2019-2020年
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 07:21 UTC 版)
「トヨタ・TS050 HYBRID」の記事における「2019-2020年」の解説
2019年5月1日、トヨタは2019年の最終戦ル・マンを最後にアロンソが離脱、そして後任にポルシェのファクトリードライバーで元F1ドライバーのブレンドン・ハートレイが就くことを併せて発表した。なお、アロンソ以外のメンバーは全員残留することが決定している。メンバー編成については、7号車はそのままに、8号車はアロンソが抜けた枠にハートレイが入ることとなった。 2019年7月、カタロニア・サーキットで行われたWECのプロローグテストで、2019 - 2020シーズン用マシンが公開された。見た目の変更点としてはフロント部分に大きく手が加えられ、フロントノーズの形状変更や、サイドミラーが前輪のフェンダーに埋め込みになったほか、サイドからリヤにつながるダクトが消滅している。 第1戦シルバーストーン4時間レースは、ライバルより99kg重い車両ながら、ポールポジションからスタートした7号車がそのまま逃げ切って優勝、8号車が2位で1−2フィニッシュを決めた。 第2戦となる富士6時間レースでは、1周当たり1秒のハンディキャップを課された8号車がポールポジションでスタートし、1秒当たり1.4秒のハンディキャップを課された7号車が3番手でスタートした。最終コーナーでノンハイブリッドの1号車レベリオンをパスするが、ハンディキャップの影響でストレートで速度が伸びず、1コーナーへの進入で抜き返される、という展開が数周にわたって続いた。しかしその後、7号車の小林が1号車レベリオンを抜き2位となり、トヨタの1−2体制となった。また、途中で8号車がピットレーンでのスピード違反でドライブスルーのペナルティを受けたがトップをキープ。そのままゴールし、2012年にWEC参戦以来富士で7勝目を挙げた。 第3戦上海4時間レースでは、トヨタの2台に最大のハンディキャップが課され、ノンハイブリッド勢に挑戦することとなった。4番手からスタートした7号車は、スタート直後にレベリオン1号車をかわし、ジネッタ5号車に次ぐ3位へ順位を上げた一方、5番手からスタートした8号車は、その後4位へと浮上し、その後7号車をかわし3位についた。ただし7号車とジネッタ勢にはジャンプスタートの違反でドライブスルーのペナルティが出てしまい後退。スタートから45分が経過したところで2台がピットストップし、この際に前を行くジネッタとの差を10秒詰めた。その後ジネッタ5号車を上回るペースで周回し、8号車が40周目でレベリオン1号車にかわされるまで首位を守った。スタートから90分が経過した頃、トヨタの2台がピットインし両車ドライバーチェンジを行なった。しかし、首位で逃げるレベリオン1号車との差は30秒以上に広がっていた。そのままレベリオン1号車は着実に4時間を走り抜き優勝。8号車が2位、7号車が3位という結果で終わった。 第4戦バーレーン8時間レースは、スタート直後に最前列のレベリオン1号車とジネッタ5号車が接触、3番手でスタートしたトヨタの8号車が軽いダメージを負い、その間にアクシデントを回避した7号車が首位に立った。セーフティーカー走行からのレース再開後、8号車が3位までポジションを上げたが、ダメージを負った車両前部の交換を余儀なくされ、4位へとポジションを落とした。その後8号車はトップ3を猛追し、43周目には3位へと浮上した。2時間半が経過する頃には、7号車を追い上げていた2位のレベリオン1号車がトラブルにより5分ほどピットイン、これで8号車が2位へ上がり、トヨタが1−2体制を築いた。このまま2台はゴールし、7号車が優勝、8号車が2位を獲得した。 第5戦となるローン・スター・ル・マンでは、7号車が2番手、8号車が3番手からスタートした。2台のハンディキャップの差が大きかったこともあり、1周目で順位が入れ替わり8号車が2位へと浮上した。そのまま8号車は首位の1号車レベリオンを猛追し、その後ピットでの素早い作業が功を奏し、首位との差が20秒まで縮まった。ここで、サーキット・オブ・ジ・アメリカズで3勝の経験があるハートレイにドライバーチェンジし、首位を走るレベリオンに対しプレッシャーをかけ続けた。レースが折り返し地点を迎えて間もなく両者ドライバーチェンジを行い、そのまま8号車が2位、7号車が3位でレースを終えた。 コロナウイルスによるパンデミックで、セブリング1000マイルが中止となり、4月に予定されていたスパ・フランコルシャン6時間レースと6月のル・マン24時間レースが9月に延期された。 そんな中無観客で行われた第6戦スパ・フランコルシャン6時間レースは、ル・マン24時間レースに向けたロードラッグ仕様が投入された。好天に恵まれた前日とは一転、決勝日は激しい雨に見舞われる典型的なスパ・ウェザーとなった。レースは5周目にグリーンフラッグとなりスタート。2・3番手からスタートしたトヨタは、4輪駆動の優位性を活かしすぐにノンハイブリッド勢をパスし、8号車が首位で7号車が2位に続いて早くも1−2体制を築いた。8号車がピットインしている間に7号車が首位に立ち、このままゴール。7号車が優勝、8号車が2位に入り1−2フィニッシュを飾った。 再び無観客で行われた第7戦ル・マン24時間レースは、7号車がポールポジションを獲得。8号車は3番手からスタートした。7号車のスタートを担当したコンウェイは、3番手からスタートした8号車が2番手からスタートした1号車レベリオンとの2位争いをしている間に後続とのマージンを広げていった。8号車は1号車レベリオンをかわし2位へ浮上したが、1時間が経過したところで左リアタイヤのパンクに見舞われピットインしたため4位へ後退したものの、その後レベリオン勢をコース上で交わし2位へ復帰した。2台のバトルは、両車ドライバーチェンジをしてからも続いた。8号車がドライバーチェンジする際、ブレーキダクトの清掃のために通常のピットインに加え20秒ロス、その後も次のドライバーチェンジの際に再びブレーキダクトの清掃を行い、30秒ロスした。このため7号車が8号車に対し90秒ほどリードしたが、5時間45分が経過したとことでセーフティーカーが導入された。このタイミングで7号車がピットインを行っており、2分以上ピット出口での待機を余儀なくされたため、ここで8号車が首位に立った。7時間が経過したところで8号車がブレーキ温度上昇のトラブルに見舞われ、LMP2のアクシデントによるセーフティーカー導入のタイミングでガレージに入り、車両右前部の冷却ダクトシステムの交換を行った。そのためここで再び7号車が首位に立ち、8号車は3位でコースに復帰した。セーフティーカーにより全車スロー走行していたため、8号車のロスは1周で済み、再スタートが切られると前を行く1号車レベリオンをオーバーテイクし、再びトヨタが1−2体制を築いた。しかし12時間が経過した頃、小林がドライブしていた7号車が排気マニホールドの破損による出力低下に見舞われ修復作業に30分を要し、3位の3号車レベリオンから4周遅れの4位でコースに復帰した。 そして、2位以下に十分な差を広げた8号車がペースをコントロールしながら周回を重ねていき、最終的には差が5周まで広がった。一方の7号車はレース復帰後追い上げを図ったが、何かがヒットし車輌フロアにダメージが及んだことで空力的な性能低下が生じていた。しかし表彰台を目指し追い続け、ライバルの3号車レベリオンが残り1時間でクラッチトラブルによりガレージで修復作業に時間を要したことで3位に浮上、2位の1号車レベリオンから1周遅れでの3位表彰台を獲得した。この結果、8号車がル・マン3連覇を達成。これによりTS050で3回目のル・マン優勝となり、同時にTS050にとって最後のル・マンとなった。また、この優勝により、トヨタが本年度のチームタイトルを獲得した。 最終戦バーレーン6時間レースは、コロナウイルスにより今シーズン2度目の開催となった。この時点で、7号車と8号車のドライバーズポイントが同点となっており、このレースの勝敗でチャンピオンが決まる戦いとなった。そして2019−2020シーズンの最後のレースであり、TS050の最後のレースとなった。7号車がポールポジションを獲得、8号車が2番手についた。7号車がドライバーを交代しながら着実に後続を引き離し、対する8号車も必死に追ったが、ハンディキャップの影響で厳しい戦いとなった。レース残り2時間の時点で2台のタイム差が30秒、残り1時間の時点で1分ほど空いており、そのまま7号車がトップでフィニッシュ。これによって7号車の3人が初となるチャンピオンを獲得し、2位の8号車の3人は5ポイント差でランキング2位となった。 トヨタのLMP1クラスの活動は終了し、2021シーズンからのル・マン・ハイパーカー (LMH) 後継モデルGR010 HYBRIDに受け継がれることになった。
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