秋水式火薬ロケットとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 秋水式火薬ロケットの意味・解説 

秋水式火薬ロケット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 13:14 UTC 版)

秋水式火薬ロケット(しゅうすいしきかやくロケット)は、大日本帝国海軍が計画した無線誘導式の地対空ミサイル。実際にはミサイルと言うより無人航空機に近い兵器だった。

概要

1945年昭和20年)、B-29による日本本土空襲への対抗手段として、海軍は航空局に対して特殊局地戦闘機特殊攻撃機)の開発を命じた。航空局はこれを受けて無線操縦を用いる対空誘導弾を開発することとし、村上勇次郎技師を設計主務者として3月に開発を開始した。安定性の計算および実験用小型模型を用いた試験が幾度も行われた後に最終案が決定し、続いて川崎航空機工業によって実機が製作される予定だったが、制作図面の作成に着手したところで終戦をむかえ計画は中止された。

本機は通常の対空ミサイルとは異なり、炸薬は搭載せずに衝角となった機体前部を用いて、体当たりによって敵機を撃破するものだった。機体の設計はロケット局地戦闘機秋水(J8M)のものをベースとした木金混合構造の後退翼を持つ無尾翼機で、このため「秋水式」と呼ばれている。胴体は砲弾型で、衝角として用いるべく胴体先端と主翼前縁の構造は強固かつ先鋭なものとなっている。推進には固体燃料ロケットを使用。レール式発射台から発進し、ロケットを点火後無線誘導を受けながら上昇、100秒弱で高度9,000 mに到達したところで敵機に体当たり攻撃を行い、無線誘導によって滑空・着陸。帰還後はロケットを交換し再使用するという運用が予定されていた。

なお、本機は無人機ではあるが、操縦席が描かれた有人型と思しきラフスケッチも残されている。

諸元(計画値)

  • 全長:2.80 m
  • 全幅:4.00 m
  • 翼面積:5.0 m2
  • 自重:200 kg
  • 最大重量:800 kg
  • エンジン:固体燃料ロケット(推力120 kg) × 4
  • 戦闘高度:9,000 m
  • 武装:衝角 × 1

参考文献

  • 石黒竜介、タデウシュ・ヤヌシェヴスキ『日本陸海軍の特殊攻撃機と飛行爆弾』大日本絵画、2011年、230頁。ISBN 978-4-499-23048-3 
  • 粟野誠一ほか編『日本航空学術史(1910-1945)』日本航空学術史編集委員会、1990年、25頁。全国書誌番号: 90036751 

関連項目



秋水式火薬ロケット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 23:31 UTC 版)

秋水」の記事における「秋水式火薬ロケット」の解説

秋水設計をもとにした無線操縦型地対空ミサイル炸薬積まず体当たり攻撃行ったのちは着陸再使用される。川崎航空機製造する予定だった。計画のみ

※この「秋水式火薬ロケット」の解説は、「秋水」の解説の一部です。
「秋水式火薬ロケット」を含む「秋水」の記事については、「秋水」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「秋水式火薬ロケット」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「秋水式火薬ロケット」の関連用語

秋水式火薬ロケットのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



秋水式火薬ロケットのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの秋水式火薬ロケット (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの秋水 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS