RX-81
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 06:54 UTC 版)
『MSV』の文字設定が初出で、のちに『M-MSV』で新設定とともにデザインされ、ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』(プレイステーション3用)で追加設定とともにリファインされた(詳細は後述)。 一年戦争末期に計画されたRX-81はガンダムの簡易量産型とも言うべきジムとは異なる、ガンダムの完全量産型というべきものであるとされる。FSWS計画の延長上にあるプランとも言われるが、両プランは同じジャブローの開発チームによって並行して進められている。主に格闘戦性能の向上が要求され、機動性はニュータイプが搭乗した際のガンダムを標準とし、装備・携行するビーム兵器も強化、ガンダムでさえ不完全であった問題点も解決しつつ1機に戦艦以上の戦力を持たせる(これはFSWS計画とも共通する)というものであったとされる。しかし本機の企画案にはっきりした改修箇所などの指示はなく、外観やスペック、運用面に関する記録も残されておらず、どの程度まで研究が進められていたかは不明である。 一年戦争終結後、上記の初期基本プランは白紙に戻され、新たにMSの部品の互換性の向上や、状況に適応した武装変更をコンセプトとしている。新たに「ジーライン」の名称が付けられ、FSWS計画を継承し、基本フレームに目的別の装甲・兵装を換装することにより多様な状況に適応する設計となっている。2機が完成するが、軍縮の煽りを受けて開発は一時中断される。 ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』(PS3用)では、宇宙世紀0081年、格納庫で眠っていた2機が遊撃特務部隊「ファントムスイープ」に配備され、ジオン公国軍残党による「水天の涙」作戦阻止のために実戦参加している。「スタンダード」「ライト」「アサルト」の3種のアーマーはさらにそれぞれ専用の追加バックパックにオプション兵装を装備することで「フル装備」となり、オプション兵装もガトリング・スマッシャー、ミサイル・ランチャー、アサルト・キャノンの3種を作戦に応じて組み合わせることにより様々な武装運用が可能である。 設定の変遷 初出である『MSV』(1983-1984年)では文字設定のみ(上記の前半部分)で、デザインは起こされていない。MSVの設定を担当した小田雅弘によれば、聖咲奇によるアイデアが元になったという。アイデア自体は「ガンダムの性能をはるかに凌駕する高性能な後継機」というありがちなものではあったが、そのネーミングのセンスが機体に込められたポテンシャルを強く感じさせる素晴らしいもので(未公表)、小田は一応簡単なラフスケッチを起こしたとのこと(ガンダムより兵器的な「顔付き」をもたせようと考えていた)。しかし、当時は一年戦争後の世界情勢について第三者が容易に描くことができない状況にあり、またMSVがサイドストーリーの構築を目的としていなかったこともあり、機会があればとの期待を込めて、RX-81の型式番号のみを付けて設定の片隅に書き加えたという。 のちに『M-MSV』とされる雑誌『SD CLUB』の企画「モビルスーツコレクション 大河原邦男MS最新設定集」(1990年)で、RX-81ST「RX-81 スタンダード」とRX-81LA「RX-81 ライトアーマー」の2機種がデザインされた。初出の第17号では、『MSV』の設定に当たる「ガンダムの格闘戦性能の向上を目指した初期基本プラン」は「終戦後に白紙に戻された」としており、型式番号は継承しているものの別物であるとされた。しかしこの設定はその後に刊行されたムック・書籍などではほぼ継承されなかったため、プラン変更後の機体にも初期プランの「ガンダムの完全量産型」というコンセプトが現在に至るまで記述され続けている(もともとのMSV設定では「ガンダムの完全量産型というべきもの」とされており、コンセプトですらなかった)。なお、プラン変更後の「状況に適応した武装変更」というコンセプトは同時期に発表されたガンダムF90と共通しており、両機をデザインした大河原邦男は、似通わないように本機のパーツを細分化したという。 『M-MSV』版RX-81は頭部シールドが開閉可能となっている。ジム・スナイパーIIに似た機構であるが、上部だけでなく下部の装甲も可動する。また、文字設定では「ライトアーマー」の他に「フルアーマー」や「突撃型」など数種のアーマーが存在したとされ、これについて大河原は「お楽しみに」とコメントしているが、「モビルスーツコレクション」の連載はここでストップしている。なお実機が完成したかどうかについては言及されていない。 さらに『機動戦士ガンダム戦記』(PS3)(2009年)にカトキハジメによって『M-MSV』版をリファインしたRX-81が登場した。新たに「ジーライン」の名称が設定され、ステージ中~終盤で主人公らが搭乗する。『M-MSV』版との最大の相違点は素体となる「基本フレーム」が追加設定され、この状態でも運用が可能な点である。これに伴い「RX-81 スタンダード」は「スタンダードアーマー」に変更された。また『M-MSV』の文字設定にあった「突撃型」が「アサルトアーマー」として追加設定された。 M-MSV版からリファイン版への主な変更点は以下の通りである。頭部はシールド開閉機構が廃され、ゴーグルの奥はツイン・アイとされた。バックパックはM-MSV版が「フル装備」状態(スタンダードがガトリング・スマッシャー仕様、ライトアーマーがミサイル・ランチャー仕様だが、後者はスラスターを武装に見立てている)に当たり、スペックになかったビーム・サーベル(ガンダム同様の2本差し)とシールド(ガンダム7号機と同型)が追加された。また、ライトアーマーは肩部前後と臀部のスラスターが廃された。 夏元雅人の漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』では、『M-MSV』版の「フルアーマー」と同義の「フルカスタム」が登場し、文字設定のみだったバリエーションがすべてデザイン化された。 ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』では、これまでの設定と異なり一年戦争末期に登場している(後述)。
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