1990年代後半 クロック数競争
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「CPU年表」の記事における「1990年代後半 クロック数競争」の解説
業務用 CPU の分野では、この頃、急速に能力を向上させてきたパソコンに押されてワークステーション市場を徐々に失っていった。代わってインターネット時代の到来とともに、業務用CPUは徐々にサーバ分野へと拡大していった。サーバ向けプロセッサではCPUの64ビット化は一段落し、高クロック化とマルチプロセッシングへと向かった。 パソコンCPUの分野では1990年代半ばに Windows3.1やWindows95 などの GUI OS が普及したことで、個人ユーザーの間でもCPUの性能を極端に追い求めるスピード飢餓(その究極は自作パソコンユーザによるCPUのオーバークロックである)の状態も出現した。一方、1990年代後半には、インテル Pentium、Pentium III の時代に急激な性能向上が見られ、1990年代末頃になるとスピード飢餓の時代も徐々に解消していった。この過程で x86系CPUの互換品を作っていたメーカーの再編が進み、NexGenを買収した AMD が勢いを伸ばした。1990年代末頃になると、CPUやグラフィックチップの分野から撤退したり事業を売却したりする動きも活発になった。 半導体回路の微細化(ムーアの法則)により回路設計の自由度が増し、商用プロセッサにも投機的実行、アウト・オブ・オーダー実行などの高速化手法が続々と導入され、マイクロアーキテクチャが飛躍的に複雑化した。PA-RISCのMAX命令、MMX PentiumのSSE命令など、CPUに内蔵された命令の複雑化・多様化も進んだ。 1995年 IBM/モトローラ PowerPC 60432ビットRISC CPU。当時のパソコン向けCPUとしては卓越した演算性能を誇り、Power Macintoshの上位機種で採用されたほか、IBMのサーバ・スーパーコンピュータにも採用された。 1995年 IBM/モトローラ PowerPC 60332ビットRISC CPU。低消費電力・低価格に特色があり、Power Macintosh、PowerBookで採用されたほか、組み込み向けに広く使われた。 1995年 サン・マイクロシステムズ UltraSPARC64ビットRISC CPU。 1995年 インテル Pentium Pro32ビットCISC CPU。 CISC命令をRISC的命令セット(μOPs)に変換して実行する、当時のトレンドをインテルが初めて採用したCPU。当時の先進的技術を全て盛り込んだP6マイクロアーキテクチャの設計プロファイルは、10年以上に渡って同社におけるプロセッサ設計の土台となる。 1996年 MIPS R10000 1996年4月 ヒューレット・パッカード (HP) PA-RISC800064ビットRISC CPU。 1997年 AMD K632ビットインテル互換CPU。買収したNexGenの設計を流用している。 1997年 IBM、モトローラ PowerPC750/74032ビットRISC CPU。「PowerPC G3」とも呼ばれる第3世代 PowerPC。603譲りの低価格・低消費電力と、604を凌駕する演算性能をあわせもつ。Power Macintosh G3、PowerBook G3、iMac、iBookに採用されたほか、組み込み向けにも広く使われ、ニンテンドーゲームキューブ、WiiのCPUのベースになっている。 1997年 サン・マイクロシステムズ UltraSPARC II 1997年1月 インテル、MMX Pentium発表。32ビットCPU。マルチメディア用演算機能 (MMX) を搭載。 1997年5月 インテル、Pentium II発表32ビットCPU。第6世代のコア。独自のカートリッジを採用するなど従来と異なる方向を打ち出したが、やや迷走気味になった。 1998年1月 コンパックが DEC を買収アメリカ合衆国で情報産業の再編が進みつつあった中での大きな事件の1つであり、DECの保有していたStrongARMはインテルに売却された。 1998年 IBM、 PowerPC750L 世界初の銅配線で製作されたCPU。消費電力の削減が可能になった。 1998年 AMD K6-232ビットインテル互換CPU。低価格パソコン市場で健闘しシェアを伸ばした。インテルが Celeron を登場させるきっかけになった。 1998年 インテル Celeron発表。AMD K6-2 に対抗した。Pentium に対するローエンド用CPUの位置づけだったが、実質的にはメインストリームのCPUとなった。 1999年2月 ISSCCにて、ソニー・コンピュータエンタテインメントが"Emotion Engine"を発表。プレイステーション2(2000年発売)向けに開発された。 1999年 インテル Pentium III 発表32ビットCPU。Pentium IIに高クロック化を意識してパイプラインを長大化する改良を施し、マルチメディア用演算機能を拡張したSSEを追加したもの。 1999年 AMD Athlon32ビットCPU。インテル Pentium III と激しい性能競争を繰り広げた。 1999年 モトローラ XPC7400を出荷。32ビットRISC CPU。128ビットSIMDのAltiVecを搭載し、「PowerPC G4」と呼ばれる。Power Mac、PowerBookのCPUとして採用されたほか、ルーターなど組み込みシステム向けにも広く利用される。
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