販促方法や販促商品の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 07:39 UTC 版)
「少女向けアニメ」の記事における「販促方法や販促商品の変化」の解説
幼児 - 小中学生向け作品 1960年代から1996年頃までの長い間、このジャンルのアニメにおけるマーチャンダイジングは、玩具(電子ゲーム・プライズ商品を除く)、キャラクターの絵が入った文房具、食品などの関連商品の販促が主体であった。『セーラームーン』などの幼児から小学高学年を対象とした作品はもちろん、小学校中~高学年以上をメインターゲットとし年齢層が比較的高めであった『ママレード・ボーイ』、『ふしぎ遊戯』(1995 - 1996年に放映されたTVアニメ版)、『花より男子』(アニメ版)などの作品でも、そのほとんどが玩具会社・文具メーカーなどとタイアップをしていた。 これらの玩具展開は『きんぎょ注意報!』と『セーラームーン』で定着したと言われているが、早くも1995年頃から視聴率の低迷や売上不振に陥る作品が出始め、特に1997年3月に『セーラームーン』の本放送が終了した時にはこのジャンルのアニメにおいて、玩具の販促を目的とする作品群が完全に衰退したことが明確となった。当の1997年は『セーラームーン』の後番組としてリメイク作品の『キューティーハニーF』が、同年9月には『花より男子』の後番組として原作は少女漫画ではなく児童向け小説とし、それまでの小学高学年をターゲットとした路線から幼稚園児・小学校低学年がメインの低年齢層向けにシフトした『夢のクレヨン王国』(1997 - 1999年)が登場し、翌1998年にかけてこの2作の関連商品が多数発売されたが、その一方で、少女漫画原作アニメの『ケロケロちゃいむ』(1997年)には玩具および文具商品を発売するスポンサーが付かず、関連商品がほとんど発売されない状態であった。1997年以降、『夢のクレヨン王国』や、その後番組のアニメオリジナル作品である『おジャ魔女どれみ』が成功し、また『少女革命ウテナ』など映像商品や音楽CDなどに頼り、玩具・文房具の販促を全く行わない後述の高年齢層向けの作品も成功し始めるようになると、本ジャンルのアニメにおける市場構造と、アニメ製作会社・スポンサー企業におけるマーケティング戦略が大きく変化 し、このジャンルのアニメからは、低年齢層向けの作品を除き玩具・文房具といった商品の販促が絡む作品が大幅に減少した。 それでも2000年代は『わがまま☆フェアリーミルモでポン!』シリーズ、『きらりん☆レボリューション』のヒットで一時期は盛り返していたものの、2008年になると『きらりん☆レボリューション』のブームが終息し、やがて低年齢層向け少女漫画がアニメ化される本数も激減した。そして2010年代以降で電子ゲーム・プライズ商品を除く玩具の販促が絡む作品は2010年から2019年までの10年間で『極上!!めちゃモテ委員長』、『夢色パティシエール』、『12歳。〜ちっちゃなムネのトキメキ〜』、『プリプリちぃちゃん!!』(2017年)、『カードキャプターさくら クリアカード編』のみと僅かとなった。 また、1980年代前半及び、1990年代後半以降は小中学生向けの作品でも、後述の10代以上向け作品と同様に、玩具主体ではなく原作が掲載された雑誌やコミックス、音楽CD、映像商品(DVDビデオ等)などの販売促進にマーチャンダイジングの主軸をおいた作品も登場する。更に1990年代後半からは玩具の販売が全く行われなかった作品も生じ始めた。 10代以上向け作品 先述の『ふしぎ遊戯』(TVアニメ版)、『花より男子』と『みかん絵日記』(1992年)、『赤ちゃんと僕』、『夏目友人帳』などにおいて玩具化されている。それ以外の作品でもゲームセンター用のプライズ商品や電子ゲームが展開されているものもある。 玩具以外では音楽商品として1980年代『花とゆめ』や『りぼん』などの少女漫画においては漫画作品のイメージソングや短編のドラマを収録したイメージアルバムの展開が積極的に行われており、その流れから『ベルサイユのばら』や『パタリロ!』などのアニメ化作品においても声優を主体にした音楽商品が展開されていた。1980年代後半にはアニメ作品そのものが途絶え息を潜めたが、漫画作品のイメージアルバムの音楽商品自体は好調であり。その流れで1987年頃『闇のパープル・アイ』のイメージアルバムの音楽に映像をつけたミュージックビデオが発売され、当ジャンル初のOVAとなる。その後1988年の『妖精王』を筆頭に1993年まで『花とゆめ』原作の作品が連作され、後の花とゆめ原作のテレビアニメの礎になる。その後、1995年の『ふしぎ遊戯』シリーズと1997年の『少女革命ウテナ』を皮切りに一部の男性向けアニメやOVA作品と同じくDVDやCD、有料放送、ネット配信など映像・音楽商品の売上での制作費の確保を企図する作品が増え、「ノイタミナ」など女性をターゲットとしたアニメ枠が登場した2000年代中盤以降はアニメファンを意識せず、高校生以上の女性のみをメインターゲットとする作品が増加した。
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