失速警報装置
失速警報
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/12 05:54 UTC 版)
「英国欧州航空548便墜落事故」の記事における「失速警報」の解説
16:10:24(114秒後)、高度1,772フィート (540 m)速度162ノット (300 km/h)にて主翼の前縁フラップ(トライデントではドループと呼称)を収納したが、これは本来ドループを収納できる安全速度225ノット (417 km/h)を63ノット (117 km/h)も下回っていた。その1秒後、操縦室で失速警報が視覚表示と音声で発動し、続いて16:10:26(116秒後)にスティックシェイカーが作動、更に16:10:27(117秒後)には失速防止装置(スティックプッシャー)によって操縦桿が自動的に押されてオートパイロットが解除され、よって機首が下がったのでスティックプッシャーも解除された。このときオートパイロットの解除警報が大音量で鳴動し、以後そのまま鳴り続けた筈である。548便は左右の両翼を水平に戻したが、オートパイロットが解除されたため昇降舵のトリムが機首上げ維持で残り、このため迎角が再び高くなりいよいよ失速寸前となった。 16:10:32(122秒後)までにドループは完全に収納された。機速は177ノット (328 km/h)、高度は1,560フィート (480 m)となり、機体は依然として通常の上昇姿勢を維持していた。続く2秒のうちに再度スティックシェイカーとプッシャーが作動、飛行開始127秒後に三度びスティックプッシャーが作動したが、その1秒後、乗員の誰かがレバーを引いて失速警報と失速防止装置を解除した。 16:10:39(129秒後)、548便の高度は1,275フィート (389 m)に落ち、失速防止装置が機首を下げたので機速は193ノット (357 km/h)に増速。548便は依然として予定通りの航路を目指し、右に16°バンクして旋回した。548便はまたも機首を上げて機速をやや抑え、177ノット (328 km/h)としたが、これはドループが展張している前提での通常の上昇速度である。このため失速が更に悪化した。 16:10:43(133秒後)、トライデントはディープストールに陥った。高度は1,200フィート (370 m)を割り、機首は31°上を向き、機速は最低表示速度である54ノット (100 km/h)を下回った。16:10:47(137秒後)、高度1,000フィート (300 m)の時点でトライデントの降下率は4,500フィート毎分 (23 m/s)になっていた。16:11、ブレーキ解除から丁度150秒後、同機は地表に激突した。 機体は付近の送電高架線を際どく越えて、A30道路からすぐ南にある高木に囲まれた狭く細長い土地に墜ちた。墜落現場はステインズ=アポン=テムズ(英語版)の近くにあるジョージ六世貯水池から南に位置する。墜落時点で火災は発生しなかったが、後の救出作業中に切断工具を使っていて火事を出した。
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