サツマイモ 特徴

サツマイモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 01:00 UTC 版)

特徴

各地で栽培されるつる性の多年草[8]。高温や乾燥に強く、痩せ地でも良く育つ丈夫な野菜で、芋(塊根)などを食用にする[15]は、ヨウサイアサガオに外見が似ている[10]ピンク色でアサガオに似るが、高温短日性であるため、日本本州など温帯地域では開花しにくく、日長要因だけではなく何らかのストレスによってまれに開花する程度である[10]。また、花の数が少なく受粉しにくい上に、受粉後の寒さで枯れてしまうことが多いため、品種改良では種子を効率よく採るためにアサガオなど数種類の近縁植物に接木して、台木から送られる養分や植物ホルモン等の働きによって開花を促進する技術が使われる。デンプンを多く含む芋は、根が肥大したもの(塊根)で、茎が肥大した塊茎を持つジャガイモと相違がみられる[10]

1955年昭和30年)に西山市三メキシコで祖先に当たる二倍体の野生種を見つけ、イポメア・トリフィーダ(Ipomoea trifida)と名付けた。後に他の学者達によって中南米が原産地とされた。若いを利用する専用の品種もあり、主食野菜として食用にされる[要出典]

芋の皮の色は紅色や赤紫色の他、黄色や白色がある[3]。芋の中身は主に白色から黄色で、中には橙色や紫色になる品種もある[3]。特に全体が紫で、芋の中身がアントシアニンに由来して紫色のサツマイモを、紫芋(むらさきいも)と呼んでいる[16]

歴史

原産地は中央アメリカメキシコ中央部からグアテマラにかけてとする説が有力である[3][7]。紀元前3000年以前から、メキシコ地域で栽培化されていたとみられている[7]。その後は南米ペルーに伝わり、古代ペルーの遺跡からサツマイモの葉や花、根を描いた土器や綿布が発見されていることから、重要作物になっていったと考えられている[7]

ヨーロッパアジアオセアニアにおいては外来植物である。

15世紀末にクリストファー・コロンブスが新大陸を発見し、スペインイザベル女王へ献上したこと契機に、アメリカ大陸からヨーロッパへと広まった[3][7]。しかし、もともと熱帯作物であったため、ヨーロッパではジャガイモのように普及することはなかった[7]イギリスではエリザベス朝の頃に、その甘さから好意的に受け入れられた。イギリス人はこの芋をペルーでの塊茎を意味する言葉 batata から patate と呼んだ。18世紀末に甘くないジャガイモ(potato)が一般化するにつれ、サツマイモは sweet potatoと呼ばれるようになった[17]

大航海時代の1498年に、コロンブスがベネズエラを訪れて以降、1519年にはポルトガルフェルディナンド・マゼランスペイン船隊を率いて南端のマゼラン海峡を発見。16世紀に頻繁に南アメリカ大陸にやってきたスペイン人あるいはポルトガル人により東南アジアに導入された[要出典]ルソン島フィリピン)から中国を経て、17世紀の初め頃に琉球九州へと伝わった[要出典]

ニュージーランドへは10世紀頃に伝播し、「クマラ」(kumara) の名称で広く消費されている[要出典]西洋人の来航前に既にポリネシア域内では広く栽培されていた。

日本へは、17世紀初めに中国から琉球にもたらされ、やがて薩摩へ伝わり、九州南部で栽培されたのが「薩摩の芋」として、全国へ広まり定着した[3][7]。なお、1597年に宮古島に伝わったとの説もあるが、年代に疑義がある上、宮古島から他の地域へは伝播しなかった。西日本の大飢饉の折に、鹿児島で餓死者を出さなかったことから、凶作の年でも収穫が見込める救荒作物として重要視されるようになり[7][18]江戸時代に飢饉を救う救荒作物として栽培が奨励された[10]。飢饉対策に腐心していた江戸幕府8代将軍・徳川吉宗の命によって、1735年、蘭学者青木昆陽が薩摩から江戸に種芋を取り寄せて、小石川御薬園(現:小石川植物園)などでサツマイモを試作し、これをきっかけに東日本各地でも栽培が広がった[7][18]。20世紀の第二次世界大戦太平洋戦争)中は、軍事統制下の深刻な食糧難からサツマイモ栽培が大いに奨励された[7](日本列島における普及史については、「日本列島における栽培と普及史」も参照)。

品種

日本におけるサツマイモの品種別栽培面積
掘り出したサツマイモ

世界には4000種あるといわれているが、日本で栽培されるのは40品種程度である[9]。紅あずま、紅こまち、紅赤(べにあか)、安納紅、安納こがね、紅はるか、シルクスイート、金時などの品種がある。なかでも、関東では紅あずま、関西および九州では高系14号が主流となっている[9]デンプン原料用としては、シロユタカ、シロサツマ、コガネセンガン(黄金千貫)などがある。天然着色料の原料としても使用される品種に[19]、七福人参(カロテン色素を抽出する。)、琉球紫(アントシアニン色素を抽出する。)、パープルスイートロード(アントシアニン色素を抽出する。)がある。葉を楽しむ観葉植物用の品種も市販されている。

  • 紅あずま(べにあずま) - 東日本でポピュラーな品種。芋の外皮が濃い紅紫色で中身が濃い黄色。繊維が比較的少なく甘味が強い。粉質でホクホクした食感が特徴[3]。焼き芋や菓子の材料の他、家庭料理全般に向く[7]。流通量が多く、農林水産省の統計によれば、紅あずまの全国作付け面積は2012年産で7358ヘクタール、2019年産で4472ヘクタールである[20]
  • 高系14号(こうけい14ごう) - 西日本でポピュラーな品種。芋の外皮は赤褐色、中身が淡黄色。糖度は8%ほどで甘味が強く、ややねっとりしている。焼き芋には最適で、各生産地で「鳴門金時」「土佐紅」「千葉紅」などの独自ブランド名をつけて出荷流通する[7]
    • 鳴門金時(なるときんとき) - 西日本でポピュラーな徳島県鳴門の砂地で栽培される品種。甘味が強くホクホクした食感が特徴。天ぷら・大学芋・菓子材料に向く[21]。流通量が少ないことで知られる[16]
    • 紅はるか(べにはるか) - 鳴門金時と同じ高系14号系の品種。「九州121号」と「春こがね」を交配させて誕生した。名前の由来は、食味や外観が既存品種よりも「はるか」に優れていることから。甘味が強く、水分が多めで、蒸し芋や干し芋にすると美味しい[21]。農林水産省の統計によれば、紅はるかの全国作付け面積は2012年産で2037ヘクタール、2019年産で5301ヘクタールである。また高値のつく形やサイズのよいものが多く取れ、害虫にも強い[20]
    • 坂出金時(さかいできんとき) - 高系14号系の香川県の品種。粉質のホクホクした食感で、ほどよい甘さがあり、料理や菓子に向く[21]
    • 五郎島金時(ごろうじまきんとき) - 高系14号系の石川県金沢市・五郎島地区の砂丘地で栽培される品種[18]。江戸時代の元禄期に、鹿児島から加賀に種芋を持ち帰って栽培されたといわれる伝統品種。中央がふっくらした紡錘形で身の色が白く、上品な甘さと粉質でホクホクした食感がある[16][21]
  • 紅赤(べにあか) - かつて関東地方の代表的な品種で、皮が鮮やかな赤紫色で細長いのが特徴。細すぎるのは繊維が多い。加熱すると中が濃い黄色になって甘味が強く、焼き芋や栗金団用に人気がある[22]
  • 紅さつま(べにさつま) - 鹿児島県でもっとも多く栽培されている青果・加工用の芋。皮は濃赤色で中は黄白色。例年5月下旬から、日本一早い「新芋」として出荷される。ホクホクした食感で甘味があり、焼き芋やふかし芋、天ぷらなどに向く[22]
  • 大隅甘いも(おおすみあまいも) - 小ぶりで中が濃い色の鹿児島県の品種。加熱するとねっとりした食感で、甘味が強い[21]
  • アヤコマチ - 中が橙色に近い濃い色の芋で、カロテンを多く含む。焼き芋・蒸し芋・サラダに向く[21]
  • いずみいも - 外皮が白っぽい色で、中が濃い黄色の芋。甘味が強く、こくがあってねっとりした食感をもち、茨城県産の干し芋として人気がある[21]
  • シルクスイート - 農林水産省の登録品種で、登録名 HE306。外皮は赤褐色で中身は淡黄色。絹のような滑らかな食感と強い甘さを持つ[15]
  • 隼人芋(はやといも) - 鹿児島県の在来種で、別名「にんじん芋」「かぼちゃ芋」。外皮が薄い茶橙色で、加熱すると中身がニンジンのようなオレンジ色になる。カロテン含有量が多く、甘味が強くやわらかい。蒸し芋や焼き芋にするほか、焼酎の原料にも使われる[21][22]
  • 紅はやと(べにはやと) - 皮は赤紫色で、中はカロテン含有量が多くオレンジ色をしている。柔らかく繊維が少ないことから、大学芋や菓子、シャーベットなどに利用される[22]
  • 種子島紫(たねがしまむらさき) - 種子島の在来種で、沖縄県・鹿児島県に多い紫芋の一種。外皮は白く、中身は鮮やかな紫色が特徴。ホクホクした食感で甘味が強く、デンプン質も多く含まれている。焼き芋、蒸し芋のほか、菓子加工用にも向き、紫芋独特の上品な甘さの焼酎にも加工される[21][23]
    • 種子島ゴールド(たねがしまゴールド) - 1999年に「種子島紫」から品種選抜して育成された品種で、皮が白色で中が斑入りの鮮やかな紫色。紫芋の中では甘味があり、焼き芋、ふかし芋、天ぷらに向き、また和洋菓子の材料としても利用される[23]
    • 種子島ロマン(たねがしまロマン) - 1999年に「種子島紫」から品種選抜して育成された品種で、皮は赤紫色で中は淡紫色。外観もよく、ふかし芋、天ぷらに向く[23]
  • 安納いも(あんのういも) - 鹿児島県種子島産・安納地区の在来種[16]。甘味が強く、焼くと水分の多いねっとりとした食感で、「蜜イモ」とも呼ばれている。干し芋や焼き芋のほか、デザートの原料にも使われる[21]
    • 安納紅(あんのうべに) - 2000年に「安納いも」から品種選抜されたもので、在来種よりも優れている。皮は赤褐色で中が淡黄色。粘度が高く、甘味が強い。蒸し芋や焼き芋にすると美味しい[22]
  • 黄金千貫(こがねせんがん) - 外皮も中身も黄白色で、もともとデンプン原料として栽培され、主に芋焼酎の原料として使われる品種。ホクホクした食感とあっさりした甘味があり、天ぷら、焼き芋、ふかし芋揚にも向く[21][22]
  • 栗こがね(くりこがね) - 皮は淡黄褐色で中が黄白色。九州で人気があり、ホクホクした食感で甘味が強い。天ぷらや焼き芋をはじめ、様々な食べ方に使われる[22]
  • こがねむらさき - 種子島で古くから栽培された紫芋から味の良いものを選抜した品種。生産数が少なく「幻のサツマイモ」として珍重される。皮は灰白色で中が薄紫色。熱を通すと濃い紫色になる。肉質は緻密で、和菓子のような上品な甘さがある。天ぷら、ふかし芋、焼き芋に適している[23]
  • 山川紫(やまかわむらさき) - 海外から導入されて鹿児島県山川地方で栽培される品種。皮は赤色で中は濃い紫色。糖分が少なく青果には不向きである代わりに、色の濃い紫を活かして、アイスクリームや芋飴などの着色料として利用する[23]
  • パープルスイートロード - 外皮は赤紫色や暗紫色で中身が濃紫色をした、青果用の紫芋として育成された品種。ホクホクした食感と、ほどよい甘味があり、焼き芋やふかし芋の他、料理や菓子と用途は幅広く使われる[21][23]
  • えいむらさき - 鹿児島県頴娃町で生産される在来種で、外皮は赤色で中はわずかに霜降り状になっている濃い紫色。さっぱりした甘さで、蒸し芋や天ぷらの他、菓子の原料に使われる[23]
  • 紅芋(べにいも) - 沖縄特産の紫芋。肉質はきめ細かく、ほどよい甘さがあり、ふかし芋や焼き芋の他に、菓子やソフトクリームなどにも加工される[23]
  • タマユタカ(玉豊) - 「かんしょ農林22号」という干し芋用・デンプン原料用・飼料用にされる品種で、芋はずんぐりした短紡錘形で、外皮は黄白色で中身が白い。掘ったばかりのものは甘味は少ないが、干し芋に加工することで甘味が出る[15]
  • ベルベット - 大正時代にアメリカから日本へ導入された鹿児島で栽培される品種。皮は紅色、中身がオレンジ色でその周囲が紫色をしているのが特徴。粘質で、天ぷらや干し芋にされる[22]
  • シモンイモ - 南アメリカ原産の白甘藷(英語:Ipomoea batatas)は、日本では「シモン芋」とも呼ばれる[要出典]

注釈

  1. ^ ニュージーランドではkumaraと呼ぶ。
  2. ^ 種まきとは種子(特に真性種子)に対して使われる言葉であり、種芋やツル苗あるいは球根などの栄養繁殖の場合は定植(ていしょく)という言葉が一般的。
  3. ^ 小笠原諸島には蒸熱処理施設が無いので根本的に持ち出しは出来ない。
  4. ^ 当時はイギリス(グレートブリテン王国)と呼ばれる国家は存在せず、イングランド王国スコットランド王国同君連合であったが、便宜上「イギリス」の呼称を用いる。
  5. ^ ここまで各地で栽培に成功しており、また、近年になって利兵衛の孫の口上書が発見されたが、それに拠れば流刑先は肥前国壱岐島(現・長崎県)で、1746年(宝暦3年)に赦免され帰国したことになり、以降に栽培した場合、江戸幕府試験場での栽培試験のほうが先であったことになる。
  6. ^ 1833年(天保4年)城北百拙老人・著『世のすがた』によれば「ほうろく焼き」、すなわち壺焼き。
  7. ^ 「みやこのひるね」。旅先の江戸やその道中の風俗を、著者の地元である京・大阪と比較している。
  8. ^ これを顕彰した「島酒の碑」が昭和42年に建立されたが、除幕式典には庄右衛門の曾孫で当時の鹿児島県阿久根市長であった丹宗忠が招かれた。
  9. ^ 1927年に農商務省と農事試験場によって「七福」と名前が認定されている。元々イタリアで栽培されていたが、イタリアからの移民の手により1830年ごろにアメリカに伝わったとされる品種であり、1. 風土を選ばない、2. 作りやすい、3. 貯蔵性が良い、4. 食味が良い、5. イタリアから、6. アメリカに伝わり、7. 日本に伝わった、以上合わせて七つの福が名前の由来。収穫直後は食用に向かないが、貯蔵しているうちに糖化し風味がよくなる。このため島の住宅には、床下や倉庫に芋の貯蔵保管庫が作られていた。
  10. ^ a b ただし、内40,600トン(総消費量中約5.1%)は自家消費であり、これらは飼料用途と考えられる。
  11. ^ ジャガイモナガイモ(長芋)、サトイモ(里芋)を主原料とした焼酎も存在する。これらは「芋」を使った焼酎であることには違いないが、通常、芋焼酎とは区別され、ジャガイモ焼酎、長芋焼酎、里芋焼酎などと呼ばれる。したがって、芋焼酎といえばサツマイモを主原料とした焼酎と考えてよい。
  12. ^ 静岡県榛原郡白羽村は、御前崎村と合併し、1955年に御前崎町が設置された。
  13. ^ 1954年、茨城県那珂郡前渡村の一部は那珂湊町に編入され、前渡村の残部は勝田町に編入された。

出典

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