09・RV8K)はフォーミュラカー初。
  38. ^ 愛車をWEBで自慢しちゃおう! ドレスアップコンテスト!!”. レーシングRPG ドリフトシティ・ブースト 公式サイト. アラリオ (2008年3月25日). 2008年6月18日閲覧。
  39. ^ 濱健幸 (2007年12月27日). “青島文化教材が痛車のプラモを発売、車種とキャラは”. カービュー. 2008年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年12月28日閲覧。
  40. ^ 衝撃のアオシマ 1/24プラモ“涼宮ハルヒの痛車”写真到着&予約開始!”. GA Graphic. ソフトバンククリエイティブ (2007年11月30日). 2011年5月27日閲覧。
  41. ^ もはや“痛快”! アオシマ痛車プラモ第2弾は「ToHeart2」のAE86”. GA Graphic. ソフトバンククリエイティブ (2008年3月3日). 2011年5月27日閲覧。
  42. ^ 商標登録番号:第5145997号、出願番号:商標出願2007-124323、読み方は「イタシャ」「ツーシャ」で登録されている。




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「痛車」の関連用語

痛車のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



痛車のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの痛車 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS