車体改修工事・固定編成化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 06:26 UTC 版)
「京阪3000系電車 (初代)」の記事における「車体改修工事・固定編成化」の解説
1995年(平成7年)に車体改修工事を行った際に編成内の3600型中間付随車1両 を自社の寝屋川工場で2階建車両(ダブルデッカー)に改造した。既存車両の改造によって2階建車両を製作するのは極めて珍しいケースである。自社工場においては過去20年に、京阪線では700系(2代)を1000系(3代)に、2000系を2600系に改造したり、大津線では京津線・石山坂本線の300型(2代)を600型(3代)に、500型(2代)を700型(3代)に改造 した程度の実績しかなく、前例のない難しい工事であった。車両メーカーの助言を仰いだとはいえ、その施工経験と使用実績は量産車というべき8000系増結用ダブルデッカー車の設計にあたって貴重なデータを提供した。 しかしながら、8000系に増結が実施されるまでの約2年間、ダブルデッカー車両は本系列1編成しか存在しなかったため、鉄道ファンのみならず、一般の通勤・通学客もダブルデッカーのない8000系特急を見送って、ダブルデッカー入りの本系列に待ってでも乗ろうという現象や、ダブルデッカー車両の運用の問い合わせ がしばしば見受けられるようになった。 その後の全特急車の8両固定編成化に際しては、予備車となっていた3000型・3500型各1両を車体更新と同時に1両の中間車として切り接ぎ改造の上で組み込んだ。この中間車化改造にあたっては、1両の運転台部分をカットした後で、もう1両の連結面側構体をカットしたものを溶接した ため、扉間の窓数は9枚、元運転席のあった側の窓は4枚となっている。また、この車両は台車として種車の川崎重工業KS-132Aをそのまま装着し続けているのも大きな特徴である。なお、8両編成化の実施に際しては、当時予備車として残存していた3500型を8000系に組み込んで本線上での走行試験を行っている。 本系列の更新工事に際しては、制御装置その他の機器を8000系と同一仕様に更新し取り扱いの統一を図ったことから、運転台のマスコンが同系列と同じT字型ワンハンドル式に変更された。また、元は鉄製で固定してあった前面貫通扉の鳩マークの部分に種別・行先表示幕を装備し、鳩マークは貫通扉内側から表示幕の前に差し込んで幕を隠す方式に変更された。これにより、従来は特急以外に充当される際や回送時に鳩マークを目隠し板によって隠していたのが、更新後は鳩マークを幕のように上げ下げして掲出あるいは不掲出とすることができるようになった。表示幕は、更新当初は2200系などと同様に前面は種別と行先が別、側面は一体となったタイプ(MCS式)を採用していた。しかし、2003年(平成15年)9月のダイヤ改正で新種別のK特急が設定(同列車種別は2008年〈平成20年〉10月17日廃止、快速特急に種別変更)され必要コマ数が増えたため、2005年(平成17年)に側面も種別と行先が別のタイプに変更された。前面の表示幕は特急以外の運用時のみ(つまり鳩マークを使わない時に)使用される。特急・快速特急運用時は前面は種別・行先とも白(空白の幕)を掲示し、鳩マークのバックライトとして使う。そのため、本系列の特急・快速特急(平日夕方上りのみ)運用時は京阪で唯一前面に行先を表示されない編成となる。 また、この更新時には「3000系のイメージを形成する部品」として、ダミーのステンレス製幌枠が取り付けられ、全盛期の精悍な状態がほぼ再現された。車内についても化粧板だけでなく窓枠などの金具までもが新品に交換され、新車並の状態に仕上がる徹底的な工事が行われた。また、座席は8000系と同一仕様のものに変更されている。 更新後の営業運転は1995年(平成7年)12月25日に開始した。なお、2階建車両連結開始後しばらくの間、先頭車の前面に特製のヘッドマークが掲出された。 2008年(平成20年)2月10日には、その後の改番や塗装変更計画を念頭に置いて、先頭車前面の社紋と車両番号表示がステッカー式に変更された。
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