主要部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 21:36 UTC 版)
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主要部以外の語は、依存文法では主要部に従属するという意味で従属部(dependent(s))と総称される。一方、Xバー理論では、主要部を補う項が補部(complement)、修飾語が付加部(adjunct)と呼ばれる。例えば、動詞句の場合、目的語などが補部、副詞句などが付加部である。
主要部を有する句や複合語は内心構造的(endocentric)、明確な主要部を持たない句や複合語(もし存在するならば)は外心構造的(exocentric、俗にheadlessとも)である。例えば、”文”(sentence、略してS)も句の一種だとすると、それに含まれる名詞や動詞などを主要部としていないため、外心構造的だと言える[2]。
主要部は、枝分かれ(branching、分岐とも)の方向性を確立するために不可欠な要素である。主要部先導型(head-initial)の句は右枝分かれ(right-branching)、主要部終端型(head-final)の句は左枝分かれになる。また、主要部の両側に枝が展開する句(head-medial)も存在する。
なお、主要部と従属部の区別は必ずしも容易ではない。学者により、主要部を識別するための厳密な条件が異なり、主要部の定義そのものについても細部にわたる討論が行われてきた[3]。
- ^ 主要部に関する一般的な説明については、Miller (2011:41ff.) を参照。
- ^ Xバー理論では、本来は語形変化・活用・時制などを担う要素として捉えられていた屈折詞(inflection)を主要部に据えた屈折句(inflectional phrase、略してIP)という概念を導入することにより、文も内心構造的であるという解釈を可能にした。つまり、SすなわちIPは、屈折詞を主要部とする屈折句だという考え方である。これにより、同じツリー構造を、最小の句から文全体までのあらゆる階層で適用できることになった。Xバー理論#文の構造およびen:Endocentric and exocentricも参照。
- ^ Zwicky (1985, 1993) と Hudson (1987) のやり取りを参照。
- ^ ここでは、限定詞が不要な(またはゼロ限定詞が使われている)複数形の例を紹介。限定詞の有無については、英語の冠詞、名詞句#限定詞なしの名詞句および名詞句#名詞句のツリー構造を参照。
- ^ ここで紹介しているような依存文法のツリー図は、例えばÁgel et al. (2003/6) で閲覧可能。
- ^ 単語そのものをラベルとして使用するのは、裸句構造(bare phrase structure、略してBPS)という考え方に準拠した表示法である。Chomsky (1995) を参照。なお、BPSは素句構造、最小句構造とも訳される。
- ^ Xバー理論では、to不定詞のtoも屈折詞(inflection)の1つで、よって、to句もinflectional phrase(IP)となる。
- ^ 屈折句(IP)の指定部には主語名詞句が入る。
- ^ ここでは、主語が動詞の従属部だという理論が採用されている。
- ^ Nichols (1986).
- 1 主要部とは
- 2 主要部の概要
- 3 基本例
- 4 主要部と言語類型論
- 5 関連項目
- 主要部のページへのリンク