He112とは? わかりやすく解説

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He 112 (航空機)

(He112 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/10/16 09:21 UTC 版)

He 112

ルーマニアで練習機として使われるHe112

ルーマニアで練習機として使われるHe112

ハインケル He112は第二次世界大戦前にドイツのハインケル社で開発された単発のレシプロ戦闘機である。ハインケル社独特の楕円翼を持ち、逆ガルタイプの全金属製機で、当時としては近代的な機体だったが、メッサーシュミットBf109との比較審査に敗れ、ドイツ空軍での制式採用はならなかった。その後、密閉式コックピットを持つ増加試作型が輸出用として少数生産された。

同盟国となっていた日本は、陸軍と海軍が合わせて20機を発注し[1]、1938年(昭和13年)5月に12機が輸入された[2]。しかし、テストの結果採用に不適と判断され、残りの8機はキャンセルされた[3]。

開発

1933年にドイツ航空省はハインケル He51 の後継戦闘機の仕様書を提示したが、これに対してハインケル社が開発したのが He112 であった。He112 は全金属製の単発・単葉機で、主翼は逆ガルタイプのハインケル社独特とも言える楕円翼を持っていた。また、地上滑走時の取り扱いを容易にするため、外側引き込み式の主脚ながら車輪間隔を広く取っていた。コックピットはパイロットの視界を重視して開放型とした。エンジンについては、イギリス製のロールス・ロイス ケストレルを搭載した。

1935年に完成した試作1号機(V-1)は、同じ仕様に応募した Bf109、Ar80、Fw159 と比較審査された。その結果、同じエンジンを搭載する Bf109V-1 より30 km/h以上も速度が遅く、上昇性能も劣ることが判明した。この結果を踏まえてハインケル社では改良型の製作に取り掛かるが、航空省では He112 が Bf109 よりも重量が重く、主翼を始めとする機体形状が量産に適しないことと、操縦席が密閉式でなかったことを理由に、Bf109 の量産を決定してしまった。しかし、全般的には当時の水準としては優れた性能を有していたことから、ハインケル社では He112 の制式採用を目指して引き続き改修を続けていくことにした。

その後の展開

日本海軍のハインケル112型陸上戦闘機

その後、エンジンをJumo 210Daに換装、コックピットを密閉式にし、主翼平面形状を改修した増加試作型のV-4が最高速度485 km/hを記録するが、航空省の反応は鈍かった。さらにエンジンを強力なJumo 210Eaに換装、主翼を小型化したV-9が、He112B-0の原型機として製作された。1937年に初飛行したこの機体は Bf109Bを40 km/h上回る最高速度を出し、その他の性能でもほとんどの部門で Bf109 より優れていた。元々本機は速度性能重視で作られた Bf109 に比べて運動性や地上での運用にも配慮した設計となっており、これで He112 がドイツ空軍に採用されるものとハインケル社では期待した。

しかし、構造と形状が短期間の大量生産に向くという理由で主力戦闘機は Bf109 となり、審査に敗れた He112 は輸出用として活路を見出すこととなった。本機を最初に購入したのは日本で、海軍が中国戦線用に30機購入の契約をした。日本海軍における名称はハインケル112型陸上戦闘機(略符号A7He1)。まず12機の He112B-0 が輸出されテストされたが、固定脚の九六式艦上戦闘機に比べ速度は大幅に勝っていたものの、運動性と上昇力が共に劣ったため、結局前線へ送られることはなかった。その後、これらの機体は練習戦闘機や教材として用いられたほか、テーパー翼や発動機・引込脚・付帯技術などの研究に利用された。なお、うち1機は東京帝国大学第二工学部に払い下げられている。

残りの対日輸出分は引き渡しの遅れからキャンセルとなり、代わりにスペイン動乱に参戦していたドイツ義勇軍コンドル軍団によって使用された。またルーマニアにも20機以上輸出されたが、この内11機はエンジンを強力な Jumo 210G に換装したB-1型だった。ルーマニアに輸出された機体は、第二次世界大戦時に対ソ連戦に使用された。この他ハンガリーにも極少数機が輸出されている。

結局生産機数は各型合計100機前後で、メッサーシュミット社の政治力に敗れる形でドイツ空軍への制式採用が無いまま生産は1939年に終了した。ハインケル社では He112 での無念を晴らすため、He100 の開発に注力していった。

なお、He112U が1939年3月10日に746.66 km/hの世界記録を樹立したと発表されたが、実際は He100V-8 型であり、He112 シリーズとは関係がない機体だった。

諸元

He 112

(V9・or・B型)

登場作品

アニメ

『終末のイゼッタ』
敵国ゲルマニア帝国の帝国兵器工廠による最新型の試作機として、当機をモデルとした戦闘機が登場。ゲルマニア帝国のベテランパイロットであるバスラ―大尉に譲渡され、以降彼の乗機となる。

ゲーム

『War Thunder』
ドイツ通常ツリーにV-5、A-0、B-0各型、ドイツ課金機にハンガリー空軍およびルーマニア空軍塗装のB-1、日本課金機にA7He1がそれぞれ登場。
『鋼鉄の虹 パンツァーメルヒェンRPG』『ネットゲーム95 鋼鉄の虹 〜Die Eisenglorie〜』
ドイツ空軍で不採用になったが、政治的取引でグリューネラント空軍の制式戦闘機として本機が採用されている。PBM版では翼面冷却方式を通常型に改めた、PLによる独自改良型も作られた。

出典

  1. ↑ 碇義朗『迎撃戦闘機雷電』、光人社NF文庫、2000年、14ページ
  2. ↑ 碇義朗『迎撃戦闘機雷電』、光人社NF文庫、2000年、16ページ
  3. ↑ 碇義朗『迎撃戦闘機雷電』、光人社NF文庫、2000年、18ページ

参考文献

  • 原田敏英「知られざる謎の翼 ハインケルが生んだ未完の戦闘機 He112」
デルタ出版『ミリタリーエアクラフト』1997年1月号 No.30 147 - 163頁。

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