1997年の消費税増税の影響とは? わかりやすく解説

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1997年の消費税増税の影響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:36 UTC 版)

日本の消費税議論」の記事における「1997年の消費税増税の影響」の解説

法人税#法人税率」、「法人税#税収の推移」、「所得税#税率推移」、および「所得税#税収の推移」も参照 1997年消費税増税その後税収全体1997年には50兆円強あったところから、2011年には40兆円強というところまで約10兆円減った1997年消費税増税後、日本経済デフレ不況深刻化し法人税所得税減ったため、税収1997年水準一度回復していない。1998年平成10年)、1999年平成11年)の所得税・法人税税収減については、法人税(両年)・所得税1999年平成11年)のみ)の双方減税実施されているため、それによる減収分も含まれている。当時首相であった橋本龍太郎は後に「私は平成9年から10年にかけて緊縮財政をやり、国民に迷惑をかけた。私の友人自殺した本当に国民申し訳なかった。これを深くおわびしたい」「財政再建タイミング早まって経済低迷もたらした」との自責の念示している。 八田達夫は、1997年消費税率引き上げ家計資金制約影響与え、半耐久消費財耐久消費財住宅投資下落させたとしている。住宅着工件数は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要増加した1996年には、バブル期並み164万戸まで拡大した一方で1997年以降駆け込み着工による反動景気後退により、1997年139万戸1998年120万戸1999年121万戸急減している。 安達誠司は「1997年の日本消費増税実施後大不況経験しその後15年超にも及ぶデフレきっかけとなったが、これも消費増税理由か否かは必ずしも明確ではない。多数専門家同年夏に発生したアジア通貨危機影響の方がはるかに大きいと結論づけており、アジア通貨危機なければ1997年消費増税景気影響与えなかっただろうと考えている」と指摘している。 経済学者中里透消費急激に落ち込んだのは、金融システム不安定化北海道拓殖銀行山一證券破綻)が生じた1997年平成9年11月以降であって消費生産動向をみるかぎりは、消費税率引き上げその後景気落ち込みの主要因になったとは考えにくく、金融システム不安定化にともなう景況感悪化が、1997年末から1998年にかけての不況深刻化もたらしたとしている。そして留意点として、消費税率引き上げや特別減税廃止等の負担増が将来にわたる家計可処分所得減少させる要因として認識され消費抑制影響した可能性があるとしている。よって消費税率引き上げ将来にわたる家計可処分所得減少要因として認識され可能性はあるものの、消費への影響限定的であると指摘している。 森信茂樹は、竹中平蔵らが提唱する消費増税歳入増やすことはないとする説は間違っていると主張している。によれば1997年消費増税後の歳入増加しなかった理由は、小渕政権における減税所得税・法人税)と小泉政権における財源地方移譲が、消費増税による歳入増加分を打ち消したからであるという。 竹中平蔵は「1995-1996年の日本経済は、一種のミニ・バブル状態であった1997年消費税率引き上げによって経済悪化したという一部指摘誤りであり、ミニ・バブルの崩壊原因である」と指摘している。 元日審議委員中原伸之1997年以降不況原因について「『増税ではなくアジア通貨危機などの金融危機である』という人がいるがまったく逆である。そのようなリスク予想しない増税したことで、金融危機が来たときに日本経済もろくもやられてしまった。それが引き金山一証券などの大型倒産発展した国家経営会社経営も、重要なのは不確実性備えることである」と指摘している。 片岡剛士は「消費税率引き上げ経済に与える影響について、1997年経験考えると、経済に与える影響一時的かつ小さいものとは考えられず、かつ早期消費税率引き上げ緩やかな回復基調ある日本経済を、再び失速させる可能性が高い。1997年消費税率引き上げた際には消費税収は増加したものの、景気悪化により所得税収および法人税収が減ることで全体税収減少している」と指摘している。 高橋洋一は「消費税だけの増税面だけではなく他の税・財政支出総合的に見るべきであり、1997年消費税引き上げ捉えてそれだけ景気悪化要因というのは適切ではない。ただし、消費税増税が他の所得減税などで相殺されネットでは増税でなかったとしても、その後アジア危機などの経済変動景気悪化したのも事実である」「1997年消費税増税では景気影響がなかったという学者が多いが、それは『増税して政府使ったから景気落ち込みはなかった』というのをキモとしている。そんなまともじゃない方法をとったせいで、その後経済成長上手くできなくなった点を見落としている」「アジア危機震源地である韓国は、たしかに危機時は景気落ち込んだが、少し経つと回復している。一方日本回復していない」と指摘している。 エコノミストのリック・カッツは当時景気後退71%は消費3.5%縮小招いたものだと見積もっている。 経済学者田中秀臣は「1997年消費増税起こったのは、名目GDP減少するという不況であり、それに伴い結局税収全体が減るという事だった」「財務省は『消費税上げると、翌年税収ガクンと減るという論者がいるが、その後穏やかに回復していく』と言う財務省は、全体税収変化見ずに、消費税収の変化だけをとらえて消費税増税すれば、税収上がると言っている」と指摘している。 経済学者若田部昌澄は「橋本龍太郎内閣だった1997年に、消費財引き上げなどによって、約9兆円の国民負担増加があった。これはそのときGDP比で約2%であり、その後景気後退影響与えたとみられている」「あのとき1997年度実施した消費増税)に不況陥ったのはアジア通貨危機主因だという話になっているが、負担増加悪影響もたらしたことを否定できる人は少ない」と指摘している。 竹中平蔵は、1997年消費税引き上げ経済一気悪化し橋本政権責任問われたと指摘している。 経済学者浅田統一郎は「1996年から1997年にかけてインフレ率1年間だけ約2%上昇したが、それは、橋本政権下で消費税が3%から5%へ引き上げられたことを反映しており、このことが、その後デフレ不況悪化助長させてしまった」と指摘している。 森永卓郎は「1997年の5%への引き上げの際、それ以後15年に及ぶデフレ続き名目GDP1997年時点より55兆円、率にして11%落ちたその間に、日本株式市場株価不動産価格半値になってしまった」と指摘している。

※この「1997年の消費税増税の影響」の解説は、「日本の消費税議論」の解説の一部です。
「1997年の消費税増税の影響」を含む「日本の消費税議論」の記事については、「日本の消費税議論」の概要を参照ください。

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