2007年以降の事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 22:46 UTC 版)
「リチウムイオン二次電池の異常発熱問題」の記事における「2007年以降の事件」の解説
2007年3月2日、レノボが三洋製のバッテリーパック約20万個を回収するという報道があった。アメリカ合衆国で4件、ヨーロッパで1件の事故が確認されている模様。今回の回収が先のSEDのPCバッテリー回収問題と同様に他社へ波及する恐れがあることが指摘されたが、今回のケースはバッテリーパック自体に問題はなく、外部の衝撃によるものが原因であり、対象のバッテリーパックはレノボ向けのみであるため他社に波及することはないと発表している。また、電池パックもレノボの基準に沿って製造したものである。一部では今回の件で三洋の経営にとって大ダメージになると報じられたが、前項により今回の回収における三洋の立場はレノボへの支援という形となっている。大きな混乱にまでは至っていない。松下電池工業では安全性を向上した新しいリチウムイオン二次電池を開発、量産開始しており、SED製や三洋電機製リチウムイオン二次電池への影響が注目されている。 8月14日、松下電器産業子会社の松下電池工業がノキアに供給したバッテリーパック「BL-5C」4600万個の交換にノキアが応じると報じられた。すでに100件前後の問題が市場で確認されており、充電することにより異常発熱・変形し携帯電話本体に装着できなくなったり、電話機が熱で破損したりする。日本ではNTTドコモ、旧ボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)より発売され現在も市場に残ると推定される16万パックが対象になっている。製造時期は2005年11月より2006年11月。原因は正極/負極を絶縁するセパレータ(絶縁膜)の破損による内部ショート。効率化のためのラインの改造により2006年11月以降問題の発生はなくなったが、松下はノキアから指摘を受けるまで気付くことはなかった。これまでに100件前後の不具合が確認されていたのにもかかわらず対応が後手になったこと、不具合に気付かず4600万個も生産し続けたこと、相次ぐ日本の主力メーカー製リチウムイオン二次電池トラブル、などによる日本の製造業への信頼喪失などが懸念されている。全ての電池を交換対象とすると約200億円から500億円の回収費用が発生すると報道されている。 2008年8月19日、経済産業省は、アップルジャパンが発売した第1世代iPod nanoにリチウムイオン二次電池が原因と推定される過熱・焼損事故が複数発生している、として注意喚起を行なった。この件について、アップルジャパンは、リコールは行ない全数を無償で後継機種へ交換するという姿勢をとっている。発表中では、発生率は第1世代iPod nanoの0.001パーセント(10ppm)未満であるとしている。なお、この事故においてはバッテリーのメーカーは公表されていない。 2010年9月3日、ドバイにてUPS6便が飛行中に機内火災により墜落した。調査の結果、リチウムイオンバッテリーが発火源と判明した。さらにリチウムイオンバッテリーは本来危険物で積載する際には申請をしなければならないが、この時は積載の申請はされていなかった。→UPS航空6便墜落事故を参照。 2011年BYD社が製造した電池を搭載した電気自動車BYD・e6、A123・システムズ社製の電池を搭載したフィスカー・カルマがそれぞれ個別で炎上する事件が発生。また、LG電子製の電池を搭載したシボレー・ボルト (ハイブリッドカー)も衝突実験中に炎上する事件を起こした。 9月には、当時のカシオ日立モバイルコミュニケーションズがau向けに販売していたW52CA、W53CA、HIY01で使用する電池パック(W52CAとW53CAについては共通のものを使用)において、何らかの外傷などの要因によって電池内部でショートを起こすことに起因して、電池パックが膨張・破裂する恐れが高いという不具合があったとして、回収を行うことになった。 2013年いずれもジーエス・ユアサ コーポレーション系の電池に起因する事故である。ボーイング社の最新鋭機であるボーイング787に搭載するリチウムイオン二次電池から発煙・発火する事故が相次ぎ、一時期すべての同型機の運航が停止された。→ボーイング787のバッテリー問題を参照。 リチウムエナジージャパンのバッテリーを搭載した三菱・アウトランダーのPHEVにおいて納車準備中バッテリーの発熱・故障があったことが発表され、後にリコールとなった。公式発表ではスクリーニング検査中に衝撃が加わり、結果ショートしたことが原因とされている。また岡山県にある三菱の工場においてi MiEV用のバッテリーがテスト中に発火する事故も発生している。 2016年サムスン電子が生産・販売を行うスマートフォン Galaxy Note 7で相次いでバッテリーの発火が発生し、全数リコール対応を実施している。アメリカ連邦航空局がGalaxy Note 7の旅客機への持ち込みを禁止したため、海外旅行客などが所有するGalaxy Note 7を飛行機で自国へ持ち帰れない事態となった。日本での発売も予定されていたが取り止めになった。バッテリーの生産は、同サムスングループのサムスンSDIがバッテリーを供給したことを発表している。 2017年製品評価技術基盤機構(NITE)が2017年7月30日までに、ノートパソコンやスマートフォンなどに内蔵されたリチウムイオン二次電池の発火・発煙事故が、2012年4月 - 2017年3月までの5年間に少なくとも274件あったと発表した。 9月には山手線で、乗客がリュック内に入れていたモバイルバッテリーが発火、10月には静岡県立総合病院でモバイルバッテリーが発火した事故があった。
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