20世紀の使い方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 08:25 UTC 版)
「ロックンロールの起源」の記事における「20世紀の使い方」の解説
20世紀初頭までに、この言葉は通俗的な黒人スラングにおいてダブル・ミーニングを込めた使い方がますます増え、表向きはダンスやパーティーを指しながらも、多くの場合は性行為の隠語的な意味あいがあった。 1922年、ブルース歌手トリクシー・スミスが世俗的な文脈で初めて2つの単語が登場する「My Man Rocks Me (With One Steady Roll)」を録音した。それはバックビート (音楽用語)つきで演奏されたものだが、この遅い短音階調ブルースは後年の感覚でいう「ロックンロール」を意味するものではなかった。 しかし「ロッキング」や「ロッキング・アンド・ローリング」という用語は1920年代から1940年代後半までにますます(黒人の世俗的なブルース演奏家に限らず)使われるようになり、ダンスや性行為いずれかやその両方を指すものとなった。1950年代に入ると、この用語がブルースおよびR&Bの分野で強い性的な含蓄を保持した 。 1927年、ブルース歌手のブラインド・ブレイクは「West Coast Blues」にて"Now we gonna do the old country rock (今俺達がやりたいのは古いカントリー・ロックだ)/ First thing we do, swing your partners"という二行連を使い、これが翌年のワイルド・ビル・ムーアによる「Old Country Rock」の基盤を形成した。また1927年には、伝統的なカントリー歌手のアンクル・デイブ・メイコンが彼の楽団と共に"Don't she rock, daddy-o"の繰り返しがある「Sail Away Ladies」や「Rock About My Saro Jane」を録音した。デューク・エリントンは1928年に「Rockin' in Rhythm」を録音し、ロビンソンズ・ナイツ・オブ・レストは1930年に「Rocking and Rolling」を録音した。 1932年、ハル・ローチの映画『Asleep in the Feet』ではロックンロールという台詞が聞かれた[要出典]。1934年、ボズウェル・シスターズは映画『薔薇色遊覧船(Transatlantic Merry-Go-Round)』の挿入曲「Rock and Roll」でポップヒットを飛ばし、そこではこの用語が海洋での船の動きを表すのに使われた。1935年、ヘンリー・レッド・アレンが「Get Rhythm in Your Feet and Music in Your Soul」を録音し、そこには"If Satan starts to hound you, commence to rock and roll(もし悪魔がお前に付きまとってきたら、ロックンロールを始めるんだ) / Get rhythm in your feet..."という歌詞があった。アレンの録音は黒人音楽のレコードだったが、この曲はすぐに白人ミュージシャンによってカバーされ、ベニー・グッドマン(で歌手がヘレン・ウォード)のものが著名である[要出典]。 この言葉を使った他の著名な楽曲はいずれも1938年に発売されたものだが、チック・ウェッブ楽団によるエラ・フィッツジェラルドの歌うスイング曲「Rock It for Me」には"... Won't you satisfy my soul, With the rock and roll?(私の魂を満足させてくれないか、そのロックンロールで)"という歌詞が登場する。もう一つがシスター・ロゼッタ・サープの「Rock Me」で、これは元々トーマス・ドーシーによって「Hide Me in Thy Bosom」として書かれたゴスペル曲である。サープはこの曲をシティ・ブルース様式で、世俗的な歌詞、恍惚とした声音、エレキギターを使って演奏した。彼女はドーシーの歌詞"singing"を "swinging"に変更しており、また"rock me"の"R"を巻き舌で発音する方法は、そのフレーズが宗教的または性的な解釈を有するダブル・ミーニングだと受け取られることにつながった。 翌年、バディ・ジョーンズ (ウェスタン・スウィング・ミュージシャン)は「Rockin' Rollin' Mama」を録音した。ここでは用語本来の(波が縦横に揺れる)意味で"Waves on the ocean, waves in the sea/ But that gal of mine rolls just right for me/ Rockin' rollin' mama, I love the way you rock and roll"と描写されている。1939年8月、アイリーン・キャッスルが考案した新しい踊り「キャッスル・ロックンロール」は「簡単なスイングステップ」と評され、彼女はこれを米国のダンシング・マスターズ大会で披露した。1941年のマルクス兄弟の映画『マルクス兄弟デパート騒動 (The Big Store) 』では、女優のバージニア・オブライエンが伝統的な子守唄の出だしで歌い、それが次第に"Rock, rock, rock it, baby ..."といった歌詞があるロック調のブギウギへと変わっていく。この歌は短いコミックソングに過ぎなかったが、その当時までに幅広く一般聴衆に理解されていたであろう言及を含むものだった。 ただし、アランフリードが大衆ラジオ番組でロックンロールについて言及し始めた1951年頃には「性的な要素がだいぶ下火になったため、単にダンスで受け入れ可能な用語になった」とされている。
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