足利貞氏とは? わかりやすく解説

足利貞氏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/22 10:12 UTC 版)

足利 貞氏(あしかが さだうじ)は、鎌倉時代後期から末期にかけての鎌倉幕府御家人足利家時嫡男[4]足利宗家7代当主。 室町幕府初代将軍となる足利尊氏やその異母兄・足利高義、その弟・足利直義の父。


注釈

  1. ^ 没年およびその当時の年齢(享年)からの逆算による。小谷俊彦は、北条時茂が文永7年(1270年)に30歳で亡くなっている(『鎌倉年代記』・『北条九代記』)ことから、貞氏がその孫とするにはやや難があり(時茂がそのまま生きていた場合、時茂と貞氏の年齢差は33となる)、貞氏は北条貞時が執権となった弘安7年(1284年)7月以降に元服して「貞」の偏諱を受けたとみられるので、その当時10歳前後であったと考えて、建治3年(1277年)ごろの生まれとする見解を出している[1][2]
  2. ^ 高義の子とする説もある。
  3. ^ 家時の没年月日については史料によって様々に伝わるが、弘安7年(1284年6月25日とする説が有力である。この詳細については足利家時の項を参照のこと。
  4. ^ 高氏(尊氏)は元応元年(1319年)に15歳で元服したと伝わる(『続群書類従』第五輯上所収「足利系図」)。
  5. ^ 高義の死後に元服した高氏(尊氏)の仮名が宗家嫡男に付けられる「三郎」ではなく「又太郎」であったことなどから、高義の遺児の成長もにらんで高氏(尊氏)の家督相続が直ちに確定したわけではないようである。足利宗家では2代目の義兼から代々、正室所生の嫡男が幼少であっても庶系には家督を譲らず、庶兄・庶伯父などが直系嫡男が家督相続するまでの家政の代行を担ったり援助していた[33]。尚、『続群書類従』第五輯上所収「足利系図」や『系図纂要』には高義の息子として安芸守某と田摩御坊源淋の記載がある。
  6. ^ 東氏。系譜は、東胤頼―重胤―胤行―義行―盛義。
  7. ^ 『結城市史』では貞時の偏諱を受けたとするが[41]、「正宗寺本 佐竹系図」の貞義の傍注には「貞氏御一字也」と記載されており(『大日本史料』6-17、p.16)、正確には貞時の偏諱を受けた貞氏から「貞」の字を受けた可能性がある。

出典・史料的根拠

  1. ^ 田中 2013, p. 126.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 安田 1990, p. 18, 福田豊彦「足利貞氏」
  3. ^ 「北条金沢系図」、『続群書類従』第五輯上所収「足利系図」。
  4. ^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 29頁。
  5. ^ 紺戸淳「武家社会における加冠と一字付与の政治性について―鎌倉幕府御家人の場合―」『中央史学』第2号、1979年。 
  6. ^ a b c d e 田中 2013, p. 25, 「中世前期下野足利氏論」.
  7. ^ 臼井 2013, p. 68.
  8. ^ 吉井 2013, p. 170。吉井は元服の時期が正応年間初期(1288年~)であったとする見解を示している。
  9. ^ 臼井 2013, pp. 67–68.
  10. ^ 小谷 2013a, p. 131.
  11. ^ 細川重男「右近衛大将源惟康―得宗専制政治の論理―」『年報 三田中世史研究』9号、2002年。 /所収:細川重男『鎌倉北条氏の神話と歴史 ―権威と権力―』日本史史料研究会〈日本史史料研究会研究選書1〉、2007年。 
  12. ^ 川合康 著「武家の天皇観」、石上英一; 永原慶二; 村井章介 ほか 編『講座前近代の天皇』 4巻、青木書店、1995年。 /所収:川合康『鎌倉幕府成立史の研究』校倉書房、2004年。 
  13. ^ a b c 田中 2013, p. 23, 「中世前期下野足利氏論」.
  14. ^ 田中 2013, p. 24, 「中世前期下野足利氏論」.
  15. ^ 「北条貞時十三年忌供養記」(『円覚寺文書』、所収:『神奈川県史 資料編2 古代・中世(2)』2364号)。
  16. ^ 小谷 2013, pp. 126–129.
  17. ^ 田中 2013, pp. 25–26, 「中世前期下野足利氏論」.
  18. ^ 新行 2013, p. 287.
  19. ^ 田中 2013, p. 400, 「下野足利氏関係史料」.
  20. ^ 『新編岡崎市史 史料 古代・中世』
  21. ^ a b 前田 2013, p. 190.
  22. ^ 典拠は『門葉記』巻七十 冥道供七「関東冥道供現行記」(『大正新脩大蔵経』図像第11巻、大正新脩大蔵経刊行會、1934年)正安4年2月9日条。
  23. ^ a b c 吉井 2013, p. 171.
  24. ^ 『鎌倉年代記』裏書 嘉元3年5月2日条。
  25. ^ 前田治幸「足利貞氏の讃岐守任官と出家時期―『鑁阿寺文書』中の二通の足利貞氏発給文書から―」『ぶい&ぶい』13号、2010年。 
  26. ^ 千田孝明『足利氏の歴史~尊氏を生んだ世界』栃木県立博物館、1985年。 
  27. ^ 影山博「鎌倉時代足利氏の一考察」『野州史学』創刊号、1975年。 
  28. ^ 『鎌倉年代記』正和5年(1316年)条、北条高時の項。
  29. ^ a b c d e 吉井 2013, p. 172.
  30. ^ 「鶴岡両界壇供僧次第」(所収:『続群書類従』第四輯下)。
  31. ^ 『尊卑分脉』。
  32. ^ 『蠧簡集残編 六』所収「足利系図」(東京大学史料編纂所架蔵謄写本)の高義の記事中の“高義 嫡子、号円福寺殿、文保元年六月廿四日卒”による(田中 2013, p. 386, 「下野足利氏関係史料」)。
  33. ^ 清水 2008, pp. 125–142.
  34. ^ 『尊卑分脉』。但し、(大きな違いはないが)『常楽記』や『大乗院日記』目録では命日を9月6日、『蠧簡集残編 六』所収「足利系図」(東京大学史料編纂所架蔵謄写本)では9月5日に60歳で死去とする(田中 2013, p. 386, 「下野足利氏関係史料」)。
  35. ^ 吉井 2013, p. 173.
  36. ^ 元徳4年2月29日付「木戸宝寿宛安堵状」(『上杉家文書』)。
  37. ^ 小谷 2013, p. 124.
  38. ^ 原田正俊 編『天竜寺文書の研究』思文閣出版、2011年。 
  39. ^ 臼井 2013, p. 69.
  40. ^ 千葉琢穂 編『桓武平氏 國香流系図 第一巻 常陸大掾・北條氏族篇』展望社、1986年、309頁。 
  41. ^ 『結城市史 第四巻 古代中世通史編』結城市、1980年、297頁。 
  42. ^ 『系図綜覧』所収「甲斐信濃源氏綱要」。


「足利貞氏」の続きの解説一覧

足利貞氏(あしかが さだうじ)

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バンデット -偽伝太平記-」の記事における「足利貞氏(あしかが さだうじ)」の解説

鎌倉幕府の有力御家人で、猿冠者足利高義)や足利尊氏の父。幕府対し従順だが、密かに足利天下野望抱いている。「武士の本懐とは、舐められたら殺す」が持論長男高義の才を認めつつも疎んじている。

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