調査の経緯と内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 04:49 UTC 版)
「アシアナ航空214便着陸失敗事故」の記事における「調査の経緯と内容」の解説
キャンプ・デービッドで休養を取っていたアメリカのバラク・オバマ大統領は事故発生直後にアメリカ合衆国国土安全保障委員会(英語版)担当の大統領補佐官を務めるリサ・モナコ(英語版)から報告を受け、事故の犠牲者に対して、哀悼の意を表明するとともに、ホワイトハウスの対策チームに指示を出した。 国家運輸安全委員会 (NTSB) の他に連邦航空局 (FAA) が事故調査を行った。 韓国政府も韓国国土交通部が事故調査対策班を現地に派遣して、NTSBと合同で調査に乗り出すことを決定した。 連邦捜査局 (FBI) は事故が、テロによるものだと示すものは現時点(7月6日)では何もないとしている。 アシアナ航空の尹永斗(ユン・ヨンドゥ)社長は7日の記者会見で「機体やエンジンに異常はないと把握している」と述べるとともに、事故機と管制塔が@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}応急車両[要出典]の配置などに関して緊急交信をしたと報じられている点に関し、交信したのは「着陸後と認識している」と説明した。着陸に当たってはベルトを締めるよう求める案内放送が流れる一方、異常を伝える特別な放送はなかったという。 また同社長は、機長は飛行時間1万時間以上の熟練者で副操縦士も9,000時間以上であり、航空規則に厳格に適合していると強調し、着陸前に機体の異常信号もなかったと記者会見で述べた。一方で韓国国土交通部は、この便で操縦桿を握っていた副操縦士はボーイング777型機については飛行時間はまだ43時間で、離着陸は9回目(同型機で同空港への着陸経験なし)であり、同型機の機長の資格を得るための慣熟訓練中だったことを明らかにしている。また、副操縦士の慣熟訓練の教官として搭乗した機長も、事故発生のわずか20日前に教官としての資格を取得したばかりであり、事故便が機長の初の教官としての搭乗であった。 FAAは安全基準として、航空機を製造する際には全乗客乗員が90秒以内に脱出できる構造にすることを求めており、脱出訓練もこの安全基準をベースにしている。しかし本件では、事故直後に同機が滑走路上で停止した状態であるにもかかわらず、当初乗客は乗務員から機内にとどまるよう指示されており、着陸失敗から90秒後にあらためて避難指示が出されていた。 飛行機事故時の機内からの脱出の際には、他の乗客の脱出の邪魔になったり脱出シュートが破損したりしないように、そして脱出時間を短縮するために、乗客には出口で荷物を放棄させるのが原則である。しかし今回の事故で撮影された写真に、脱出した乗客が手荷物を抱えているものが散見され、乗務員の指導不足が指摘されている。 NTSBの発表によると、ボイスレコーダーには地面に衝突する7秒前に「速度」(低速である)の訴え、同4秒前に失速警報、同1.5秒前に「着陸復航」(Go around)の指示が録音されていた。後部座席にいた交代要員の副操縦士は、地面衝突54秒前に下降率が大きすぎると判断し「sink rate(降下率)」と何度か叫んで指摘したという。 この滑走路では、改修のため6月1日からグライドスロープ(GS, Glide Slope)(計器着陸装置(ILS, Instrument Landing System)の地上設備の一部)の運用が停止していた。このため、自動操縦装置がグライドスロープ信号を受信して着陸経路からの上下のずれを補正することはできず、事故との関連が調査されている。ただ、運用停止についてはあらかじめ航空各社に通知されており、当空港発着の他の飛行機に影響は出ていない。 さらに、オートパイロットを構成するオートスロットル(A/T, Auto Throttle, 自動速度維持装置)やストールプロテクション(Stall Protection System, 失速防止装置)が事故直前までどう操作されどう作動したかが、聴き取りやフライトレコーダの記録によって調査されている[いつ?]。 機体は28L滑走路への通常の視認進入(visual approach)による進入中、着陸3分前までは何らかの理由で高度が高く、その後降下率を上げてつんのめる形で最終進入体制に入り、滑走路を目前にして高度が下がりすぎていると認識して機首を上げたと思われるため降下率が大きくなり、尾部が滑走路の通常の着地地点から数百フィート手前の護岸に接触したという見解が出ている(山口英雄・元国土交通省航空局飛行検査官)。
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